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帰国者バッシング

帰国する時に一番不安だったのは帰国者バッシングだった。幸い面と向かって言ってくる人はいないのだけれど、ネットでは普通に見かける。入国を全部拒否すれば良いのに、帰ってくるな、近寄るな、迷惑をかけるな。

確かに病気が広がっている地域からの移動にはリスクがある。論理的、確率的に考えれば、その地域で動かずに息を潜めるようにstay homeしているのが一番良いのかもしれない。私も私が急遽帰国したことが、総合的に考えて本当に良いことだったのかわからない。

何故今帰国するのか。空港、機内、検疫と数あるリスクを背負ってでも帰国する人がいるのはなぜなのか。人にはいろんな思いがある。言葉でうまく説明できなくても。外野に言われるようなことは当然わかっているし、考慮済みだ。どうしようもなく、本当に仕方ないことがあるのだ、人間には。しかもロックダウンした国に滞在していて危機感をもたないでいるのは難しいほどだ。その中にいても、その中にいるからこそ、いろんな思いがあって帰る決断をし、正規の手段で帰国してルールを守っているならば、人に何を言われる筋合いはない。

ものすごいスピードで状況が変わっている。私が帰るのを決めた時には、日本では14日間の隔離は決められてなかった。サーモカメラによる検疫だけだった。わたしが14日間の隔離を聞いたのは航空券をコモンルームで印刷している、まさにその時だった。わたしが帰ってきたときはある意味書類3枚出すだけでよかった検疫も(それでも疲れ切った体で並んだ1時間は本当に辛かった)、今は全員の検査が義務付けられ、5,6時間かかるのはザラ、2日ほど空港に閉じ込められると言う話も聞く。これは私が帰国してから5日も経たずに起きた話だ。

決断と行動には少しタイムラグがある。私が帰国を決意してから帰るまでの1週間の中で、イギリスの状況も刻々と変わり、私の帰国3日前に完全にロックダウン状態になった。後2週間遅かったら帰国のリスクが上回り、帰国を諦めていたかもしれない。だから、今見るとその決断はどうかと思えるような行動も、一個人として決断した時にはその人にとってのベストアンサーだったのだと思う。

アメリカは国外に住む自国民に対し「帰りたい人は帰ってこい」とアナウンスしている。シンガポールもそうだと聞いた。シンガポールは帰国者は一律に検査、14日間の隔離が政府主導で行われている(施設を政府が借り上げて実施されている)。日本も海外青年協力隊へは帰還指示が、医療の乏しい地域滞在者へは帰還推奨がなされている。この緊急時なのだから、日本にいる人にも、在外の人にも万全の対策をするから帰っておいで、と言える国であってほしいなぁ。と個人的には思う。だって母国だよ?誰でも帰りたくなったら帰れる場所であって欲しい。帰国者個人へのバッシングばかり目立つが、そうではなくてシステムに問題があるのでは?と疑ってみて欲しい。

もちろん、stay home が出来る人はもちろんしたほうがいい。それを前提にしつつも、私はその人の決断を尊重したいと思っています。

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