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イチローが王会長(ホークスファンなので、王会長と呼ばせてください)の事を語ったこの動画が好きでたまに見ている。「野球界に尊敬できる人はいない。本当にいない。しかし、王監督だけは、尊敬できる数少ない一人だ」「偉大な記録を作った選手や、人気を博した選手はたくさんいる。しかし、本当に偉大なのは、王監督だけだ」のような趣旨の話だ。

自身の職種の一つが「ファシリテーター」なものだから、仮に私が、「偉大なファシリテーターはどんな人か?」と問われたらどう答えるだろうか、と思いを巡らせた。

尚、様々な定義があろうが、私はファシリテーターの最低限の役割は集団内の対話(以下の会話や議論でなくあくまでも対話)と行動を促す事だと思っている。その上で異質な者同士をつなぎ合わせイノベーションを起こしていくのが一流だと考えている。(この談義は長くなりそうなので、この程度で留めておく)

「対話について」より https://www.ourfutures.net/about/dialogue


話を元にもどそう。先述の「偉大なファシリテーターはどんな人か?」という問いをきっかけに、私は、一体、どういう基準でファシリテーターを評価しているのか、について少し掘り下げてみたくなった。
つまり、一般的なファシリテーターと偉大なファシリテーターを隔てるものはなんなのだろうか、と言う事だ。

その基準の一つとして「どの領域で活動しているのか」があるのかもしれないと思い、その観点で整理とレベル分けを試みた。(もちろん、他の基準もあろうが一旦今回はこの軸で話を進める)

その上でレベル1から6までを設定する試みをしてみたい。

レベル1:組織内の会議進行

いわゆる、「会議の進行ファシリテーター」だ。多くのサイトや教科書でノウハウや心持ちについては書かれているので、そちらを参照していただきたい。

レベル2:組織内横断

組織内の対話を促進し、企業ビジョンの形成・浸透や部署横断による新規事業開発等を支援する。一般的には「組織開発ファシリテーター」「組織変革ファシリテーター」と呼ばれるだろう。

このレベル2までが、恐らく一般的な「ファシリテーター」について役割として広く知られている事であろう。

次からは私が考える「偉大」なファシリテーターの活動領域ついて考察をしていきたい。

そもそも「偉大」なファシリテーターのそもそもの最低条件は組織を越境して活動している、あるいはその活動を支援している、という事が挙げられる。なぜなら多様な文化・価値観が入り交じる中でのファシリテーションは単一な価値観を持つ場合と比較し、相当なレベルを求められると考えるからだ。(当然昨今では組織内で、個々の多様性を活かしていく議論が高まっているが、正直、このレベルでマネジメントできている会社は現実には一握りと言ってよいだろう)

故に、今回、考察を進めるに当たり越境の幅としての「エリア軸」と業種の多様性としての「業種軸」で以下のような四象限を作り、私のドメインでもある「つなげる30人」の活動と照らし合わせながら検討を試みたい。

レベル3:同一エリア内・同業種

「自治体内の同業種コミュニティ」の連携促進を目的とするカテゴリーである。◯◯市■■会、■■会◯◯支部のようなものがイメージしやすいかもしれない。あくまでも「エリア」「業種」は共通しているため共通言語も多くコミュニケーションはしやすい反面、派閥闘争等が起きやすいのも特徴かもしれない。(母方の祖父は医者だったのだが、「医師会」の存在がとてもストレスだった聞く)

ファシリテーターの役割は、波音立てないように、当たり障りのない進行を事務局が淡々と行い「バランスを取る」事が最重視されがちで、そこからイノベーションは起こりにくいケースが大半だが、そこに果敢に切り込くのが、偉大なファシリテーターだと思う。
この部分を担っている方(いわゆるコミュニティリーダー)が「つなげる30人」の一員として参加するケースが多い。

手前味噌だが、「渋谷をつなげる30人」のメンバーが地元の団体と連携しながら、進めていったこのインクルーシブアート事業は非常に有意義だと感じる。

レベル4:同一エリア・異業種

「自治体内あるいはエリア限定の異業種コミュニティ」の連携促進を目的とするカテゴリーである。例えば「まちづくり協議会」「エリアマネジメント協議会」のような組織がそれにあたると考える。
異業種・他業種の同一エリア内のメンバーと定例会議を設けながら、様々な事案の合意形成を丁寧に進めていく。
ファシリテーターの役割は、極力、幹事組織の意向を汲みながら、参加メンバーから反対が出ないように丁寧に事を進めていくのが特徴だ。
しかし、そんな中、参加メンバー個々人の思いをベースに対話を進め、アイデアを創造し、実行まで導くのが、偉大なファシリテーターだと考える。

そういう意味でいうと、福岡の福津市でまちづくり活動をされていらっしゃる津屋崎ブランチの山口覚さんはとてつもなく偉大なファシリテーターだ。

そういう意味では一般的な「つなげる30人」のメンバーはこの領域での成果を期待されている。いわば、「ハブ人材1.0」だ。

レベル5:異エリア間・同業種

レベル3の拡大版かもしれないが、「国内の同業種コミュニティ」の連携促進を目的とするカテゴリーである。一般社団法人日本■■会、一般社団法人◯◯協議会、のような団体がイメージしやすいかもしれない。

そんな中、非常に素晴らしい活動として注目しているのは、全国の公務員ネットワークである「よんなな会」がある。A地点の公務員とB地点の公務員をつなげる事で様々な可能性を切り開いているように見える。同じ公務員だからこその心理的安全性の確保と、違う自治体だからこそ話せるトピックがあるだとう。それを真剣にチャレンジしているように感じ、本当に頭が下がる思いだ。

まちがいなく発起人の脇さんは偉大なファシリテーターであり、尊敬申し上げている。

レベル6:異エリア間・異業種

一般社団法人つなげる30人が育成したい究極のファシリテーターの活動領域だし、私の知る範囲でこの次元のファシリテーションに挑戦し、実績を作っている例を知らない(私が「井の中の蛙大海を知らず」の可能性も高い)

異なるエリア間の異なる業種の方々をつなげたら一体何が起こるのだろうか。

いわば、ここは「ハブ人材2.0」であろう。今後、全国の「つなげる30人」メンバーがそこを担っていきたいと思っている。


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