美しいことばかりは書けない

わたしだって何も好き好んで、こんな(「どんな」かは読んでくださっている方に任せるが)文章を書いているわけではないのである。もっとこう、春の日にふと香る梅の花のような、ステキに上品な美しいことだけ書いたって構わないのだ。世界や人生の美しい面ばかりを書くことは、やろうと思えば、まあできると思う。そうすれば、もっと読んでもらえるだろう。みんな美しいことが大好きだ。もっとスキももらえるだろうし、フォローもしてもらえるし、サポートだってしてもらえるかもしれない。

で、それで?


スキだとかフォローだとかサポートだとか、そんなことのために書くくらいなら、初めから書かない方がマシである。そんなもんいりません。しかし、誤解しないでほしい。他人の評価なんか要らないと言っているからといって、偏屈でもなければ無欲でもない。むしろ、率直で強欲である。なぜなら、わたしが欲しいのは――

あなたの心だから


ただ一人のあなたにわたしの声が届くのであれば、これまでのビュー、スキ、フォロー、サポートの全てと引き替えにしても惜しくはない。

あなたの心を手に入れるためには、わたしが見ている全てをさらすほかない。わたしの心の全てを。あなたの心と等価交換である。わたしは、美しいものも見ているけれど、それとちょうど同じだけ醜いものも見ている。全てをさらすというのであれば、美しいものばかりを書くわけにはいかない道理だ。

たかだかnoteで何を気取っていやがると思ったあなたは、猛省してほしい。「たかだか」と思いながら、それを利用するのであれば、利用しない方が、人生の時間とエネルギーを無駄にしないで済む。利用するのであれば、現に利用しているそれを、「たかだか」と見くびってはいけない。それは、それを利用する自分自身を見くびることへとつながってしまうだろう。

読んでくださってありがとう。もしもこの記事に何かしら感じることがあったら、それをご自分でさらに突きつめてみてください。きっと新しい世界が開けるはずです。いただいたサポートはありがたく頂戴します。