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読んでもらえない系文字書きが自分の小説を添削する 2

いや、すべるんだよね。目が。

そんな小説ばかり量産してしまう二次創作の文字書きが、自分の作品を添削していくシリーズの2回目です。
前回はこちらに。


記事の項目を以下にまとめました。
★マークがついている項目が、この記事で取り扱う内容となります。
☆マークは完了した項目です。

SET UP
【口上】☆
【Noteに投稿した本文】★
【問題点】☆
SET UPを書くときに困ることや気になること☆
①実を言うとこのビート、どう書いていけばいいか分かっていない☆
②全体的に状況がいまいち分かりずらい☆
③体感的に文が長い☆
【①と②の対策】☆
SET UPに必要な要素を整理する☆
◇ヒーローのひとまずのゴール☆
◇ヒーローの日常☆
◇何かが起きないと何もかも崩壊する感・停滞=死の瞬間☆
SET UPのビートとしての役割は☆
SET UPの5W1Hを決める☆
◇when、いつ☆
◇where、どこで ★
◇who、誰が ★
◇what、なにを ★
◇why、なぜ ★
◇how、どのように
【③の対策】
【Noteに投稿した本文 修正したもの】
きっかけ


それでは、「◇where、どこで」からスタートです。



【Noteに投稿した本文】


鐘塔の影に身を潜め、キリアンは70m下の地上へと銃口をさだめた。
唇の端に微かな笑みが浮かぶ。
大聖堂正門の入り口は、青空を覆う雲の合い間から射す日の光のせいで、スポットライトに照らされたまるでステージのようで、この日を、いわくつきの大司教が最期を迎えるに相応しい場所を、天があつらえたとしか思えない。
死に際の薄らぐ意識の中で、この国を破滅へと導こうとした己の所業の数々をせいぜい悔やむといい。
万が一にも後悔する心とやらを持っていればの話だが。
先端を塔のへりにのせた狙撃銃を、立てた膝と左手でしっかりと固定する。
まもなく建物の中から、深い緑色の法衣を纏った初老の男が現れた。取り巻きたちに囲まれ悠々と歩く大司教フューラーを、スコープの中心に捉えたキリアンの長い指が引き金にかかる。
幕だ、と心のなかで言い渡し、指を引ききろうとしたその時だ。
視界がいきなり暗転し、キリアンはハッと顔を上げた。

◇where、どこで
本文の「鐘塔の影に身を潜め」から、
「鐘塔にいるのね」ということは分かる。
でも、これも弱い気がする。
弱いと感じる理由は、「鐘塔にいるヒーロー」がイメージができないから。
多分、「場所」に奥行きがないのがいかんのだと思う。
 
奥行きを出すために方法としては、
 
・位置関係…「今まさにヒーローがいる場所」と、その場所がある「もっと大きな場所」との位置関係を明らかにする。

・見える景色…ヒーローに「何が見えているか」が必要。「今まさにヒーローがいる場所」から、ヒーローの目に「見える」、ヒーローが「感じる」、ヒーローが「五感を使って得るもの」は何かな、というのが分かるといい。
 
あたりか思いつくところ。
 
あと、少し脱線するけれど、「その場所」の分かりやすさについても思うところがある。

作者の思ってる「鐘塔(ショウトウ)」は、
「ヨーロッパの大聖堂とかの脇に建っている、でかい鐘が置いてある塔」や「ヨーロッパによくある時計塔のような建物」
なんだけども、これ伝わりにくいかもなとうっすら感じている。

消灯、松濤、小党…変換しても、変換しても、「鐘塔」は、
永遠に出てきてくれないという現実からもわかるとおり、
通常、特に日本じゃ
「でかい鐘が置いてある塔」は
「鐘楼」
と言われるもよう。

「鐘塔」「鐘楼」でも、
要するに「お寺に関係ある大切なものを保管する役割や、見晴らし台としての役割を持つ塔」
という建物なんですけれども、伝わらないのでは意味がない。

これはもうわかりやすく「鐘楼」としてしまうのがいいかもしれない、
と思いかけたのだけれども、ちょっと一旦、落ち着いて考えてみたい。
「鐘塔」でなくてもまじでいいの、ということについて。

大前提として、作者は中二の宗教に入信しているので、「時計塔」などの「塔」が大好きだ。
「塔」にはロマンがある。

憂鬱な気分から逃れるように、校舎内にある時計塔にのぼったら、気だるげに煙草を吸う憧れの上級生に遭遇してしまって、「きゃ、不良だわ」と思いつつも、その様はえらく麗しくて「きゅん」としてしまう下級生。

ぎらっとした不審な光にいざなわれるように、息を切らして鐘塔へとのぼっていったら、敵同士ではあるが、密かに親友として心通わせてきた男が、自分の組織のボスを狙って小銃を構えている真っ最中で、「なぜ、なぜお前が…」と絶望するマフィア。
 
……………。

いいですね、塔。
 
ということで、やはり、ヒーローがいる場所は「鐘塔」以外に選択肢はない。
本当は、他にも山ほど選択肢があるということについては目をつぶえい、ここは「鐘塔」でいく。

ただし、「鐘塔」のイメージが容易にできるように、いっそ「ベルタワー」と建物の呼び方を変える、というのもありかもしれない。

もしくは「ヨーロッパの大聖堂とかの脇に建っている、でかい鐘が置いてある塔」ですよ、というのを、もうちょい簡潔に「説明」してしまうなどもいいかもしれない。
ここはちょっと模索が必要か。

〇 where、どこで まとめ

「鐘塔」と「鐘塔を保有している街」との位置関係の描写は、本文の中に確かに1ミリもない。
それから、「ヒーローは鐘塔から何が見えてるか」の描写。
この辺を書き足しで。 

ヒーローがいる場所の「鐘塔」が、自然にイメージできるよう、「ベルタワー」と建物の呼び方を変える、もしくは「鐘塔」という建造物の説明をするなど調整をする
 


◇who、誰が
本文の
「鐘塔の影に身を潜め、キリアンは70m下の地上へと銃口をさだめた。」から、
「キリアンて人」がなんかやってるのねというのはわかる、
と胸を反り返らせていたけれど、今になってまずいと思い始めた。

何がまずいかと言うと、
「キリアン」とあるから、「ヒーローはキリアン」てのはわかるけれども、「で、そいつは何者なんだ」というのはわからない。
いや、宙ぶらりん感がものすごい。

私の思っている「キリアン」は、背の高い、筋肉質でガタイがいい麗しい王子様だけれども、
読まれる方によっては、ひょろっとした儚い系で目立たない風貌の村人Bを思われるかもわからない。
 
海外ドラマのシーズン1の第3話なら、「キリアン」だけでオッケー。
でも、今回は超短編で、狂おしいほどにシーズン1の第1話。
はじめてお目にかけるヒーローだから、「キリアン」だけとかそりゃまずい。
 
それからSET UPでは、「Aストーリーの登場人物全部見せる」ことになっていて、これに関しては今度こそ、まじで大丈夫かと。

本文
「いわくつきの大司教が」
「取り巻きたちに囲まれ悠々と歩く大司教フューラーを」で
ばっちり書いているからだ。

しかし、ヒーローよりも、大司教の方が、「そいつは何者なのか」ということについて詳しく描写されているきらいはある。
描写がない。
描写がしつこい。
どっちもいけない。
何事もバランス大事。
 

〇 who、誰が まとめ
「某国の王子」であることや、「若くして軍隊率いてるよ」「こんな軍服を着ているよ」、そして「こんな容姿だよ」といったことを本文に追加する。


◇what、なにを
本文の
「キリアンは70m下の地上へと銃口をさだめた」と
「先端を塔のへりにのせた狙撃銃を、立てた膝と左手でしっかりと固定する」から、
「狙撃?のターゲット?待ちなのかな?」とわかる。

いや、わからない。「?」がいっぱいついている。

「なにを」は明確に、きっぱりと、「なにをしている」がわからないとまずい。
ふんわりしてるなあ、本文。
 
作者は、「小説には情緒が必要で、直接的な言い方は無粋になるから使わない方がいい」という認識を持っている。
どこかで植えつけられた、ような覚えがある。
でも、それは時と場合によるというもの。
こと「なにを」では、情緒とかの場合ではなく、
一点の曇りもなく「なにをしている」のかわかりたい。
直接的な言葉は使ってもいい、使わなくてもいい、どっちでもから分かりやすく、わからせてくれ。
 
〇 what、なにを まとめ
「狙撃のターゲットを待っています」が明確に分かるように、本文を修正しないと。

 

◇why、なぜ
本文の
「死に際の~話だが。」から、
「国を牛耳ろうとする悪い人だから殺るんだね」と伝わればいいなあ、と思っていた。
違う、そうじゃない。
あぶない。

作者は「なぜ」のボタンを掛け違えている。
 
「なぜ」が「国を牛耳ろうとする悪い人だから殺る」ならば、
「なにを」が「狙撃している」であるはず。
 
「なにを」が「狙撃している」 ⇒「なぜ」が「国を牛耳ろうとする悪い人だから」。
 

でもこのビートでの「なにを」は「狙撃のターゲットを待っています」。
 
「なにを」が「狙撃のターゲットを待っています」 ⇒「なぜ」は「一発撃ち込んでやるため」。
 

このビートの「なぜ」は、
「いまいま、ヒーローが、していること」に対しての「なぜ」になる。
ここは、まぜこぜにならないように注意だ。
てか、なんぜ混乱してしまうのかわからない、といえばわからないけれど。


〇 why、なぜ まとめ

what「狙撃のターゲットを待っています」にたいしての、why「一発撃ち込んでやるため」を追加する。
その一環として、「どういう流れで狙撃するのか」もあるといいかもしれない。


今日はこの辺までにします。
次回は 「◇how、どのように」 からとなり、SET UPが完了となる予定です。

それではまたです。


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