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シャニマス5thライブ『If I_wings.』考察②_day2観賞後、改めてday1を見つめ直した

 標記のライブについて、day1の演出がコンテンツのファンにとってあまりにも不安を煽るような内容になっており、ファンの間で大変に物議を醸しました。私としてもどういう意味・理由があってこういう形にしたのか、ということを考えざるを得ず、そしてそれを形に残しておく意義を見出したため、いわゆる考察勢となることにしました。その時の内容は以下の通りです。

 day1終了後は、day2でそのあたりが明かされるはず……と思っていましたが、day2で示された答えを要約すると「アイドルを辞めたりユニット解散したりする未来もあったかも知れないけど、事務所の仲間やプロデューサーのお陰でアイドルが続けられているし、これからも続けます(シャニマスというコンテンツも続きます)」というようなものでした。そういう意味では、前述した私の考察も当たらずとも遠からずといったところではないでしょうか。
 しかし、2日間かけた大掛かりな演出の割には説明が大雑把すぎるように感じられたため、まだまだ考察の余地があると考えます。企画運営側の説明・解説があればそれを呑み込む心づもりではありますが、今のところは明示されたものが無いため、ライブコンセプト、day1-2の違いから見る演出の意図などについて考えたいと思います。
 念のため言っておきますが、当然ながら公演内容とゲーム内コミュのネタバレを含みます。ご注意ください。

1.公演のタイトルとロゴについて

 まずは公演全体に関するものとしてタイトル及びロゴについて。本公演の開催決定は、2022年10月の『MUGEN BEAT』公演後の告知情報で発表されました。その時点で、公開されたタイトルとロゴに不穏な雰囲気を感じたのをよく覚えています。

1-1.タイトル

 タイトル『If I_wings.』については真意は不明ですが、恐らくアンダーバー部分に何かの動詞が入るのでしょう。それが何なのかは、正解が一意に定まっているわけではなく様々な可能性があるということを示しているのではないかと思います。まさにそれが本公演のコンセプトと言ってもいいでしょう。

1-2.ロゴ

 羽根が縦に切られたようなデザインですが、day1-2の演出及び告知内容を踏まえると以下のようなことを表していると解釈できます。

  • ロゴの左から右に向かって過去→現在→未来の時間経過を表しており、切られた部分がday1とday2の境界を意味する。

  • 羽根の左側はday1を表す。羽根が切れる、つまりアイドル活動を終えるという可能性があったことを演出で示唆し、day1は「羽根が切れた」状態で公演を終えた。

  • 羽根の右側はday2を表す。羽根は切れずに続いていき、かつ、羽根が黒っぽいのは「斑鳩ルカ加入」を示唆している。更に、右端に進むに従って羽根が白く変わっていくことから、「ルカの黒かった羽根が徐々に白くなっていく」将来の展開を予想させる。

2.天井社長と事務員はづきの会話について

 次に本題の公演内容について。本公演の冒頭、両日共に天井社長と事務員の七草はづきの会話シーンがあります。前半部分は同じですが、途中から内容が変化し、day1とday2がいわゆる「別の世界線」にあることが明示されました。特にday2に関しては、シーズのイベントコミュ『セヴン#ス』から直接繋がっており、コミュ内でシャニPが天井社長にルカ加入を提案し、その企画書を見て天井社長が考え事をしている(そこに七草はづきがやってくる)という流れになっています。
 逆に言うと、day1の世界ではシャニPはルカ加入の提案をしていない。それだけではなく、他のユニットも解散するような発言をしていることから、『セヴン#ス』よりもっと前からパラレルワールドに分岐していたようです。(ただし、「いつから」「どのように」はそれこそ無限の可能性があるため、そこを推測することに意味は無いでしょう。恐らく企画運営側も考えていないはずです。)

3.各アイドルのセリフについて

 本公演では随所にユニットごとのセリフというか朗読のようなパートが挿入されていました。総じて、day1は終わりと別れ、day2は将来への展望を語るものとなっていますが、最大の違いはプロデューサーに声をかけるようなセリフの有無にあると考えます。
 day1ではキャスト挨拶時のセリフにすら「プロデューサー」という言葉が出てきません(キャスト本人の言葉として言っている部分は別)。アルストロメリアとシーズのセリフで一応「プロデューサー」と言っている箇所はありますが、思い出の中の人物のことを言っているようで、あたかも現時点では存在しないような雰囲気になっています。
 対して、day2では前述のとおり企画書があることからシャニPの存在が暗示され、さらにイルミネーションスターズの風野灯織が「プロデューサー、あなたが一緒にいてくれたから、私たちここまで来ることができました」と直接的に話しかけているようなセリフを言うことで、プロデューサーが存在していることを明確にしています。

 つまり、day2と比較してday1の世界では本公演時点でシャニPが存在しないことを殊更に強調する演出になっていたということが分かります。この辺りはday1終了時点での考察が大筋で合っていたと言えるでしょう。

4.以上を踏まえたday1の演出意図考察

 では、何の意図があってday1をこのような演出にしたのか。day1終了時点での考察でもやはり大筋は間違っていなかったように思えますが、day2の内容を踏まえると企画運営側にはそれとは別の目的があったのではないかと考えるようになってきました。

 この辺りから自分でも怪文書味を帯びていくのを感じていますので、妄想オタクの戯言と思って読んでいただければ幸いです。もしどこか参考になる箇所があれば、考察を深めるのにお役立てください。

4-1.ラストライブに臨んだ現地ファンの心理

 day1は「このライブでアイドル活動は終わり、283プロのライブはこれで最後」という演出でしたが、もしシャニマス世界での各ユニットのファンがラストライブに現地参加したらどのような行動を取るか。例えばアンティーカの『バベルシティ・グレイス』では、最後だからと声の限りにユニット名を叫ぶでしょうし、コール曲なら全力でコールしようという気持ちで臨んでいるはずです。公演最後の曲が終わっても、少しでも長くアイドルでいて欲しい、終わって欲しくない気持ちから2回でも3回でもアンコールの声を上げ続けるでしょう。

4-2.疑似的にday1世界の構成要素と化した現地勢

 では、現実の観客の行動はどうだったか。
 『バベルシティ・グレイス』は三峰結華役の希水しおさんが加入してから初めての、そうでなくても2019年10月のバンナムフェス以来の(シャニマス単独としては2019年3月の1stライブ以来の)コール有り披露。声の限りにユニット名を叫ぶ他ありません。他の曲も、つい先月に声出しが解禁されてから初のシャニマス単独ライブ。コールにも熱が入ろうというものです。
 アンコール後の最後の曲『Multicolored Sky』では各ユニットがバラバラに下がっていき、最後の最後まで不安を煽る演出。公演中にも何度もユニット解散やアイドル引退を匂わせるようなセリフを聴かされ、個別のパフォーマンスはともかく全体として最高のライブだったと思った人がどれだけいたでしょうか。その時点の感情では恒例の「アイマス最高!」も憚られます。そんな中、舞台上のモニターにはロゴが映し出され、会場内は明るくならず無音が続く。1回目のアンコールと同じような環境になった……となれば、自然とアンコールの声が出てもおかしくはありません。アイマス系のライブはアンコール1回が通例ですが、他ではそうとも限らないからです。(私自身、会場照明やモニターから今回はアンコール2回目があるということなのかと勘違いしました。あれは公演終了から退場アナウンスまでの「アイマス最高!」用の間だったということでしょう)
 結果的に、day1世界の観客が取るのと同じような行動を現実の観客も取ったということになります。もしかしたらそこまで計算して企画運営側に誘導されたのかも知れません。ということは、day1の代々木第一体育館は観客まで含めて283プロのラストライブが実体化していた……と言えるのではないでしょうか。

5.結論:day1とは何かと聞かれたら

 ここまでの考察を踏まえたうえで、day1とは何だったのか。全体の筋書きの中でキャストの演技があり、歌あり、ダンスあり、朗読劇あり。つまり、

観客さえも舞台装置として活用した、
『283PRODUCTION LAST LIVE』(というミュージカル)だった


 シャニマスは他ブランドのやっていないライブ構成を実験的にいろいろやっている印象が以前からあります。例えば、

  • アイマスブランド初となる完全無観客の『MUSIC DAWN』

  • 配信で音楽フェスを模した『283フェス 2021 Happy Buffet!』

  • 終演と思わせてサプライズを仕込んだ『Xmas Party -Silent night-』

 そして今回も、どのブランドもやっていないライブをやろうとしたということなのかも知れません。確かにこれはどこもやっていないし、当面できる見込みも無い。そして、キャストとアイドルの親和性、アイドルの実在性、重いシナリオを建てられる構成力。これらが非常に高いシャニマスにしかできないことだと考えます。

 なぜ5周年ライブという大事な場でこれをやったのかということについては、前回考察のとおり「もしプロデューサーがいなかったら」を考えることで、いることの有難みと感謝をアイドルが再認識するという演出だったということで、むしろ5周年という節目だからこそということでしょう。
 しかしこれが正解だったとするなら、その企画を通した度胸と胆力には驚くほかありません。そして1万人規模の観客の反応をコントロールしようとした(そして概ねできた)心理的な掌握力には恐ろしさすら覚えます。

6.最後に

 ひとまず自分の中で、day1終了後の感情に対する決着がつきました。両日鑑賞して、どちらの方が良かったかと言われれば間違いなくday2と答えますが、公演終了後にアーカイブを見返したり思い出したり考えを巡らしている時間は圧倒的にday1の方が長いです。
 もしかしたら今後ゲーム制作プロデューサーの高山氏などから情報が出てくるかも知れませんが、その時はその時。また考えを改めたいと思います。

 予想以上に長くなってしまったので、day1終了時点の考察を①、本記事を②という連作の形式としました。そして実はまだ書きたいことがあるので、続きを③で記載したいと思います。もしかしたら④以降も続くかもしれません。
 ③では、本公演の中でひときわ光を放っていた1ユニットについて、なぜ輝きを感じたのかを考察しながら想いを綴る予定です。


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