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リースバックの相談を100件受けてわかったこと

リースバックという言葉が不動産業界で流行っている。
皆さんはどんなイメージをもたれるだろうか?
相続対策?債務整理?老後資金対策?
様々な需要にお応えできそうな魅力的な誘い文句がインターネット上には散らばっている。

リースバックにはメリットもデメリットもあり、その中でもデメリットが思った以上に多い。
このデメリットを理解していただき、正しい知識を身に付けた上で必要なタイミングでご活用いただきたいと思い書いた。

1 はじめに


私は昨年12月からリースバックの相談を受け始めて、早くも100件以上の相談を受けてきた。

今では月20件以上の相談を受けているが、まだまだ相談件数は増えそうだ。

なぜ、これだけ多くの相談が来るのか?

相談者の多くは、リースバックが問題を解決してくれる万能薬だと考えている節がある。

不動産屋はインターネット上でリースバックという言葉をうたい、どんな問題でも解決できそうな雰囲気を出してホームページを作成しているため、一般消費者はリースバックという言葉に反応して、問い合わせをしているのだろう。

あまり大きな声では言えないが、悪質な不動産屋の思惑にハマってしまっている人もいるようで、不動産業界にいる私が正しい情報を発信せねばと考えた。

100件以上のリースバックの相談を受けることで、不動産業界でホットワードとなっているリースバックの実態を、みなさんにご披露させていただこう。

決して、リースバックが悪なのではなく、本当に求めている人の元に、いい条件で届けたいという気持ちだ。

深刻なお悩みを抱えながらリースバックを検討したいという方のために、少しでもお役に立てたらうれしい。

前置きが長くなってしまったが、はじめたいと思う。

2 リースバックとは


リースバックとは、自宅を売却した後、買主と賃貸借契約を締結して、毎月賃料を支払いながら、賃借人として住み続ける売却方法だ。

今、「リースバック」という言葉だけがひとり歩きをしている。

相場通りに自宅を売却できて、そのまま安い賃料で住み続けることができるというのは夢物語だ。

実情を話すとガッカリして、希望を失ってしまう人さえいるが、悪徳業者にだまされないためにもここは声を大にして言いたい。

現実にはそんなに虫の良い話はない。

リースバックには主に3つのデメリットがある。

3 リースバックのデメリット

リースバックは、売主さんにとって経済的にはほぼ確実に損をする。

この部分をまずは解き明かしていこう。

売主さんにとって損をするポイントは3つ

<ポイント1>売買代金

通常、実需用の不動産は、実需向けに一般のエンドユーザーへ売却した方が高い値段がつく。リースバックの場合、売却後の賃料や買戻しの条件次第で売却価格は変わるが、一般的には、戸建住宅は建物評価はされず土地値が基準になるし、マンションの場合には中古の成約事例が2,500万円くらいのものであれば、2,000万円前後くらいの売買価格になるケースが多い。

また、購入者は。実需のエンドユーザーではなく、安く買って最終的には高く売却して利益を出したいと考えている不動産業者や投資家が購入することになるため、価格の交渉ができないと安く買い叩かれてしまう可能性がある。

買取りをしている不動産業者や投資家のベースになる考え方は、安く買って高く売る、もしくは安く買って高い賃料を得ることであることを忘れてはならない。

安く売却するメリットも無い訳では無い。将来的に売却した自宅を買戻ししたい意向がある場合には安く売却した方が、安く買い戻せる可能性が高まる。事前に購入者と話し合いをして、契約書に記載した方が良い。よくある買戻し価格は、売却価格の120%~130%程度。

<ポイント2>賃料設定

10年後、20年後のトータルの支払い賃料はいくらになるか?結構な負担になることを計算して把握するのとが大切だ。月10万円の賃料なら、年間120万円、10年で1,200万円、20年で2,400万円になる。ローンの返済が無い状況であれば、賃料よりも、固定資産税と都市計画税(マンションの場合は、プラス管理費・修繕積立金)を毎年支払って住み続ける方がよっぽど安上がりになる。

無理な賃料設定をすることで、将来的に滞納してしまう可能性が高まる。今の自宅に長期で住み続けたいと思っても、滞納してしまえば賃貸借契約の解除が近づき、退去しなければならない状況に追い込まれる。

<ポイント3>所有者が変わるリスク

所有者(ここでいう賃貸人)が不動産を売却すれば、賃貸借契約は新所有者に引き継がれる。賃借人が、ずっと住み続けたいという意向であっても、この意向を新所有者に引き継いでくれるか、新所有者が長期保有で旧所有者と締結する賃貸借契約を長期で継続させたいと考えているかも重要なポイントになる。リースバックで売却する前には必ず買主に対して、ずっと住み続けたい意向であることを強調して伝え、長期保有で今の賃貸借契約の継続を望んでいるのかを確認しておくことが大切だ。

それでも今のご自宅に住み続けることが最大のメリットだと考えられる方が、リースバックを選択するべき方だと思います。

4 どんな人がリースバックを選択しているか

・住宅ローン支払いがきついので、月々のランニングコストを抑えたい
・債務を一度返済して、事業の運転資金などを得たい
・生活が苦しいので売却して手元資金を確保。賃貸で親から継いだ家に住み続けたい
・ご家族の入院などで一時的に資金需要がある
・相続対策の遺産分割対策
・子供の学校の学区の問題で引越ししたくない
・売却したいけど室内が汚いので、引越しも大変。
・築年数が古いため、通常売却とリースバックの価格があまりかわらない。

たまに相談を受けるのは、自宅の買い替えでリースバックを検討しているご相談者の方。買い替えでリースバックをする必要はありませんので、ご注意ください。リースバックは通常の売却より安くなりますから、こんなこと言い出す不動産屋がいたら要注意です。

5 どうすれば良いリースバックの契約ができるか?

お一人では、交渉上手の不動産屋を相手に、どれだけの交渉ができるかは疑問だ。信頼できる専門家に相談できるのが一番良い。

なぜなら、リースバックは不動産の売買と賃貸借契約の条件の両方のバランスを上手くとらないと、良い契約にはならない。このバランスを上手く取り、味方になって交渉してくれる専門家に相談することは重要だ。

相談できる専門家がいない場合には、将来のライフプランを描いてほしい。これだけはというポイントは3つ。
・売却して手取りがいくらになるか?
・賃料を将来的にいくら支払うか?
・収入の賃料のバランスに問題はないか?

賃料設定が高すぎる場合、途中から賃料が支払えなくなって、賃貸借契約の解除につながる。だから、じっくりと検討してほしい。

不動産屋だからと言って、リースバックに精通している人が多い訳でもないので、お知り合いに不動産屋がいても良いアドバイスを得られないかもしれない。

そんな時に私に相談していただければ、お役に立てるようにがんばる所存です。

6 リースバックでない選択肢

経済的なデメリットが大きいから、リースバックはやめた方が良いと無責任なことを言いたいわけではない。人は誰もが事情を抱えて生きていて、お金には換算できないものを持っている。これが人の価値観だと思う。お金を払ってでも、損をしてでもここは妥協したくない思われる部分は人それぞれあると思う。この想いを大切にしていただき、家族の価値観と向き合って、リースバックを検討してほしい。

リースバック以外の問題解決方法も検討したいという方もいらっしゃると思う。

ご連絡いただけましたら他の選択肢を検証して、ご提案させていただきます。

本当にリースバックが最善の選択肢なのかを一度立ち止まって考えましょう。

リースバック以外の選択肢は王道の選択肢です。
・リバースモーゲージ
・引越しして、通常売却
・そのまま住み続ける

状況、不動産やご相談者の生活状況によって他の選択肢を提案できる可能性もあります。

こちらまで、ご連絡いただけましたら、私が対応させていただきます。

お気軽にご連絡ください。

柏原健太郎 kashiwabaraka@gmail.com

社内では、私が中心となってサポートリースバックというブランドを立ち上げて、リースバックのご相談を受け付けています。ここへ連絡いただいて、コメント欄に柏原をご指名いただければ、私が対応させていただきます。

他に不動産や相続のお悩みがあれば、上記メールにご相談ください!


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