夜凪霞

小説書き。

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VAMP 第三話

第三話:針路 「えー、”吸血鬼”って元人間なの?」 「そりゃそうだろう。でなければお前は一体どうやって生まれたんだ」 「そんなの……母親がヤンチャしたとか?」 「まぁ、ある意味正解やんなぁ」 VSCO本部のとある会議室、カフカは渦雲から、治安維持部隊として働く為に必要な知識を教えられていた。 「ところで北谷、何故お前がここにいるんだ? 座学は俺、戦闘訓練はお前という役割分担だったはずだが」 「先輩と後輩が上手くやれとるか見に来ただけやって。そない冷たい目で見いひんといて

    • VAMP 第二話

      第二話:戯曲 「それでさぁ、色々実験されたんだけど……何回も変身したり、”吸血鬼”で居過ぎたりすると馬鹿になっちゃうみたい!」 「えぇ……だからそんな感じなの」 二日ぶりに自身の恩人(?)と会った雨田カナエは、青年の雰囲気が変化していたことに驚いた。 元々顔が良いだけで賢そうには見えなかったが、今は輪をかけて頭のネジが何本か足りてない印象だ。 (大体、自分が実験されてることを何とも思ってないのヤバイって) 「なんか脳疲労だかで、時間経てば元に戻るらしいけどね」 「そう

      • VAMP 第一話

        あらすじ 20XX年、東京。 数十年前に突如確認された、特殊な力を持った正体不明の『不死者』によって、日本国内は混乱を極める。 経済活動は停滞し、警察による治安維持体制は崩壊。 人々は混沌の中で頼りにならない政府ではなく、民間企業や財閥、新興宗教等を拠り所として生活していた。 事態を重く見た日本政府は『不死者』の呼称を東欧伝承の怪物”吸血鬼”と定め、『吸血鬼特別対策室(Vampire Special Countermeasure Office)』——通称、VSCOを創設。

      VAMP 第三話