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読んでもらえない系文字書きが自分の小説を添削する 5

読まれない小説ばかりを量産してしまう二次創作の文字書きが、自分の作品を見直して、必要な場合は加筆、修正をしています。
「公開で復習する」シリーズの5回目です。

この記事は、オリジナル短編小説『共に在る者』の、
ビートシート 悩みのとき にあたる部分について復習する内容です。

「表現の仕方がわかりにくい」や「説明が長すぎる」など、改善が必要な箇所をあげ、対策を考えて、修正していく、という流れになっています。

前回はこちらに。


取り扱う項目を以下にまとめました。
★マークがついている項目が、この記事での内容となります。

悩みのとき
【Noteに投稿した 悩みのとき 本文】★
【問題点】1 2 ★
【2の対策】←1とテレコ★
【2の対策まとめ】★
【1の対策】←2とテレコ★
【1の対策まとめ】★
【Noteに投稿した 悩みのとき 本文 修正】★
PP1
【Noteに投稿した PP1 本文】


それでは、 ビートシート 悩みのとき からスタートです。


【Noteに投稿した 悩みのとき 本文】

視界がふっと闇になった。←きっかけ

キリアンはハッと顔を上げた。  悩みのとき
「トバイアス」
従者の手がスコープを押さえている。
こちらに向けられたロイヤルブルーの瞳が凍てついた湖のように、恐ろしく静かに、なりませぬ、と訴えている。
気に入らない。この私の邪魔をするな。
「うっ」

キリアンは肘で従者を殴りつけ、よろめく彼の気配は無視し、銃の照準を合わせ直した。 ←次のビート

オリジナル短編小説『共に在る者』より
悩みのとき を含む前後を抜粋


【問題点】
1ヒーローに「なにについて」悩んでもらうかが悩みの種
2そもそも悩みのときっていうビートの名前にこっちが悩む
 
【2の対策】
1を飛ばして、2から進めたい。
前からずっと、このビートのことを考えるともやっとしていた。
あまり決めつけたくないけれど、作者にとってこのビート、「苦手」ということになると思う。
 
悩みのとき。
 
だいたいさぁ、このビートの名前がどうにもね。
逆にこっちが悩ましいじゃんか。
「悩む」っていわれると、
「ろくでもないことをこねくり回して、頭を抱えてうーんと唸り、膝を抱えて座っている」ヒーロー、
を作者は自動的にイメージしてしまう。
ので、なんにも話が進まない。
ヒーロー、動かないんだもの。
 
本当は、そうじゃない、ということは解っているけれども、「悩む」という言葉の強さにより、やはりどうしても「膝を抱えている」ヒーローへと引き戻されてしまう。
作者の思い込みの強さもまた、アレだけども。
 
ならば、ちょっと視点を変えるとして。
翻訳されていない状態の 悩みのとき って、どう言われてるのかを見てみたい。
 
悩みのとき は、英語だと Debate
意味は、熟考、思案、葛藤
 
あ、それだと、なんだかわかる、かもわからない。
 
熟考してるヒーロー。
思案しているヒーロー。
葛藤しているヒーロー。
 
ヒーローは、「考えている」。
それなら「膝を抱えている」、少し幼いヒーローは、もう浮かんでこない。
スマートに、インテリジェンスに、クリエイティブに戦略を練る、元CIAでスーツを着た、ちょっとくたびれた中年男性が浮かんでくる。とても助かる。
 
【2の対策 まとめ】
悩みのときのビートは、作者に限り、Debate 思案 葛藤 と呼ぶことにする。


【1の対策】
テレコになったけれども、問題点1の「ヒーローに、なにについて悩んでもらうかが悩みの種」に戻りたい。
 
悩みのときのビートは、Debate 思案 葛藤 と呼ぼうぜ、と決めたのでこれに合わせると、
「ヒーローに、なにについて Debate 思案 葛藤 してもらうか」が、作者がよくつまづいてしまう部分ということになる。
 
ところでヒーローって、なんで Debate 思案 葛藤 するんだっけ、というと、
きっかけ に対して、どんな行動をとるかを、決めなければならないから。
届いた「お手紙」を、その辺の放っておくと、さすがに先方にキレられる。
 
例えば。
「解雇通知」を受け取ったヒーローがいたとして。
 
① 解雇通知を受けとる ←きっかけ
② 解雇を撤回させる方法を考える ← Debate 思案 葛藤
 ②で決めたことによって、社長室に殴り込みに行く、会社を爆破する、とかの行動にでる

こんな流れ。
ヒーローって、なんで Debate 思案 葛藤 するんだっけ、の答えは、
 
きっかけ に対しての「行動を決めるため」に、Debate 思案 葛藤 するんだよ、ということになる。

このビートでのヒーローは、やだ、きっかけ がきちゃった、どうしよう、悩むー、とかやっているわけじゃない。
作者以外、きっと全員知っている。
  
では本文のキリアンの場合、きっかけに対しての「行動を決めるため」に、どんなふうに、Debate 思案 葛藤 してるのかなとみてみると、

キリアンはハッと顔を上げた。←Debate 思案 葛藤
「トバイアス」
従者の手がスコープを押さえている。
こちらに向けられたロイヤルブルーの瞳が凍てついた湖のように、恐ろしく静かに、なりませぬ、と訴えている。
気に入らない。この私の邪魔をするな。
「うっ」

オリジナル短編小説『共に在る者』より
Debate 思案 葛藤 だけを抜粋


でた。
ロイヤルブルーの瞳。
何色だ、そりゃ。
しかも、凍てついた湖みたいになっちゃってる。
寒そうだ。
早く上がって来い。
 
Debate 思案 葛藤 についてに話しを戻すと、
 
「ロイヤルブルーの瞳が凍てついた湖のように、恐ろしく静かに、なりませぬ、と訴えている」と、
「気に入らない。この私の邪魔をするな」

辺りが、該当しそう。
 
きっかけ 「狙撃中止の手紙」に対しての「行動を決めるため」に、
「狙撃に戻るためにはどうしたらいいか」を Debate 思案 葛藤 してる感じ。
加えて、
狙撃を止めたいトバイアスに心配かけていることもわかっている、でもやらなければならない、的なDebete 思案 葛藤 も作者は入れたいんだと思う。
すぐ込みこみにしたがるんだよな。
込みこみは色々とお得だが、その分、肝がぼやっとするから注意が必要。
 
なにより注目したいのは、根本的にキリアンは「絶対に大司教を狙撃する」モードに入っているから、何が起きてもやり遂げることしか頭にない、という点。
トバイアスの心情なんて、気にかけている余裕はなさそう。
てか、考えてないよ、あの王子。
 
ちょっとビートの本に戻ってみると、
悩んだり、考えたり、葛藤したりする必要がないヒーローが、Debete 思案 葛藤 のビートですることは、「準備」とあった。
 
キリアンの場合はこれにあたる。
 
「狙撃中止の手紙」を受け取ったキリアンは、
 
① 狙撃中止の手紙を受けとる=スコープが暗転する ←きっかけ
② スムーズに狙撃に戻れるように、何らかの方法でスコープの暗転をとりはずす ← Debate 思案 葛藤 準備
 狙撃再開のために狙いを定める ←次のビート

こんな流れでいくといいかもしれない。
 
 
【2の対策 まとめ】
キリアンは、Debete 思案 葛藤 のビートで 準備 する。
思案 葛藤 は1ミリもさせない。
なぜならキリアンは「絶対に大司教を狙撃する」マンだから。


以上で Debate 思案 葛藤 ビート の見直しは終了です。
一連の内容を踏まえて、最後に本文を修正したものを書いて、このビートは完了とします。

【Noteに投稿した きっかけ 本文 修正】

本文 Debate 思案 葛藤
 
視界がふっと闇になった。←きっかけ

キリアンはハッと顔を上げた。Debate 思案 葛藤
「トバイアス」
従者の手がスコープを押さえている。
こちらに向けられたロイヤルブルーの瞳が凍てついた湖のように、恐ろしく静かに、なりませぬ、と訴えている。
気に入らない。この私の邪魔をするな。
「うっ」

キリアンは肘で従者を殴りつけ、よろめく彼の気配は無視し、銃の照準を合わせ直した。←次のビート

本文 Debate 思案 葛藤 「準備」 修正版

キリアンはハッと顔を上げ、気配に後ろを振り返る。 
──トバイアス!
手でスコープを押さえる従者を視界に捉えると同時に、彼に肘鉄をくらわせた。小さな呻き声がキリアンの耳を素通りする。

人でなし感…。

今日はこの辺にて。
次回からは、プロットポイント1 のビートに入ります。

それではまたです。

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