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昨日、8/19から地域政党「都民ファーストの会」が主催する政治塾「ファースト政経塾」がスタートした。

本政治塾は、従来の政党が主催する政治塾とはコンセプトが異なり、所謂政治家になりたくて立候補を視野に入れている方向けだけの塾ではなく、政策立案やそのための仲間作りに関心が高い事が大きな特徴である。

それに関連し、内容も一方通行な講義型だけではなく、ワークショップ等を通じ塾生及び都民ファーストの会所属議員同士の交流・対話による相互理解・学習をしながら、具体的な政策立案をしていくことを大きな目的にしている。

恐縮な事に、数年前、ご縁あって小池都知事も招いた都民ファーストの会主催のワークショップにてファシリテーターを務めさせていただいた事があった関係で、今回の塾におけるワークショップの設計・進行を担当させていただく事になった。

2019年10月開催「都民ファースト未来会議」の様子

主催側から特に強くオファーを頂いたのが「従来の政治塾とは異なる一人ひとりの思いが尊重される温かいアットホーム雰囲気を出して欲しい。それが都民目線の政策を作ることにつながるはずだ」という事だった。

私も特段、他党の政治塾にもぐりこんだ事は無いが、たしかにネットを検索するとちょっと怖いというか、「The 政治」「The 昭和」感満載で、加齢臭が画面を通じて伝わり、全くイノベーションを感じられない。

ので、自身としては、タイトルにあるように、今回は、政治塾の風景を変えるチャレンジでもあるようだ。

普段行っているように、できるだけカジュアルな雰囲気を演出しつつも、ふわっとしたアウトプットを出すのではなく、しっかりとした具体的な政策を生み出すプログラムを提供することも課せられている

ここから具体的な東京都の景色を変える政策が産まれてくることを思うと責任の重さも感じる。しかし、「東京が変われば日本が変わる」の精神で自身も楽しんでいきたい。


昨日、初日を終えて、いくつか自分自身のために、自身の学びや、進行する上で考慮していた事を内省メモとして遺しておく。

【学び】議員(代議士)=課題当事者であることの強み

初回ゲストである乙武洋匡氏から、下記国民民主党の伊藤衆議院議員が自身の経験を元に国会で質問を行い、総理答弁を引き出した事例が引き合いに出されたが、非常に本質をついた事例だと感じた。

従来、政治家とは本来的に(特に衆議院議員は「代議士」とも呼ばれる)「誰かの声を代弁する代表」として選挙で選ばれた職業である。

しかし、実態は往々にて票を持っている既得権益層や特定の支持団体の声が締め、票を持たないマイノリティ層の声は反映されにくいのが実情だ。あるいはマイノリティ層の声を代弁できたとしても、「当事者」ほどの熱量と覚悟は持てず、野党にとっては格好の政争の具になりやすい。(それがいけない訳では無いが、目的を見失うケースが多いように見える)

故に上記伊藤議員のような当事者性を持つ議員の本気度の熱量と説得力は他の非当事者を圧倒するのだと感じた。

また、そういう議員が1人でも多く増えて欲しいし、「比例代表制」の応用版として「テーマ代表制」のよう仕組みが整えば多様性と当事者性が担保できるのかもしれない(この制度改革はかなり困難だとは思うが。。)

【内省】進行時の思考

昨日、ありがたい事に複数の議員の方から場作り全般について「これまでの政治塾の常識に囚われない形で新鮮だった」と、ポジティブなフィードバックを複数いただけた。

昨日は初日ということもあり、行ったことは

  1. オリエンテーション

  2. メンバー及び関係者の自己紹介

  3. レクチャー

の3つだったのだが、一体、具体的に何をどのように意識して設計・進行したのかをかいつまんで共有してみようと思う。

レイアウト

意外と場のコンセプトを規定するのはレイアウトだったりする。レイアウトは口程に物を言う。かしこまった場なのか、フラットな場なのか、一方通行な場なのか、自由な場なのか。

ちなみに、冒頭、部屋につくとこのようなスクール形式のレイアウトだった。

通常の発想だと、「塾=知識伝達=スクール形式」が大半だと思うが、今回のオーダーを踏まえるならば、やはり硬すぎる。

ありがちなスクール形式

恐縮な事に、レイアウト設計は当方に任せていただけるとのことだったので、思い切って机を取っ払い、「1.オリエンテーション」時は前後2列の扇形にした。

いくつか理由はあるのだが、大きな理由として下記「2.自己紹介」時にサークル状にストレスなく変形できるようにしておくことが大きな理由でもある。

前後2列の扇形

「2.自己紹介」「3.レクチャー」の際は、下記のようにサークル状(所謂、車座である)で行った。

サークル状

こうすることで、科学的に実証できているかは分からないが、上座下座の意識が少なくなり、お互いの顔が見えることでフラットな感覚を養え、ホール感(全体感)を感じ、場への心理的抵抗が少なくなることで、よりコミットしやすい雰囲気になると私は考えている。

進行順番

実は、前日の打ち合わせ時には、進行順番は、以下のように2と3が逆だった。

  1. オリエンテーション

  2. レクチャー

  3. メンバー及び関係者の自己紹介

この全体構成を決める議論に自身は関わったおらず、任されたのは「メンバー及び関係者の自己紹介」部分だったので、越権行為となるから、全体の構成にまで口は出すまいと思っていた。

しかし、諸事情によって名簿を全員に配布することは控える方針だった事を当日知り、「だったらば」と現場で恐る恐る順番変更の提案をしてみると、柔軟な対応が可能だったので、2と3の順番を変えさせていただいた。

瞬時に浮かんだ大きな理由としては以下のような事が挙げれる。

  • そもそも、こういう様々な方が様々な思いで開催されている場を、私は様々な個性ある楽器から構成され、美しい楽曲を奏でるオーケストラだと思っている。なので、初日に、一人一人が等しく発言する時間は、オーケストラで言うところの「チューニング」の時間だと思っており、非常に重きを置いている。

  • その考えを踏まえ、できるだけ早い時間帯にどんな方が、どんな思いでこの場に参加しているかを全体共有した方が、相互の警戒心が減り、より安全安心な場(心理的安全性の高い場)となるから。

  • 結果、それぞれの場へのコミットメントと集中力が高まり、レクチャーの時間をより充実したものに出来るから。

  • 先にどんな人がいるかわかった状態にしたほうが、レクチャーする講師にとっても伝える内容の的が絞られ、解像度を高められるから。

たかが自己紹介、されど自己紹介

「たかが自己紹介」だが、場を進行するファシリテーターとしては、上記のように良いチューニングを行うために、「されど自己紹介」の精神で、この場においてどんな自己紹介が適切か、どんな「問い」で自身を語ってもらうことが全体において最も効果的か「ああでもないこうでもない」と毎回、考えている。

この日、考えていただいた観点はこの3つだけ。しかもそれを参加者であっても議員であってもゲストであっても平等に「1分で話す」という形式を選んだ。

  1. 名前と、もしあればこの場で呼んで欲しいニックネーム

  2. 参加のキッカケ

  3. 参加の目的

またこの項目を話す前に、3分間でA4用紙にペンで書く時間を取ることで、できるだけ事前準備と話す的を絞ることが出来るようにしている(そうしないと「何を話していいか分からない」や「ダラダラとずっと話し続ける」ような場になってしまう。特に政治家の方は職業柄、全員とは言わないがマイクを持つと話しが長くなる傾向は否めない)

なので、ファシリテーターとしては「考える時間を等しく設け」「話しすぎる人」が出ないようにする仕切りが求められる。

1は、ニックネームに意外と個性が出る。実際、初対面でそのニックネームで呼ぶということは無いに等しいのは分かっている。しかしあえてこの問いを入れるのは、難しく言えば「自分はこの場にどのキャラでコミットする覚悟があるのか」を探るために入れている。真面目にいくのか、ちょっと崩していくのか、それは人それぞれである。しかし、その「人それぞれ」をあえて見える化し共有することに意味があると感じている。

2,3はいわば個々人の内省でもあるのだが、その内省を全員で共有することで「あ、それは自分と一緒だな」とか「え、そんな思いでここに参加している人もいるんだ」という「気づき」を促し、「偶発性」を楽しみ、結果「全体として醸し出す暖かな雰囲気づくり」に繋がることが実は大きな目的だったりする。


長々と書いてしまったが、今後もワークショップは以下のようなステップを進めていく予定だ。

極力、各回開催後はこのように内省するレポートを書いていきたいと思う。

尚、次回のゲストは小池百合子東京都知事のようだ。知事に自身のワークショップをご覧になっていたけるかはまだ分からないが、何かの折にこういう場の価値がお耳に入っていただければとも思う。

PS.別案件で富山県知事が県内の全15市町村を行脚した際のワークショップの進行・設計・監修をさせていただた。その時の動画がアップされているので、参考までに掲載しておく。

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