書評:自分の居場所はどこにある? SNSでもリアルでも「最高のつながり」の作り方
上記の記事のなかでも紹介しましたが、自分の居場所はどこにある? SNSでもリアルでも「最高のつながり」の作り方という本を読みました。初対面の人とコミュニケーション取るのが苦手な私。というか、かなり多くの人が苦手なんじゃないかと思います。まさにこの新学期が始まるこの時期、サクッと購入して読みました。新しい環境に入ろうとしている人、新しい居場所を作りたい人におススメの本です。
この本はざっくりまとめると「コミュニケーション力を鍛えるための即興演技"インプロ”の考え方をベースに、そのコミュニティの中でどう自分の役割を見つけ、いかに無理なく“演技”し居場所を見つけ築いていくか」ということが書かれています。
正直な意見を言うというお題目を意識し続ける
一番メモしておきたいなと思ったのは「居場所のお題は正直な意見を言い合うこと」ということです。これがどんな居場所でもどんな役割であっても、周りに合わせてイエスばかり言いそうになっても「イエスアンドマン(イエスの後に自分の意見を一言加える人)になる」ことが居場所づくりではとても重要であると書いてあって、そうか、私にはこれがずっと足りなかったんだな、と思いました。
この本の中で
人生のバックグラウンドが全く異なる人間関係の中で、居場所を見つけるためにとても重要なことがあります。それは代わりが効かない人になることへの意識です。
とあります。正直これを読んだとき、私には無理、私の代わりなんていくらいるがな、と思ったんですね。しかしながら、本書ではこう続きます。
本当に必要なのは居場所のお題である『本音で接する』ということに忠実になることです。あなたの代わりに、あなたの「本音」を語れる人はいないからです。-中略- フェイクではない、リアルな本音の演技を続けていれば、その演技は十分に見ていられるものになります(しかし、その場合も何もアクションを起こさないのは禁物で、何らかのアクションが必要ということも付け加えておきます)。
これを見て私はかなりほっとしました。あー、それでいいんだ!と。もちろん、本音いうことはかなり勇気がいることですが、これまでいつも本音を言うことを抑えて、ため込んで、最後にイライラして居場所をなくしてしまうことを繰り返して失敗していた自分を客観的に見ることができました。本書にも
居場所で黙っていたり、愛想笑いをするだけ(アクションを起こさない状態です)では自分にとっていい居場所は作れないものです。
とありました。まさに私のことですね…。
また、人はそもそも人に嫌われることを恐れています。その結果、自分の言動が逸脱していないかが気になり、集団の中で取るべき行動を思いつかない状態が発生することで居場所がないように感じるのです。実はそうやってビクビクし、周りに予防線を張ってしまう行為こそが、周りを不快にさせることがあるのです。-中略-このように居心地の悪さを感じながらも自分のルールを押し付け続けていては、自分の居場所を見つけることができません。これは相手に気をつかっているのではなく、求められてもいないのに自分のために気をつかっていることにほかなりません。結局、相手をイライラさせるだけでなく、自分も疲れてしまいます。
たしかに、後輩がびくびくしてなかなか質問をしてこなかったり、わかってないことを恐れからわかったと言ってそのあとに全く違う方向に走っていったらエッて思ったり、イライラしたりするのに、自分も同じようなことしていたんですね。次からは恐れずに自分の意見を伝えるようにしよう、と心に誓いました。
いかにギブをするか
この本の中で、人間関係におけるギブアンドテイクと特にギブの大切さおよび、いかにギブしていくかということが述べられます。
人から受け取るテイクは、自分では気づきにくいものです。ですから、できるだけ自分からのギブを増やす努力をすると、自分の見えていないテイクにも対応ができ、バランスが取れることが多くなります。これがギブがとても肝心な理由です。
この後、いかに効率よくギブするかが語られますが、そこは読んでのお楽しみ。なるほどなるほどと思いながら読みました。実際に試してみようと思えるテクニックが書いてありました。興味のある方は是非是非読んでみてください。
私は昔テイク欲しさに無理してギブばっかりしてたんですが、それはダメでしたね。ギブをあげたのに返してくれない人をいつまでも根に持ったり怒ったりしてました。今考えると、いろんなものを受け取っていたのに、それに気付けてなかったので人間関係が苦しくなってたんです。役割を演じる、と聞くと、演じ続けることは苦しそう、という印象が読む前にはありました。しかしながら、この本の中ではとにかく無理をしないこと、自分の役割は居場所ごとに変わるけど、その居場所に自分がい続けるかどうかの判断も含めて自分が楽しめて無理のない範囲で役割を演じることが強調されています。
マクロの居場所
本書の特徴としてもう一つ特記すべきなのがマクロの居場所についての説明がなされていることです。
マクロの居場所の対象が社会であるとするならば、仕事に関する居場所だと思ってしまいがちですが、そうではありません。「自分はこれに力を入れている」と世間に胸を張って言えることであれば、それがマクロの居場所です。
つまり、社会における居場所ですね。この記述のなかでなるほど、と思ったのは下記です。
前略ー自分にしかできない役割を持ち、自分が社会から必要とされている実感があり、そこにやりがいを感じて充実した毎日が送れる状態です。ほとんどの人は、そこをゴールと考えて行動を起こします。
しかしそこは心理的なゴールであっても、現実にはゴールの一歩手前の段階です。例えば、志望校を目指して一生懸命勉強する生徒は「受験生」というマクロの居場所を確保しています。ー中略ーところがこのようにやることが明確な状態で目標に邁進している段階は長くは続きません。人間は同じことばかりしていると飽きてしまいますし、多かれ少なかれ「もっとすごいことをしたい」という欲求があるからです。
私も自分が高校生のころから目標にしていた分野で、大学大学院で学んだことを存分に発揮できる仕事場を選んで、仕事場からもある程度評価されていたにもかかわらず、その状態になるとなぜか幸福感を感じられなくなって、違う場所に移ろうとしてしまうのはなぜなのだろう、と思っていたのですが、なんだかこれを読んで、すっきりしました。
目指しているものになって慣れてくると、目標を見失って不安になってきて、このままではいけないと思って何かを探し始める、って本当によくあると思うんですが、この試行錯誤のなかでマクロの居場所を見つけられたり見つけられなかったりするわけです。まさに今私もこのサイクルの中でモゴモゴしているわけです。本書ではそのマクロループの回し方についての記述があり、なるほどなるほどと読みました。
最後に
「寂しがりやのひとり好き」って言葉があるんですけど、私もまさにそれだったんですよね。20代のころは誰かと一緒にいなければならない、寂しい奴だって思われたくない!という気持ちで人付き合いをしてきた期間が長かったのですが、あんまり人と交流したくないなあ、というモチベーションでたらーっと生きていても、なんかかんか人とのつながりっていうのは勝手にできてしまうものなので、できれば、その場所をいい場所にしていきたいなあ、という気持ちはありました。
この本は居場所という観点から、人が生きていくうえで必要なコミュニケーションをいかに取っていくかということが書かれている本です。私のようなちょっとコミュニケーションの苦手な寂しがりやのひとり好きの人におススメです。
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