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くるるんのおてて絵本あつめたよ

くるるんのもとに一通の手紙が届きました。

『おてて絵本あつめませんか』

おてて絵本??
なんだかとってもたのしそう!!

けれど、どうしたらいいのかさっぱり分かりません。

「くるるん、どうしたの??」

ふりむくとそこにはハートちゃん。

「おててえほんをあつめたいのね!わかったわ」

そう言ってハートちゃんはてがみを風呂敷に包んでぴゅーんと飛んでいきました。


どすん どすん 
とすん とすん

おお~きいおすもうさんとち~さいおすもうさんがやってきました。

「おお~きいおすもうさんのおなかの上にいっしょにのろうよ」

くるるんは、おお~きいおすもうさんのおなかの上に、ち~さいおすもうさんといっしょにのりました。

ふわ~ ふわ~ ふわ~

いつのまにか、くもの上にいたくるるん。


目の前に広がる『ノートガルド・ワンダーランド』

お空の中の遊園地??

「おじょうさん、こちらへいらっしゃいな」

そういって現れたのは美しきガイドのリンリン。

リンリンの手にひかれ、不思議でやさしい世界・ワンダーランドでめいっぱい遊びました。


あ!いけない!おてて絵本をあつめなくっちゃ!!


ゴォォオォオオオオ ゴォオオオオオオオオ

あらし??いいえ春の嵐です。

春の嵐にのってぐるんぐるん回りながら地上に戻ってこれました。

菜の花畑にピクニックシートが敷かれ、その上にはおだんごが。

これはうわさのおだんご三姉妹のしわざね。

おだんごをもぐもぐ食べたら、こんどはメガネがおでこに!

メガネをすっと下ろすと、見たこともない何十色も重なるにじ!

にじを子どもたちがすべり台にしてあそんでいます。

てっぺんで子どもたちのせなかを押しているオタマジャクシに、まぐろが声をかけているようです。

「ワシのご主人様もすべらせてくれんかのう?」

まぐろのご主人様はまぐろの背中でノリノリです。

よしっ!わたしもこっそり乗って連れて行ってもらおう。

やばっ!しっぽの方に乗っちゃった!


キャーッおっこちるー!!


バサバサバサッ

たすかったぁー!

なんとか大きな木の枝にひっかかりました。

「おー!ありがとー」「わーい!実がおちてきたー」

のそのそカメさんたちがやってきました。

アヒルさんやウサギさんクマさんたちとみんなで実にストローをさしてチューチュージュースを飲みました。

あーおいしかったー。

ちょっとつかれちゃったな。

くるるんはねむくなってしまいました。


ぐーぐーぐー

ぐーぐーぐー

ぐーぐーぐー?

あれ、くるるんのおなかの虫が鳴きだしました。

「きみ、おなかすいたの??何でもつくってあげるよ。ゆで卵、たまごやき、スクランブルエッグ、おぼえたての目玉焼き。何がいい??」

目の前に現れたたまごくんに、くるるんは思わず「目玉焼き!!」と答えました。

すると、向こうのほうからケンカしながら真っ赤なTシャツを着た兄弟がやってきます。

「目玉焼きにはケチャップだろ!」

「ソースだろ!」

「しょうゆだろ!!」

「デザートにシュークリームだぞ!」

「え!?プリンのがいいよ!」

うしろから声が聴こえます。

「さっきのたまごくんに作ってもらったら?」

こっそりのぞいていたおかあさんがくるるんにウインクしました。


くるるんはウインクをしたことがなかったので、マネしてみたくなりました。

でもうまくできません。

ねーねーウインクしよー

いいよー

ウインクしてみた

どっちも閉じちゃった。


目を閉じたらくものおふとんの上にいました。

ふんわりぽってりしたおふとんと、あこがれるほどにうつくしいにじいろの毛布にくるまれて、くるるんはすーっと飛んでいきます。

ドンッ

いたっ!

なにこれ?

ふわふわであったかくて、つめたいけどきもちいい。

こんなのはじめて。

くるるんがぶつかったのはピカピカひかるたからばこ。

「おーい!それ、いっしょにあけてもいいかーい?」

オーキイ男の子とチーサイトラックとミジカイ足の犬がやってきました。

男の子はその小さい手でいっしょうけんめい宝箱をあけます。

ギギギッ

中に入っていたのは、クマとウサギがてをつないだぬいぐるみ。

おなかにくっついているのは、はんぶんこのりんごのアップリケ。

きっとふたりではんぶんこしたんだね。

思わずくるるんはそのりんごのアップリケに触れてみました。

するとくるるんのおててに真っ白な絵本が浮かびあがりました。

とてもきれいな白い絵本は、くるるんの心のドアをコンコンと叩きました。

その絵本を心の近くに寄せるように抱きしめたら、涙がこぼれます。


さすさす ぱふぱふ

なに、くすぐったい。

白黒のまるいものがくるるんのほっぺたを拭いてくれました。

「ぼくね、ハリネズミちゃんに頼まれたんだ。くるるんって子におてて絵本を運ぶ方法、教えてあげてってさ」

白黒まるいものは「ほら、これがスキスキスキップだよ」と飛び跳ねます。

そうして、コメコメおにぎりが入ったサポサポバッグを渡して言いました。

「さあ!ここからはまっすぐだよ。まっすぐにすすんだらみんなが待っているよ」



くるるんはおてて絵本を大切にしまって、スキップをしました。

タッタタ 

タッタタ

タッタタ



あ、あっちに旗をふっている人たちがいるわ!

スリッパをふっている人もいるわ!


タタタタタタッ

思わずくるるんは走り出します。


「おまたせ!!」

くるるんはあつめたおてて絵本を真ん中にいた女の子に手渡しました。

「ありがとう くるるん!私はきいす。ようこそ、読書KIDS親の会へ。」



おしまい


【朗読バージョン】


すべての参加作品をつなげよう、そしてこの企画を立ち上げるきっかけを作ってくれた「読書KIDS親の会」を率いるきいすさんの元にこんな絵本が集まったよと伝えにいこう。
そんな思いで作ったのが『くるるんのおてて絵本あつめたよ』です。
くるるんは、サークルのクルを文字って名づけました。

この企画にご参加いただいたみなさん、本当にありがとうございました。
みなさんの作品が、マガジン内で仲良く楽しそうにおしゃべりしているように感じてこのアイディアを思いつきました。

応援してくださったみなさん、一緒に楽しんでくださったこと、本当に感謝しております。
スキやコメントは私の大きな活力となりました。
また、この企画にはたくさんのサポートを頂戴しました。
参加賞、朗読賞として大切に使わせていただきます。

そして「読書KIDS親の会」サークルメンバーのみなさん、一緒に走ってくれて本当に嬉しかったです。
共に作り上げていくワクワクは最高の思い出になりました。


おてて絵本企画、やってよかった!!!
心からそう思います。


新しい形での再開を考えていますので、その時はぜひまた一緒に楽しんでください。

いつかあなたのもとにもハートちゃんが来るかもしれません。
こっそりちゃっかりくるるんがあなたの絵本を待っているようです。
じゅんびができたらお手紙おくりますね。


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