053「勝訴」の紙を持って走るあの人はスニーカーを履いている
おだやかでない形相にスーツ姿。
一枚の紙を持って原告団に向けて走り出し、バッと紙を広げる仕事。
「勝訴」「不当判決」「全面勝訴」「逆転勝訴」
今日、友人から衝撃の事実を聞きました。
「あの人たち、足元はスニーカーらしいよ」
………えっ。
一応真面目な場ですけど、まさかの走りの「スピード重視」なの!?!?
もっとお堅いピカピカの革靴の人が走っていると思っていました。まさかスニーカーだなんて。
え、ほんとかな。すっごい気になります。もしかしたらただのネタで、ぼくが騙されてるだけかもしれません。
なんなら次回は勝訴の文字ではなくて、走ってくる人の足元に注目しちゃいそうです。
次回、大事件の判決が出るのはいつでしょうか。気になるーーー
でも実際に考えてみると、あの「勝訴」ランニングは世間をあおる演出でしょう。
そもそも本来、あの「勝訴」ランの仕事はたった一つです。
判決を原告団に伝えること。
つまり実務上は、文書で通知しても何ら問題ありません。
加えて、「勝訴ラン」が行われるのは世間が注目する判決のときのみ。
まさに、原告団や世論の感情を揺さぶることを目的としていると考えられます。
勝訴ランはあくまで演出。
演出であれば、彼らが「スピード重視」なのもうなずけます。
「勝訴ランニングマン(仮)」のあるあるを妄想する
裏を取ってないので分かりませんが、ここからは仮に「あの道のプロ」がいると想像して、楽しく妄想してみます。
【スニーカーのメーカー】
ニューバランスですかね。瞬足ですかね。
コンバースではないと思います。おしゃれではなくスピード重視ですので。
きっと霞が関は曲がり角も多いので瞬足でしょう。
コーナーで差をつける勝訴ランは見ものです。
【勤務体系は十中八九シフト制】
重要な判決は、毎日毎日あるわけではありません。
したがって、単発バイトでしょう。
紙を持って走るだけの簡単なお仕事です。
日雇いバイトたちも走りを重ねるにつれ、徐々に貫禄がついてくるでしょう。
学生時代は「勝訴ランニング」のバイトに力を入れました、なんて学生に言われた日には、僕なら即採用します。
【出回るウワサや伝説】
「佐藤先輩、○○事件の『不当判決』をランニングしたらしいぞ」
「山本君、君には今回この『逆転勝訴』を任せたい」
「お前そのスニーカーはさすがに攻めすぎだって」
「最高裁の曲がり角、毎回こけそうで緊張すんだよな」
「今日の紙質気になる。。。ウラ透けたりしないかな」
なーんてウワサがたったりして。
【勝訴ランニングマンあるある】
①走りに集中しすぎて、先に結果の紙が原告団に見えちゃう
絶対NGです。
あの走ってる時間はいわば結果発表前のドラムロール。
タメの時間こそが、メインディッシュを仕上げるのです。
②「勝訴」の紙をぴんと張って出すときに、勢い余って「勝」と「訴」の真ん中でビリビリビリーとちぎれてしまう
絶対NGです。こんなことされたら、勝訴なのか敗訴なのかわからなくなります。
③「勝訴」「逆転敗訴」「不当判決」それぞれの表情の作り方がある。
炎上対策です。
「勝訴」:顔色明るく達成に満ち溢れた表情を。
「不当判決」:世間に疑問を呈する真摯な表情を。
「逆転勝訴」:途中でこけそうになりながらも原告団の前に到着する。そのまま肩で息をしながら、一瞬不敵な笑みを浮かべるやいなや、突如パッと出す。
終わりに
「教養は余暇を楽しむ技術である」
タモリさんあたりが言っていたような気がします。
何かを知っていると、新しい気づきや学びがあります。
あー楽しい妄想でした。こんな目線を持っている友人がいることに感謝です。
では!
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