『箱』 #ShortStories
私の、“おはこ”だった。
近所のやたらカラフルな遊具が多い公園は、伸びきった木々や雑草で囲われていて、その緑の中に、電話ボックスが紛れていた。あそこに人が入っているのを人生で1度も見たことがない。小銭の投入口や受話器の付け根、金属の至るところが錆び付いていて汚らしいし、砂利だらけだし、そもそも蔦が巻き上がっていてドアが開けにくい。みんなそこに在ることは知っているけど、近寄ることはない、そんな電話ボックス。
「……こちらは...埼玉県警察です……迷い人の…お知らせです……3