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     ぼくはうたうんだ!

          滑走路

若くしてこの世を後にした萩原慎一郎を知ってるだろうか。
近藤芳美、春日井建、岡井隆、栗木京子、加藤治郎、馬場あき子、俵万智
などが早くから萩原慎一郎の歌の才能を見つけている。

萩原慎一郎 第一歌集 滑走路

萩原慎一郎は、中高一貫校に入学し、野球部へと入部したが
野球部顧問教諭に怒鳴られ萎縮する様子をきっかけに、同級生からからかわれ始め、暴言や暴力が伴う苛烈ないじめへと発展し、そのいじめは中学校から高校と長期間に渡って行われ続けた。2002年から三枝昂之に師事し数々の短歌大賞を受賞。高校卒業後もいじめによって負わされた後遺症に苦んだが、入院や通院をしながら早稲田大学に通い卒業した。
萩原の歌は、とても軽いライトバースであるが、その歌の背景にあるイジメだとは臭わせず、実に軽快に歯切れよく歌われている。


重たいテーマを選択しながら、口語であることによって、重みが緩和されるそれこそが、次世代における口語使用であると考えています。
また、短歌をこころざす青年たちの規範となれる歌人となれるよう
いっそう努力してゆくつもりです。

萩原慎一郎 手記より

春日井建選
ローランドゴリラが胸を叩きたり動物園の檻の絶叫
              NHK歌壇2003/5/慎一郎19歳

ローランドゴリラが胸を叩くのは、威嚇行為であるが慎一郎の背景を思うと
苦しい心の内を胸を叩き、檻から絶叫しているのである。
その様は、心無い言葉の暴力で精神も肉体も壊れかけている正に
その時期と重なる。


文部科学省が発表した調査では、2021年度に全国の国公私立の小中高校と特
別支援学校で認知したいじめの件数は51万7163件で、前年度より15・6%
減少した。
心身が深刻な被害を受けるといった、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」とされた事例は前年度より28・9%減の514件だった。

減とは記載されてはいるが、みえないイジメは数字に上がっていないのは明らかで今も苦しめられている人に国全体として手厚いフォローもないのが現状と感じている。高校は義務教育ではなく、心を病んでも単位などに影響し、休むこともなかなかできないため、小中学生とは違うより難しい環境がある。子どもたちが安心して過ごせて、悩みを打ち明けられる新たな居場所づくりが必要で、それを国が支える仕組みが現実になれば良いと願う。

           

                             年齢から見えてくる荻原慎一郎 の軌跡
                              歌人荻原慎一郎 公式ホームページより

ふるるるる風の吹きたる六月に雨の交じりて恋の始まる 17歳
前髪を垂らして自我をころしつつ「存在」という言葉に悩む  18歳

はるかなる孤独とぼくは大げさな言葉で以ってかっこつけたがる   19歳
降り積もる想いさえない、なさけない、ぱっとしないと溜め息は毒   20歳

踏まれやすき位置に咲きたるタンポポよ負けるなきっといいことあるから
                                                                                                             23歳
雲の数かぞえてみたくなるような最高の晴天 図書館へ                     24歳
目的地特に定めず自転車で駈け抜けた日々 無駄でないはず           25歳

日常をそっと抜け出し冒険に出たくて本を読むのだ、きっと           26歳
ぶちまけろ、この感情を。ぶちまけろ、この詩型へと、この世界へと27歳

青春という名の地獄生きてきて戻りたくないあの教室に                   28歳
紙飛行機ほどの無力なこの歌をきみに届けと世界に放つ                    29歳

虫籠のように作った短歌たち入れておくのは携帯電話                        31歳
自転車で知らない街を駆け抜けた それこそぼくの青春だった          32歳

歌人荻原慎一郎 公式ホームページより

非常に優秀で弟に優しい兄であったとした上で「どんなに馬鹿にされても、短歌で這い上がってやるという意志があったと思います。」と答え、非正規労働の短歌に関しては「現状を自分で変えられない中、お互い非正規であるけど頑張っていこうという意味が込められているのだと思います。」と語った。
                    弟でギタリストの萩原健也さん

KBSコメントより

◇相談窓口
・24時間子供SOSダイヤル(いじめに限らず悩む子供と親、24時間)
                         0120-0-78310
・こころの健康相談統一ダイヤル
0570-064-556(曜日、時間は都道府県により異なる)
都道府県・政令指定都市の相談窓口
・チャイルドライン(18歳までの子ども、午後4時~9時)
                          0120-99-7777
                    ・自殺予防「いのちの電話」
                0570-783-556(午前10時~午後10時)
   0120-783-556(フリーダイヤル、毎月10日午前8時~翌日午前8時)
・全国のいのちの電話一覧(一般社団法人「日本いのちの電話連盟」)
・子どものSOS相談窓口(文部科学省)
・いのち支える相談窓口一覧(自殺総合対策推進センター)


  近くでイジメられてる人を見たら迷わず言葉をかけてあげてください!
  あなたの助けが必要です!
  この世からイジメというものが無くなりますように。

歌人荻原慎一郎 公式ホームページ
https://shinichirohagihara.com/contrail.html

※萩原健也さんよりご許可を頂き掲載しています

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