短歌 2月【チョコレート】【自由詠】

第181回「短歌ください」に送った短歌21首です。

【チョコレート】

指先で崩されていく銀紙が低解像度の私を映す

現代を生きる甘党忍者たちまきびしみたくアポロを撒いて

「おかえり」を待たぬ両耳 業務用マーブルチョコはこの街にない

サンプルのチョコクレープを照らしてる蛍光灯に転職したい

全身がガムでできてるしょこたんがチョコのお風呂にギザ溶けていく

チョコレート菓子に描かれたコアラたち箱の中では抱き合っている

自分でも義理であるのか解らずに手渡す為の伏線を張る

それぞれの想いで姿変えていく陳列された板チョコレート

階段で傘を斜めに持つ奴の傘よ全て板チョコになれ

半分に切ってラップに包まれた大根の横でチョコが固まる

【自由詠】

フリックで打ち込む「いとうせいこう」の十字切ってる感あこがれる

この形ポメラニアンかチワワだなコンクリートについた足跡

ついさっきしまった眼鏡取り出してどこかへ逃げた米粒探す

ひとりっ子なのはおそらくドッキリで姉登場のネタバラシ待つ

〈のような〉で片付けられたバールさえ握れぬほどの憎しみたちよ

空き缶を握るとベコッと音が鳴り片手サイズの真夜中を消す

まるかいてちょんまるかいてちょんその後いろいろありましてドラえもん

「学外でどんな活動してました?」「どんぶりにイクラ盛っていました」

聞いておけ新成人よ生活に必要なのは漏斗だったり

大胆な万引きバレて逃げる主婦 追いかける主婦 舞う花吹雪

吉祥寺駅のホームで錠剤をパフォーマンスのように飲み込む

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