「つなげる30人」の一体、何がユニークなのか? 〜サウナの整いタイムの囁きから生まれた考察〜
先日、「渋谷をつなげる30人」メンバーと一緒に渋谷のサウナに行った時の事だ。98%が雑談だった中、整いタイム中にふと彼は「いやぁ「つなげる30人」の仕組みってめちゃすごいですよね。」とふと笑顔で耳元で囁いた。
お互い素っ裸の状態で「え?今?」と思いつつも、とても嬉しかった。(別件だが、「渋30サウナ部」を立ち上げたい、という話にもなっている。興味有る方はご連絡ください)
この会話を受けて、確かにこの7年、猪突猛進(妄信)してきたせいで、「「つなげる30人」の何がユニークなのか」みたいな話はこれまで口頭ではしてきたが、きちんと文章にして発信が十分に出来てなかったように思う。
一方、春先に、ご縁いただき「スタンフォード・ソーシャルイノベーション・レビュー 日本版 04――コレクティブ・インパクトの新潮流と社会実装」の中で特集いただいた。コロナ禍で止まってと思っていたコレクティブインパクトの議論が再燃する中で、このように取り上げていただいた事に感謝すると共に、よりこの分野でもっと貢献していきたいと感じた。
もちろん、そもそも「つなげる30人」=「地域内の行政、企業、NPOなど異なるセクターのキーマン30人が、"街の同級生"としてフラットにつながり、互いのリソースを持ち寄りながら地域が良くなるためのアイデアを形にしていく、地域内の官民共創プラットフォーム」という時点でユニークだとは思っているが、もう少し細分化して、他のまちづくり関係の会議やコミュニティと比較した場合の「つなげる30人」の特徴(あるいは、他者から評価される部分)について言語化を試みたい。
一枚目の名刺での参加
一般的なまちづくり系のワークショップ等は概ね平日夜や土日に開催される事が多い印象で、参加する人も組織を背負って参加する、というよりイチ住民としてプライベートな立場で参加するケースが多い。
一方「つなげる30人」は、そもそも平日日中にプログラムを開催し、メンバーが本業の立場(一枚目の名刺)で参加することも特徴である。中には、有給取得し参加する方も中にはいると聞くが、大半は所属組織の決済・承認の元、業務として参加する。だからこそ、「志願して参加する人」は割りと少数で、「会社から行けと言われた」という非常に消極的に参加する人が結構多いのだが、そのモチベーションの多様性も魅力だと思っている(皆、鼻息が荒かったらそれはそれで大変だ。)また本業が全くまちづくりに関連がない組織が参加する事もユニークだと思っている。
最初に課題を設定しない
通常は人が集まる際、何かしら共通のテーマ・アジェンダ・問題意識がある。それはそれで問題ないのだが、「その課題に関心がない、非当事者」との出会いは限られてくる。
一方、「つなげる30人」ではあええてそういう課題設定を最初に行わないようにしている。集まる共通項目は「街」しかない。だからこそその時点で、「関心領域の多様性」が担保されているのが特徴的だと思っている。
再現できる方法論がある
まちづくりワークショップ等は、基本的にはそれぞれの地域の状況に応じた個別最適化されたプログラムを企画立案し、提供することが多い。
一方、「つなげる30人」では、原則、どの拠点においても再現できる方法論を横展開している。基本、「月1回の半日ワークショップを半年間計6回開催」を一定の型にし、システム思考、デザイン思考をベースにした対話を中心にプログラムを構成している。
トレーニングを受けたファシリテーターが進行すれば、上述のような一枚目の名刺で参加したメンバー同士が個々人として相互理解を進め、信頼関係を醸成しながら、複数のフレームを通じて、一定の成果・アウトプットが出ることが今までの実践からも確認ができている。
もっと詳しく述べたい部分ではあるが再現性が低いとも言われている「コレクティブインパクトにおけるHUB人材育成プログラム」としての可能性を秘めていると思っている。
"オープンセッション"でステークホルダーへの理解を高める
同じような志を持ったメンバーによるチームが組まれたら、すぐにでも企画づくりのための会議を重ねたくなるものだろう。しかし、いきなり想いが先行させて企画づくりを進めても、ステークホルダーの顔が見えず、正解が分かず、議論が行き詰まり、解像度の低く実現可能性も低い企画が出来上がり、結果、ステークホルダーからの理解が得られず頓挫するケースもあるだろう。
そんな部分を解消するため、「つなげる30人」では企画づくりの前に「オープンセッション」と呼ばれるステークホルダーを招いた対話の場を開催し、問いを立て、実際の当事者達からの多様なアイデア・意見・課題等に触れる事でより企画をブラッシュアップさせていく素材としていく。
またこのオープンセッションで早めにステークホルダーを招くことで、そういう方を早い内から応援者・共感者・理解者として仲間になっていたくことが出来るのだ。(割とこの時点で、人脈を駆使し、街の大物をゲストにお招きすることも多い。)
提言じゃなく"アクション宣言"
よくまちづくりの中で聞くのが「(主に行政への)提言」である。しかし、それがきちんと検討され、優先順位が上がり、予算付けがされ、行政手動で実行されて、提言が実現するのは、あまりにも遠い道のりであり、相当の「運の良さ」が必要な部分だ。そもそも言葉は悪いがどんなに良いことを言っても「提言」は「実行は他人任せ」なのだから仕方がないと言えば仕方がない。
「つなげる30人」であ、あくまでも行動の主体は30人であり、最後の発表会は、「アクション宣言」というタイトルで開催される。そして、行政を含めた複数のステークホルダーに対して「協力依頼」「応援依頼」をするというスタンスを大事にしている。(もちろん協力・応援がもし伴わなくても小さなアクションを起こす事に注力する)
また30人メンバー内に行政もいるので、様々な要因が絡み合えば、当事者として企画を推進していく事もできる。
「敦賀をつなげる30人」の最終発表会の動画がYoutubeにアップされているので、参考までに!
近距離でアイデアを生み出し続けるコミュニティ
「つなげる30人」の醍醐味は「プログラム終了後」にある。
これまで自身の複数のセミナーやワークショップに参加してきたが、仮に仲良くなってSNS等で繋がったとしても、関係性は深まらず、なかなか次また一緒になにかやりましょう、となるのは結構ハードルが高い。
しかし、「つなげる」のコンセプトは「街の同級生」。かなり近距離に仲間がいる。
「明治維新は西郷隆盛と大久保利通がご近所さんだから起きた」という説もあるくらい、「近い」ってやっぱり何か事を起こすためには重要な要素の一つなのではないかと思う。
半年間で醸成された関係性は、卒業後にも続き、会いたいときは気軽に会える事で、アイデアを生み出し続けるコミュニティとなっているのだ。
と一旦ここまで書いてみたものの、まだまだありそうだし、MECEにするにはもっと掘り起こす必要がありそうだ。改めてVol.2を出すことも検討したい。
とにかく今回一番伝えたいのは「サウナのなんちゃない会話」から多くのいろんな示唆が得られた事!サウナ対話、素晴らしい!って事です!
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