日野一歩

春日井建は13名の弟子に託し旅たちました。 「春日井建の短歌は未完成な芸術である」 …

日野一歩

春日井建は13名の弟子に託し旅たちました。 「春日井建の短歌は未完成な芸術である」 三島由紀夫は 未完成と綴り・・・ 建の歌に 惹き続ける魅力は 何がそうさせるのか・・・ また次世代の歌人とも出会えたら と思っています。

最近の記事

     ☸創刊号 いであむ☸

最近、短歌・俳句ブームが起きている。 老若男女、若い世代にも浸透しつつあるがNHKドラマや長編アニメーション映画『サイダーのように言葉が湧き上がる』イシグロキョウヘイ監督/2021 俳句ではあるが監修として黒瀬珂瀾が加わっている。 ドラマや映画でも観ている人は多いのではないだろうか。詩歌というとどうしても難しいというイメージが定着しているが若い世代、外国人でも短歌や俳句に興味を持ち詠んでいる人も世界中に存在する。 短歌は日本の詩歌の形式のひとつで、5・5・5・7・7の31

    •    Ep.14 処女詩集   風景

      三島由紀夫を春日井建は師と仰ぎ、耽美的な傾向やレトリック (修辞技法)など歌に多様に取り入れ、ジョン・ネイスン(John Nathan) (日本研究者)は「優美で華麗な表現力をそなえた日本語は、三島が毎夜、 真夜中から明け方までかけて紡ぎ出した日本語こそが彼にとって真の 重大事であり、その一生を規定した」とし文化的廃嫡の苦悩であった」と 評している。 建の表現にも生と死、精神と肉体、言葉と行動、見る者と見られる者(認識者と行為者)、芸術と人生、作者と彼、といった二元論がみら

      •      ぼくはうたうんだ!

                  滑走路若くしてこの世を後にした萩原慎一郎を知ってるだろうか。 近藤芳美、春日井建、岡井隆、栗木京子、加藤治郎、馬場あき子、俵万智 などが早くから萩原慎一郎の歌の才能を見つけている。 萩原慎一郎は、中高一貫校に入学し、野球部へと入部したが 野球部顧問教諭に怒鳴られ萎縮する様子をきっかけに、同級生からからかわれ始め、暴言や暴力が伴う苛烈ないじめへと発展し、そのいじめは中学校から高校と長期間に渡って行われ続けた。2002年から三枝昂之に師事し数々の短歌大賞を受

        •      Ep.13危険な買い物

               天国から突き落とされた 建の思い出を語るのは、懐かしさと共にあの時にこうしておけばよかったと 後悔するものも多数ある。 勿論、楽しいかったもの驚いたものもあるが、中でも生涯忘れない 強烈な出来事だったものを話してみょうと思う。 建は車が好きで私と出会った頃は、セルシオに乗っていたが、どうも調子が悪いので車の買い変えをしたいと言ってきた。桜も終わり葉桜になっている季節で爽やかな風が心地よい時期だった。当時私は建の秘書をしていたで、スケジュールの空を確認後、車探しに

             ☸創刊号 いであむ☸

           Ep.12エロスの根源とは

                 春日井建に潜むエロスの解釈 建の初期未成年より評論家や研究者達は、エロスが存在する 感じることがでいると表現を意味する単語を使っているが、果たして 評論家・研究者はエロスという意味を本当に理解して 書いているのだろうか・・・と私には疑問が湧いてくる。 さて、そこで我々が建の歌に感じるエロスとはどう類のものなのかを 紐解かねばならない。 にんげん間でのエロスとは本能的に他者に気持ちを寄せ、人間世界の本質は、関係世界をもつことになる。 それによって得られる人間

           Ep.12エロスの根源とは

          Ep.11耽美主義

          耽美主義と聞いてどういう意味なのか調べる人も多いのではないだろうか。 耽美主義とは、 “美を最も価値のあるものと考え、その世界を追求し、陶酔すること” 更に深く解りやすくすると”美の実現を至上の目的とする芸術思潮となる。 これは、文学、絵画、彫刻、音楽、映画などあらゆる分野に存在し 美を唯一の価値あるものとして、極端な芸術への愛好を示す芸術思潮のことですが道徳を否定することから、破滅や倒錯、狂気の美など、人間の心の闇に見い出される美の追求する特徴であることも付け足しておきす

          Ep.11耽美主義

            Ep10 現れる背景 未青年

          Wikipediaには初期は幻想・耽美的かつ背徳的な作風で知られるが、 次第に肉体と精神の観念を中心とした美学・・・と書かれている。 幻想の定義は、実際に触れることが出来ないものである。 一方耽美的とは、美を最高の価値として、その世界に心を傾け陶酔する 「背徳」は道徳に背くことを意味する。 私は未青年を100回以上繰り返し読んでいるが、建の研究者や評論家は、歌の外面、字ズラのみで判断し、その奥の真意を知ろうとはしない。その 結果、研究者達の文字を読者が読み真に受けてしまう

            Ep10 現れる背景 未青年

          Ep.8 加藤治郎と野口あや子

          Rosa薔薇館と建 建の秘書を引き受けてから、考えていたほど甘くなかった。 今度は私の方が疲れ果ててクタクタだった。 原稿依頼締め切り日のチエック、新聞、雑誌のインタビュー 講演依頼予定表と大学の講義との睨めっこ、TV出演のための 洋服コーディネートなどなど そんな忙しい思いをよそに建が時々私にチャチャを入れてくる トニーどうしたの?顔青いよ・・・と あたりまえじゃない!と吐き出す言葉も荒くなっていった。 スケジ

          Ep.8 加藤治郎と野口あや子

          Ep.7 三島由紀夫と我が師

                 約束  建からよく三島のことも聞かされていたが 公表していいものといけないものがある。 未青年出版以来、建は三島を文学の師と仰ぎ 三島から贈られた白いブレザーを色が変色するまで保管していた。 私に三島の転居先を当時のハガキで届いたものを渡され 何かお金に困ったら売りなさいといわれた。 それは三島の氏名、転居先住所、電話番号など書かれ 建の住所は達筆な三島自身の字で書かれいて 私が持っているよりも双葉館でボランティア活動をする 杉森多佳子に預けた方がいいと考

          Ep.7 三島由紀夫と我が師

           Ep.6春日井建の秘書

          1992年この年、春日井建は中部日本歌人会委員長に就任 その他、短歌研究、NHK、歌壇、角川短歌への寄稿、その他取材 ほっとサンデー生放送/TV愛知でのMCと 大学講義と多忙を極めていた。 目の下にクマができ私の目にもみてとれるぐらい建は、疲れている。 大丈夫?ケン? いつものことだから・・・ 薄笑いをしなら言うが 私は心配だった。相変わらず私を訪ねる日々がつづき、 食事に出かけるのを一時止めようよと提案した。 その代わり空腹を満たす食事を建に作ってあげたりもしていた。

           Ep.6春日井建の秘書

            Ep.5 蟻と恐竜

                          ようやく結社編集部での仕事になれてきて 歌会にも参加し、結社の同人 の顔と名前が解ってきました。 歌会が終わると建、新畑美代子、岡嶋憲治 彦坂美喜子、私と必ずお茶と食事に行くことが 恒例になっていた。 会話は、もちろん歌、他結社の歌人が出版した歌集について などありとあらゆる会話をし、楽しかった記憶しかない。 また5人で小旅行をしたこともある。 新畑美代子 1973年、演劇集団グループ鳥人からの一員。一歩の姉的存在。 岡嶋憲治 高校で社

            Ep.5 蟻と恐竜

           Ep.4 長い歴史の短歌結社

                                                    門下に 水原紫苑を筆頭に 大塚寅彦/古谷智子 菊池裕/喜多昭夫 彦坂美喜子/日野一歩 黒瀬珂瀾/都築直子 大澤優子/杉森多佳子 長谷川と茂古/堀田季何 がいる。 歌壇では見覚えの名前があるはずです。 また中部短歌では、荻原裕幸、加藤治郎 両歌人に時々寄稿して頂き毎月発行してきました。 会員は全国各地、海外にはブラジルをはじめ、アメリカ、スイス パラオ諸島など世界中に会員は在籍し、編集

           Ep.4 長い歴史の短歌結社

          Ep.3 初めての自宅訪問

          とうとう初めて建の自宅へ行く日が訪れ、緊張していましたが 車で夕方近く自宅に到着すると閑静な住宅街丘の上にあって、 手入れされた玄関へと小道が続き広々とした玄関が印象的でした。 「お母さーん。僕の友人ですよ」 「はい・はい」リビングの奥からゆっくりとした足取りで、 ロングドレスを着たシルバーの美しい髪をした政子先生が出て来られ ご挨拶をし、リビングへと通された。 天井が高く2Fは吹き抜けでヨーロッパを思わせる 建の書斎と説明をしてくれ、あとで案内すると言われた。 そのうちに

          Ep.3 初めての自宅訪問

            Ep.2 建は真面目な生徒

               飾らない気さくな性格 バリトン 建は低い張りのあるオペラでいうバリトンの声で話し、 有名な歌人であるということは全く知らず英会話教師、 生徒という関係になったのです。 週に1回仕事帰りに疲れた顔を見せずに建は、英語に一生懸命に 取り組んでいました。 それから数ヶ月経った日・・・ ほぼ毎週欠かさずレッスンをし私の住む東区の方に 来てくれるようになりました。 段々打ち解けてくると「ケン」「トニー」は私のカトリックの洗礼名で 呼び合うようになり公私共にまるで同級生

            Ep.2 建は真面目な生徒

           Ep.1 神が与えた出会いとは

          春日井建と一歩の運命的な出会い  当時私は東京から名古屋へ転勤になり余裕ができる程暇な時もあった。 名古屋市千種区のカフェ16時頃 外は酷い雨、大きな窓の外の灯りを貰いながら私は洋書を読んでいた 。 そこへ店員が来て相席を促され濡れたスーツを拭きながら 「酷い雨ですねぇ」 と言いながらテーブルに座ったのが建だった。 この時は、何者なのかも知らずにいて大きなブリーフケースの中から原稿と思われる物を取り出し、 読んでいたのを思い出す。 「洋書を読んでいるんですね 」 「ま。は

           Ep.1 神が与えた出会いとは