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シャニマス『我儘なまま』振り返り③:オーコメ等で明かされた裏話を踏まえて

 7月22日・23日に開催された標記のライブですが、ここ2年ほどで恒例となった「開催1週間後にキャストをオーディオコメンタリーとして呼んだ同時視聴会」が今回も実施されました。また、ライブ開催後、公式放送や個人番組でライブについて語っていた方もおられました。そこで知った各キャストの想いに大変驚きと感銘を受けた内容がありましたので、一部それらを紹介しつつ深堀りし、これを踏まえた想いを記載してみたいと思います。
 つまり今回はキャストへの想いを綴っていくことになります。全員に対して書きたいところですが尋常ではない量になるため、その中でも特に!という方々に絞って以下に記載します。

 なお、チョクメ!でかなり詳細に感想などを綴られているキャストもおられるようですが、基本的に私はその内容を知りません。特定のキャストに強い思い入れがあり、あるいは今回のライブで思い入れが生まれ、その方がチョクメをやっているなら購読するのに遅いなんてことはありません。チョクメはいいらしいぞ。


1.丸岡和佳奈さん(杜野凛世役)について

 ライブ開催数日後に彼女の個人番組において以下のようなことを仰られていました。

 役者としては主役を引き立て自分はある意味で目立たないのが正解だと思いつつ、凛世の担当として見に来てくれた人に対してはそれでは失礼であると思っている

 通常の演劇でも、特定の役者のファンがその役者目当てに観劇に来るという例はよくありますが、本公演は特定のアイドルの「担当」を自認しているファンが多数来ているという点でその性格がより強いと言えるのかも知れません。どのアイドル・キャストも、朗読劇の配役にかかわらず誰かにとっての主役である。その期待と、役者としての配役に応じた動きのバランスを取るのは本公演特有の難しい部分だったのではないでしょうか。
 そんな丸岡さんですが、確かにDay1・Day2共に朗読劇においては重要とは言えない配役だったと思います。しかし……その歌唱と舞いを披露する場面においては紛れもなく主役であり、今までのどのライブよりも杜野凛世であったように感じられました。和装風の衣装の美しさはもちろんのこと、工夫されたという袖さばきの優雅さによって壁に投影されたシルエットが完全に杜野凛世であり、現地で見ながら(これはまるで……)とイデア論におけるプラトンの「洞窟の比喩」を想起していました。

 丸岡和佳奈は杜野凛世のイデアなのか……いや、むしろ逆である。杜野凛世の存在を極限と言えるほどに自らに投影させたのが本公演での丸岡さんであり、シルエットだけを抽出したらもはや判別ができないほどに2者が同一の存在となっていた、ということではないのか。
 これほどの現実感をもって杜野凛世というキャラクターを体現し観客へ届けようとする丸岡さんの思い入れの強さ、積み重ねてきた努力と思考の深さが感じられたパフォーマンスでした。
 これに関しての思索を深めればかなり濃厚な怪文書が書けそうではありますが、それはまた別の機会にしたいと思います。

 すごくない!?これ、わかさまなんだよ!?

関根瞳


2.白石晴香さん(園田智代子役)について

 オーコメ付き同時視聴会Day2において、涼本あきほさんが以下のようなことを仰られていました。

涼本「ずっと続けてきたダンスの技術がどうしても出てしまうため、智代子の可愛らしさが出ないではないかと本人は気にしている」

 確かに白石さんのダンスの上手さは、素養のない私などから見ても明らかに分かります。これに対し、オーコメに出演されていたキャスト3名が驚愕し全力で反論していたことからも、白石さんのダンスが上手すぎて智代子に見えないなどという意見は聞いたことが無いことからも、誰もが彼女の園田智代子としてのパフォーマンスに説得力のようなものを感じているのだと言えるでしょう。恐らくオーコメを聴かれていた皆さんも、白石さんがそのように考えていたというのには驚かれたと思います。
 後から考えれば、白石さんはずっとそのように考えていたらしく、他ユニットには言っていなかったようですが放クラのメンバーには打ち明けていたということを感じさせる節がありました。2022年8月、放クラのSETSUNA BEATユニット作戦会議で仰っていた内容を振り返ってみましょう。(現在公開終了)

白石「確実に新たな面を見せられるから、どう見せようか悩んでいるというか。(中略)嬉しいの。見せたかった、見てほしかった部分でもあったし、逆にちょこちゃんがそれをどうするのかを一緒に考えるのも楽しい」
河野「キャスト自身が今までの人生で持っていた要素と、アイドルが今まで歩いてきたところとの手のつなぎ方みたいな。今までは自分に無かったものをアイドルから貰っていたが、アイドルに無かったものをこっちが提示できる機会が来た、というところの駆け引きがヒリヒリするし、楽しいしワクワクする」

 白石さんの話を受けての河野さんのこのコメント。他のキャストのことも指しているのでしょうが、やはり白石さんのダンススキルに関することが念頭にあっての発言だと考えられます。(それにしても河野さんの語彙力は素晴らしい)
 白石さんの場合は『OH MY GOD』でのパフォーマンスを考えてこう仰られたと思われますが、この公演ではまさに歌って踊れるかっこいい園田智代子を魅せてもらえました。一方、『我儘なまま』では、智代子の本分とも言える可愛さを全面に出したソロ曲とパフォーマンス。単に技術があるというだけではなく、どちらも完璧に表現でき、それでいてどちらも紛れもなく園田智代子。やはり白石さんのダンススキルと表現力は圧倒的。さすが283プロのダンス番長。

 ちなみに、SETSUNA BEATのシャッフル曲リクエストにあたって、私は『OH MY GOD』をリクエストしました。コメントでは「智代子のイメージとは違うかも知れないが、白石さんのダンスで智代子の新しい魅力を見せて欲しい」というようなことを書きました。このメッセージが届いたような気になって報われた、というただのオタクの自己満足をここで開陳しておきます。

 園田ー!!体幹が強いぞ園田ー!!

涼本あきほ


3.涼本あきほさん(有栖川夏葉役)について

 『我儘なまま』のオーコメを聴いて、キャストについて語るとなればこの方を外すわけにはいかないでしょう。『シャイノグラフィ』の前までの大暴れに大変笑わせてもらったのはさておき、オーコメで話していた内容には感動し涙を禁じ得ませんでした。
 Day2では座長・主演という最も重要な役割、更にソロ曲の披露順は大トリという間違いなく一番プレッシャーのかかる立場。なおかつ5年間ユニットで活動してきた放クラのメンバーと一緒にレッスンするわけでもなく、事務所の同期である幸村さんや峯田さんに頼るでもなく、一人で、そして同日のもう一人の主演である希水さんと練習を重ねる。涼本さんは希水さんの前で何度も泣いたと言っていましたが、希水さんが「練習を重ねるたびにどんどん良くなっていくのが見えた」と言っていた通り、本番ではその練習が結実し最高のパフォーマンスを見せてくれました。まさに「1秒前の自分に勝っていたい」という在り方を自ら続けてきたからこその結果です。
 それだけに、涼本さんが仰っていた以下の内容が対比的で、かえって印象的です。

 夏葉が座長の公演ではみんなが主役だと思っている。でも私が泣いてしまったら夏葉だけが主役に見えてしまう、その感情で終えるライブにしたくない。みんな頑張ったね、で終えたい

涼本あきほ

 トップを目指して努力を続けているが、他者と競って勝つことを目的にしているのではなく、あくまで自分自身に勝ち続けることで高みを目指す夏葉。放クラの中では最年長でありながら誰よりもアグレッシブでメンバーを引っ張っていくようなところもありつつ、周りを気にかけてフォローすることもできる視点と余裕を持った夏葉。その姿と、上に記載したような本公演に臨む涼本さんの姿、そしてDay2の最後にソロを見事歌い切った涼本さんの姿が重なって見えます。


4.関根瞳さん(櫻木真乃役)について

 放クラのキャストについての話が続きましたが、個人的に、そして恐らく3rdツアーを経てから特にソロ曲への期待が強かったのが真乃だったのではないでしょうか。
 本公演ではDay1の座長として、また、シャイニーカラーズのセンターとして常に中心に在り続けた真乃と関根さん。その強さは誰が見ても明らかです。Day1のトリで披露した『ありったけの輝きで』も、まったく気負いを感じさせない安定感のあるパフォーマンス。全体的には柔らかい動きでありながら芯の強さが感じられるダンス、歌唱や表情に感情を乗せて届けようとするその姿。開催前、この曲が披露された際には私は号泣するかもしれないと思っていましたが、Day1ではその安心感すら覚える姿に意外なほど落ち着いて観ることができました(Day1の流れ上、まさか今日はやらないんじゃないかとハラハラしていたことへの安堵もあります)。
 涼本さんはこの日の関根さんを見たときのことを以下のように仰っていましたが、キャスト側から見てもそれほどに堂々たる様子だったということが窺えます。

涼本「座長が最後にソロを歌うけど、ここまで堂々とできないかも知れない、明日の自分がここまで堂々としているとは思えなくて、立てないほど泣いてしまった。(中略)絶対にブレないっていう信頼感がある」

 それだけに、関根さんがDay1の映像を「怖くてまだ見れていない」と言ったのには驚きました。20代前半としてはありえないほど大舞台の場数を踏み、想像もつかないほどの重圧を乗り越えてきてもなお、やはり年相応の弱さ・自信の無さのようなものはどこかに持っているのだということはファン側も忘れてはならない。その考えを新たにしました。

 改めて、3rdツアー東京Day2、アンコール後の挨拶でのコメントを振り返りたいと思います。

 私は涙を流してしまうこともあるけど、真乃を見ると、一人じゃないことが心強いんだと実感します。真乃は自然体だけど強くて優しい輝きで、私はそれを表現できているのかなって思っているけど、歌が、みんなが真乃を支えているんだと実感して、今日は自分の中で特別な日になりました。私は泣かない強い人でありたいので、笑顔で!笑顔でね、みんなで一緒に羽ばたいていきましょう

関根瞳

 この場面は今見ても大泣きします。この状況でこんなにしっかりしたコメントをし、なおかつすぐ立て直し、アンコール後の最後の曲紹介までこなしている。これから2年経った現在、シャニマスの5年間では特殊な形式や脚本のライブもあり、ブランド合同・バンナムフェスなどの大規模ライブもありましたが、その全てを含めて、公演中に涙を見せたのはこの一瞬のみ。泣かない強い人でありたい……いや、この時点で既に尋常ではない強さです。
 ちなみに上記のコメントを確認するためにBDを改めて観ましたが、そのたびに泣いて文字に起こせなかったからもう一度観て、また泣いてもう一度観てを5回ほど繰り返しました。

 3rdと今回を比較してみると、マイクや衣装の違い、ダンス技術が向上したというような違いは当然あるにしても、それ以上に関根さんの表情・動き・歌声から放たれる「輝き」のようなものが強まっているように感じられました。感覚的なものなので説明はできませんが、本公演で見れたのは3rdの時から更に成長し、多彩さを増した真乃と関根さんの今の「ありったけの輝き」だったのでしょう。


5.最後に

 本記事が3本目となる『我儘なまま』に関する感想・考察記事ですが、恐らくこれで最後になると思います。上で挙げた4人以外もソロ曲に対する強い思い入れが感じられる公演であり、公演後のコメントなどで初めて気付かされた点も含めて、全員に対して尊敬の念が深まった大変素晴らしい公演でした。本公演もSETSUNA・MUGENのように単独で円盤化はしないのかも知れませんが、是非とも円盤を出してほしい。しかしそれとは別として、オーコメの方はもう聴けないのが残念です。

 ライブに対する制作サイドの力の入れよう、キャストの思い入れの深さ、観客の熱量。基盤となるゲームだけでなく、コミック、楽曲、そしてアニメも含めてシャニマスのより一層の展開が期待されます。キャスト個人としても活動の幅を広げられ活躍されていくことは間違いないでしょう。そして早くも数か月後に開催される5.5thライブが楽しみでなりません。


 最後に、私が過去に書いた『我儘なまま』関連の記事を載せておきます。ご興味があればご覧ください。


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