見出し画像

シャニマス5thライブ『If I_wings.』考察③_闇の中でも輝く光:イルミネーションスターズ

 タイトルに③とあるとおり連続の記事になりますが、前回とは直接的には繋がりがありませんので、本記事だけでもお読みいただけます。

 標記のライブについて、今までのライブ以上に重要な立ち位置として設定され、そして個人的にその特徴が一層際立って感じられたユニットが「イルミネーションスターズ(以下「イルミネ」という。)」です。day2の序盤のセトリはday1と同じかと思われましたが、イルミネの番になってday1とは違い『ヒカリのdestination』を歌唱。違う可能性を辿った世界なんだという感覚と共に、その歌詞の意味を強く意識させられました。
 その他、day2はもちろんですが、ラストライブという演出のday1の中でさえ希望を感じさせる輝きを放っており、詳細を知らない観客としては救済とも言うべき安心感を覚えていました。

 では、なぜイルミネに他ユニットより強い輝きを感じたのか。言語化するのは無粋ですし、そもそも感情の部分を文章では完全に表現できませんが、「エモい」で片づけてしまうのは雑すぎるとも思います。自分の考えを整理するためにも、ユニットのコンセプトと楽曲、標記ライブの中での立ち位置などから、今回再認識したイルミネの素晴らしさを可能な限り言語化して文章にまとめたいと思います。

1.ユニットのコンセプト

 イルミネのキャッチコピーは「瞳に輝く、無限の可能性」。

 ユニット最初の曲『ヒカリのdestination』の歌詞と関連したこのキャッチコピーはゲームのリリース前から一貫して変わっておらず、それが5thライブのコンセプトと見事に繋がるわけですが、それについては後述します。
 イルミネがどんなユニットで、どのような歩みがあって現在の関係性を築いているのか。それは複数のコミュによって描かれる彼女らの個人としての行動や考え方、私生活での自然な振る舞いとアイドルという仕事への向き合い方、ユニットとしての在り方を模索していく姿などの積み重ねの上に構築されています。そして、それらを結晶化させ表現したものがイルミネの楽曲である、と言えるでしょう。
 コミュについてはそれぞれ相当に深い話であり、簡潔に語ることは到底できないほど複雑に絡み合った展開になっています(それがシャニマスの特徴でもあります)が、楽曲も含めて一貫して描かれているのは、

  • アイドルとして輝ける将来への可能性と希望

  • 迷ったり立ち止まったりしながらでも前に進もうとする意思

  • 共に歩んでいこうとするユニット3人の絆

 無理やり短くまとめれば、イルミネのコンセプトはこのようになると考えています。「瞳に輝く、無限の可能性」というのは本当にイルミネをよく表したキャッチコピーであり、逆に、そこから外れないようにアイドル個人とユニットを育ててきた制作陣の手腕の巧みさが光ります。

2.5thライブでの立ち位置

 これを踏まえて、5thライブday1-2それぞれでの立ち位置はどのように設定され、どのような効果を生んでいたか。

2-1.day1

 day1はライブのコンセプトが「ラストライブ」、終わりを感じさせる演出が随所に挿入されていました。各ユニットの楽曲は素晴らしいパフォーマンスだし非常に盛り上がる……しかしこれが最後だという演出から純粋に楽しい気分にはなれない。そんな中で披露されるイルミネの楽曲は、前述のとおり将来への可能性と希望、3人の絆などが結晶化したものです。根拠は無くとも「それでもイルミネは大丈夫」と安心すると同時に、終わりという暗闇の中でイルミネの存在が明るく輝いているようでした。イルミネに救われた気持ちになったのはそのような感覚を抱いたからでしょう。
 だからこそ、day1の最後で舞台の上手側と下手側に分かれて退場する演出にはイルミネの分断が想起され、「別の方向に引っ込む」というだけにもかかわらず自分でも驚くほどの衝撃と言い知れない不安を覚えました。

2-2.day2

 それに対してday2は、「アイドルを辞める可能性もあるかも知れないけれど、それは今ではない」というday1のコンセプトとは真逆の意思表示が序盤になされ、冒頭でも書いたとおり『ヒカリのdestination』の歌唱。よく「1曲目は自己紹介曲」と言われるとおり、この曲には前述したイルミネのコンセプトが純粋に凝縮されています。day2の演出の真意とも言うべき「無限の可能性の中からアイドルを続けることを選ぶ」ことを見事に表現した1曲であり、この1曲だけで会場の空気が完全に入れ替わったのを感じました。

3.結論:イルミネとは

 当然ながら上記のわずかな文章程度では自分の中の理解と感情をすべて表現できているわけではありませんが、無限の可能性・将来への希望・意思の強さ・3人の絆・安心感・救いなど、これらの要素全てを包含して一言で表すならば、

イルミネーションスターズは「光」

としか言いようがありません。

 リリースから5年間、イルミネは「輝く星」というユニット名が意味するとおり光を保ち続け、いや、違う色を見せながらより輝きを増しています。各キャスト、楽曲制作者、シナリオ・グラフィック制作者など、関係する方々がそれぞれの力でイルミネを輝かせようと同じ方向を向いて尽力して頂いているお陰であり、その成果物を浴びて感動するたびに、イルミネとその裏側にいる関係者の方々に感謝の念が尽きません。


余談:day1世界での風野灯織の存在

 さて、ここからは完全に余談ですが、day1では朗読や楽曲中で一切出てこなかった風野灯織について。キャストの近藤玲奈さんが体調やスケジュールなどの理由でday1には出演できなかったということではありますが、演出としてのday1世界ではどのような立ち位置になっていたのか。day1世界はあれで終わりであり、今後の展開があるわけではないので全く意味が無い上に答えも無い予想ですが、一応考えてみたいと思います。
 とりあえず考えられる可能性は以下の3つ。

  1. 朗読や歌唱で登場していないだけであり、実際の設定と同じくイルミネのメンバーとして存在している

  2. もともとイルミネのメンバーだったが、何らかの理由で脱退した

  3. そもそも283プロに所属しておらず、イルミネは2人ユニットだった

1.だとすると、『イルミネイトコンサート』の歌唱の際にピンクと黄色のペンライトだけが振られている映像演出になっているのが不自然です。
2.だとすると、もともとアイドルを志望していた灯織が脱退したということと比べて、他のアイドルは全員所属し続けているという状態であることに違和感があります。
3.だとすると、『FELICE』で灯織のコーラスが入っていることに説明がつきません……が、あれは「風野灯織」ではなく近藤玲奈さんの声の別人のコーラスだと考えれば一応説明できます。

 ということで、私としては3.ではないかと思いますが、そんな可能性を辿った世界だったとしたら『トライアングル』も生まれておらず、そもそも全てのコミュが成立しない……誰一人欠けることができないこのユニットにこの3人が存在していることに改めて奇跡を感じます。


 先日、高山プロデューサーの感想コメント付きday1同時視聴会があり、制作サイドとしての想いを知ることができましたね。また、キャストのコメント付きday1-2の同時視聴会もあり、キャストとしての想いも聴くことができました。
 基本的にはこれで情報出尽くしかと思いますので、最終的な考察の見直しと意識の更新を図り、考察④の記事としてまとめたいと思います。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?