#読書感想文

「椎名君! あなたのは読書感想文ではなく、あらすじを書いているだけ!やり直し」と小学校の先生に注意されたことを今になって思い出しました。

夏休みの宿題に課題図書と感想文が必ず出されました。課題図書は「走れメロス」や「ガリバーの冒険」少し学年が上がると「野菊の墓」か「こころ」あたりか。読書はまあ何とかなるものの、読書感想文には手を焼きました。

「びっくりしました」「じーんときました」「僕もそうなりたいと思いました」では400字詰め原稿用紙は4分の1も埋まらない。そこで私が考えたのは、長々とあらすじを書いて最後にちょっとだけ感想をつける方法です。
4つほどあらすじを引っ張り出して、最後に「何々と思いました」とつける。どんどん原稿用紙は埋まりなにか立派な感想文になった気がしました。

読書を通じて感受性豊かな子供を育てたいと思った文部省や先生方の思惑とは裏腹に、手を抜きながらも見栄えの良いものにする安っぽい思考能力が豊かになりました。半分冗談っぽく書いてますが、今から思えばあのあたりに私の人生の分かれ道があったのではと少しだけ真剣に反省しています。

先生に注意されたことを思い出すと同時に関連してまた別のことを思い出しました。

それは社会人としてそれなりの立場になり、部下を多く持ち、人として何を大切にすべきかを考えていた時に出会った言葉です。それは「考えるな 感じろ」です。子供達が合言葉のようにこの言葉を使っていました。何かのセリフだと思いますが、ある日息子と話している時に「考えないで感じたままで決めたら」と言われて、「考えないで決めるってどういうこと。感じたままって何?」と戸惑いながらも、何か大切な事を言われた気がしました。

あの読書感想文を書いた時の分かれ道に戻ります。確かにその後、何かを知る、学ぶ為の本を読んできたように思います。「考える力を養う本」です。特に社会人になってからは戦略や自己啓発など知識を得る読み物が中心です。方や「感じる力を養う本」は手に取ることはなくなりました。心が温かくなる本、読んだ後も何かが残る本、元気が出る本とは疎遠になりました。

本を読む目的がどちらが良いと言うのではありません。どちらも大切です。本を読む習慣は人が育つ上でとても重要です。本から何かを得る。体験には決して勝ることはないですが、それを補う或いはそれに近いものを得る重要な学びになります。「考える力」も「感じる力」も本が育ててくれます。

私もあの分かれ道に戻って、これからは「感じるがいっぱいある本」を選んで読んでいこうと思います。今までの私は「考える力をつけてくれた本」のおかげです。どんな人たちと一緒にいたかで、その人の人となりがわかるように、どんな本を読んできたかでもその人の人となりがわかります。これからどんな本と出合っていくのかでも、その人の将来もわかる気がします。

「本という生涯の友と大切に付き合っていきたいものです」

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