春の陽気の中で。
とある河の土手。
流れる水は、もうあの頃みたいな綺麗さはないけども、野原の気持ちよさだけは、かわらない。
んー
服が汚れるのも構わずに、私は、ごろんと仰向けなった。
真っ青な空に、チチチ……とさえずる鳥たちが横切ったり、飛行機雲がすーっと一筋たちきってゆく。
何年ぶりだろうなぁ?
こんな風に青空を眺めるのは。
ここ数年は、幼い子供たちと格闘しながら、荒れ果てていく家の修繕作業にいそしんでいたから、いつも眉をひそめてばかり。
足元も、空も、眺める余裕すらなかったな。
そんな風に、日常回顧していると……
パサリ。
ハンカチが顔におちてきて、私の考えごとは中断された。
誰だよ、そう毒づきながらも、誰のハンカチか、すぐにわかった。
夫だ。
こんなことを、私にいきなりしてくるのは、アイツしかいない。
そういえば、あの頃もこんな風にイタズラしかけてきたっけ。
まだ私たちが学生服を着ていた、あの頃。
あー、夫もあの頃とかわってなかったんだなぁ。
いや、かわったかな。
体重だけは、100貫デブになってしまったから。
夫婦で、ダイエットでも、はじめるかな。
すっかり伸びたジーンズの足元をながめながら、決心した。
ここから先は
0字
この記事のみ
¥
1,000
サポート代は、わたしの子供たちの育児費用等に使われます。