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遺産分割協議書作成の注意点(不動産登記編)

こんにちは。

遺産分割協議書作成の注意点(不動産登記編)についてお話したいと思います。


①前面道路調査

亡くなった方の不動産の情報は、まず「課税明細」(「固定資産税納税通知書」)を基に炙り出すことが大半です。

ご注意ください、「課税明細」には課税対象の不動産しか記載されていないことがあります。

非課税土地を所有しているかどうか、調べる方法は大きく3つ。

まず、各市町村で取得できる「名寄帳」を取得する方法がございます。

「名寄帳」は、各市町村内に故人が所有する不動産の一覧表です。

次に、権利証をチェックしてみましょう。

不動産を売買により取得している場合には、非課税土地もセットに購入している可能性が高いです。

権利証の中の「不動産の表示」に認識漏れがないかご確認ください。

最後に、公図から調査する方法があります。

課税明細に載っているような大きな土地の前面に細い道路がありませんか?

土地の角に、三角形になっているような小さな土地ができていませんか?

司法書士事務所においては必ずこれらの土地の登記情報も取得して、所有者を確認しています。

遺産分割協議書の記載漏れは後々の手続きに影響することがありますので、ご注意ください。

②底地番調査

私が「底地番調査」と呼んでいるだけで、一般的にそのような言葉があるわけではございません。

要は、その土地を底地としている建物が存在するかどうかを調査することを意味しております。

上記①で角っこの小さな土地「13番1」も所有していることが判明したとします。

課税明細に載っている広い土地が例えば「13番3」だとします。

この「13番1」或いは今は存在しない「13番」の土地の上に建物が存在する可能性があるんです。

そんな小さな課税されないような土地(或いは存在しない土地)の上に、建物なんて存在するはずがないと思うじゃないですか。

実際の建物は存在しないとしても、登記簿上、残ってしまっていることがあるんです。

その建物の登記情報をとってみると、曾曾祖父様のご所有だったりします。

もう取り壊された建物なんだけど、滅失登記を怠ったために登記が残っているということがよくあります。

本来、建物滅失登記は解体から1か月以内に申請しなければなりません。

私の場合はとても仕事の早い土地家屋調査士さんをご紹介させていただいております。

遺産分割協議書のお話に戻りますが、もし実際に存在する建物が出てきた場合には、場合によっては遺産分割協議書に記載が必要ということになります。

③数次相続の場合

Aの相続で子供3人(B,C,D)が相続人だとします。

相続登記をする前に、子供Bがお亡くなりになりました。

Bの相続人は妻Eと子供Fの2人だとしたら、Aの遺産分割協議はE,F,C,Dの4人で行う必要があります。

この遺産分割協議で、例えば最終的にFが不動産を取得することになったとしましょう。

権利の変動を忠実に書面化するならば、Aの死亡によってBが不動産を相続し、Bの死亡によってFが不動産を相続した、ということになります。

この場合の遺産分割協議書をどう書くかという問題です。

この点、「数次相続が生じている場合において最終的な遺産分割協議の結果のみが記載された遺産分割協議書を添付してされた相続による所有権の移転の登記も可能【平成29年3月30日付法務省民二第236号】」とされています。

私も以前(今回のようなケースで)、Aの遺産分割協議書でFが不動産を取得した旨記載されたものを添付して、「年月日B相続,年月日相続」を登記原因とするFへの所有権移転登記を申請したところ問題なく登記完了しました。

ただ、個人的にはわかりやすい協議書が好きなので、数次相続が発生している場合には、まず被相続人の表示の次に「相続人兼被相続人の表示」として、Bの情報も記載しております。

代襲相続ではなく数次相続であることを分かりやすくするためです。

また、確認的に中間取得者はBである旨も記載します。

権利の変動を忠実に書類に反映させること、読めば理解できるような書類を作成することを心がけて仕事しているのですが、書類に対する考え方は人それぞれ。要は実体判断を間違わなければOK。

取り急ぎ以上とさせていただきます。はじめて目次機能使いましたが勝手に目次できちゃうのすごい楽でいいですね。

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