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訴訟中の生活費をどうするか


訴訟中の生活費を確保することは、訴訟を行う上で非常に重要な問題です。
生活費の算段がつかなければ、途中で生活が破綻し、訴訟も諦めなければいけなくなるという事態も想定されます。
そのため、ここはしっかりと計画を立てておくことを肝に銘じてください。
以下にいくつかの選択肢を挙げていきますので、あなたに合ったものを選びましょう。

貯蓄で賄う

これが一番かんたんで、手間もなければ傷を負うリスクもありません。
貯蓄が十分にある人はこれが一番オススメです。
しかし裁判は1〜2年もの間続きますから、その間生活が賄えるほど、潤沢な貯蓄を有している方はそう多くないと思いますので、そういう場合は以下の方法を検討してください。
なお下に行くほど手間とリスクが上がります。

家族親族から借りる

これは簡単な人もいるかもしれませんが、相当難しいという人がほとんどでしょう。家族や親族に知られたくない人もいますし、親族といえども信用問題になりますからね。こっちのがリスク高いよ、という人もいるでしょう。
私も隠してます笑
普通に働いているフリしてます!笑

失業手当の仮給付を受ける

解雇無効を主張しているので、あくまでも仮給付という名目で受給します。ハローワークに行けば手続きしてくれます。

失業手当仮給付のデメリット

手間は普通の失業手当と同じなのですが、デメリットとしては、
1つは、給付額が給料の6〜7割程度の場合が多く、金額が少ないですので、これだけでは生活が賄えない場合があるという点です。

解決策としては、半年〜1年の給付期間中は、アルバイトや副業などで補充しながらやりくりし、給付期間が終えると同時に仮払いを受けられるように申立を行う(もしくは失業手当仮給付は停止するが仮払いの申立をする)、というものです。
これにもリスクはあり、すでにアルバイト等で生計を補っていると、仮払金額を減額される可能性が低くないという点です。
また副業も出来ないくらい体調が悪化しているという人は、仮払いの申立をするときにその辺りもしっかりと訴えましょう。傷病手当金の受給資格があればそちらを検討しても良いです。

デメリット2つ目。
上記にも書いているのですが、「給料の仮払いを受けている場合は、失業手当仮給付を重複して受けることは出来ない」という決まりがあるのです。
要するに、仮払いを認める判決が出たら、失業手当仮給付の受給資格は無くなる、ということです。
受給できるのは、仮払いの支払い開始月の前月の末日までとなります。
この点、気をつけてください。
弁護士さんともよく相談してください。

特別な手続きはある?

次に手続きについてですが、
基本のやり取りは通常の失業手当受給と大差ありません。
ハローワークへ行って「仮給付を受けたい」と申し出てください。

通常と違う点は、
・個別対応となりハローワークの担当がつく
・訴訟の経過をハローワークへ報告すること
・解雇無効の判決が出た際には、仮給付された金額を返還すること
などです。

訴訟の経過については、私は最初は、弁護士から会社へ送った「地位確認請求の通知」や、裁判の「訴状」などの提出を求められました。
以降は、仮払が認められた時に「判決文」を提出し報告をしています。
その後は年に一回くらい、経過観察の案内が来てたような来てなかったような。。。
そして本訴訟で解雇無効の判決が出た際には、会社からの支払いがされた後でいいと思いますが、受給した仮給付は全額返還します。おそらく判決文の提出も求められると思います。

重大な問題点。

一つ問題点があるのですが、ハローワーク曰く、
「手続き自体はできますが、離職票がないと金額が算出できないので、どのみち会社から離職票が発行されないと実際には仮給付はできません。」

。。。はい?って感じです。

いくら催促しても、弁護士経由で請求しても無視するような会社で、こちらには非がなくても給付が受けられない、という事態もあるのです。
弁護士経由で請求しても無視するくらいですから、ハローワークから督促されても効果ないでしょうね。。。
これはシステム上、そして法的な問題点と言えます。
『事業主は離職者に対し10日以内に離職票を発行しなければいけない』という法律があり、違反した場合は6か月以下の懲役もしくは30万円以下の罰金が科されると定められていますが、現場での強制力はないし、違反があっても実際には罰則が科されることはほぼないのです。

罰則を行使しないんじゃ実質野放しじゃん。

私はこれのせいで結果仮給付が受けられず非常に困窮しました。
当初ハローワークの案内不足があったこともあり、特別に処理してくれて、解雇が有効となった際には失業給付を受けられるようにしてくれましたが、仮払い判決が出る前の半年間についての仮給付は結局無しです。
そのため生活を維持するための借入金もそのまま残ってしまい、利息で大変な損害を被っています。
会社に慰謝料請求はしていますが、慰謝料としては認められないでしょう。
機会があれば請求し損ねた損害賠償請求をしようと考えていますが、認められるかどうかはわかりません。

たいていの会社はちゃんと離職票出してくれると思いますので、これに関してはあくまでも「そういうこともある場合がある」程度に認識しておくだけで大丈夫だと思います。
離職票を出してくれない事態にもしもなったら、早めに弁護士に脅してもらいましょう。

傷病手当金を受給する

身体の不調が続いていて、医師から労務不能の証明書を発行してもらえているなどいくつかの要件を満たしていれば、傷病手当金を受給し続けることができます。受給を開始した日から最長で一年半受給できます。
1日でもどこかで就労するなどの実績があれば、そこで受給資格はなくなりますので気をつけてください。
資格継続(任意継続被保険者)でなくても受給可能です。

傷病手当金のデメリット

1つ目のデメリット。
こちらも給料の2/3程度と金額が少ないですので、これだけでは生活が賄えない場合があるという点。

2つ目のデメリット。
傷病手当金を受給しているということは「労務不能」状態であることを意味しますので、これを受けている限り仮払金は認められませんし、裁判で解雇無効の判決を得ても、傷病手当金を受給している期間についての給料は支払われない、という点です。

3つ目のデメリット。
毎月最低2回は医師の診察を受け、処方された薬はきちんと飲み続けていなければならない、ということです。
医師用の申請書類も、月ごとにもらわなければいけません。発行手数料が300円くらいかかるかな?

1つ目のデメリットの解決策としては、アルバイトや就業はダメですので(ダメというより、就労実績が1日でもあれば、病気は治癒したとみなされ受給資格がなくなります)、株やネット副業等で稼ぐことが考えられます。

2つ目のデメリットについては、これで納得出来ないのであれば他の選択肢を選ぶしかないでしょう。
あなたが傷病手当金を受給すればその分、会社は給料の支払いを免れることができますので、会社側の訴訟を継続するデメリットも減り、訴訟が長引く要因にもなりかねません。往生際悪くやたらと引き延ばしをかけてくることもあります。
また裁判が決審して解雇無効になっても、会社には給料の支払いが発生しないことになるので(社会保険料の折半分のみの支払いだけになります)、会社は痛くも痒くもない、ということになり、非常に面白くないのです。
そのへんが気にならないのであれば、検討しても良いかと思います。

3つ目に関しては「ちゃんと忘れず通院しましょう。」

傷病手当金の手続き

  1. 医療機関で「休職診断書」を取得し、会社へ提出 → 休職状態となる
    (そのまま解雇が実行される場合は、会社へは行かないまま退職)

  2. 所属する健康保険組合や社会保険事務所から「傷病手当金の支給申請書」を手に入れ、必要事項を記入する

  3. 「事業主用」の書類と、「担当医師用」の書類は、それぞれに記入をお願いする

  4. 必要書類を送付し、審査を待つ

  5. 以降毎月これを繰り返す(もしくは数ヶ月まとめても可。会社は最初の一回(1ヶ月分)だけです)

保険組合や保健事務所によって多少の違いはあるかもしれませんので、加入している健保で確認しましょう。

本丸。 会社から仮払いを受ける

なんといってもこれでしょう、訴訟を起こすなら。
といってもリスクがないわけではありません。危険なトラップもありますのでご注意ください。

ものすごい手間とリスクだらけではあるのですが、総合的に一番、会社に地味に圧をかけながら訴訟ができる、そして一番会社にお金を支払わせられる方法です。いや、「貯蓄で全額賄って、判決後に満額支払いを受ける」方が金額は上がりますかね。
私はただ会社に戻りたいだけという人も、うまくいけばこれが一番生活が安定しますのでぜひ検討してみてください。
仮払の詳細については、文字量が多くなってしまうので次回の投稿で書かせていただきます。今日は大まかなメリット・デメリットだけをお伝えします。

仮払いのデメリット

1、審議が行われ、判決が出るまでに3〜4ヶ月はかかる
(私は丸々5ヶ月もかかりました。その間は失業手当仮給付などでつなぐ必要がある)
2、貯蓄額や生活費の内容が会社に丸見えになる屈辱
(テキトーにやればいいんだけどさ)
3、給料全額が認められるとは限らない
4、仮払が認められても、会社が大人しく支払うとは限らない
(その場合、強制執行手続きなどで手間が余分にかかったり、場合によっては弁護士費用が発生するかも。支払いが滞るたびに生活や支払いに影響が出て精神的にも疲弊する)
5、本訴訟提起前であれば半年間しか認められない、本訴訟提起後でも最長で1年しか認められないので、訴訟が長引けば何回も申し立てないといけない(超めんどくさい)

けっこうありますね。。。

手間もリスクもあります。
しかし、その分メリットも大きいのです。

仮払いのメリット

1、給料満額が認められれば、訴訟中の生活費の心配は実質なくなる
2、会社に毎月給料を支払わせることができるので、長引けば長引くほど、会社の不利益が増え、こちらは働かずして給料がもらい続けられる。
結果、裁判の無益な引き伸ばしをされるなどの嫌がらせが減ることにつながる

このようにメリットの作用が大きいので、私は仮払い一択でした。
仮払が満額認められなかった場合には、他を取り入れるつもりで臨みました。
結果、満額が認められましたので非常に良かったのですが、デメリットの「4」に苦しめられるというトラップが待ち構えていました。
(これについてもまた後日、順次お話していきます)

私の場合はそうでしたが、普通はそれほどこのトラップは発動しないと思います。大抵の会社は裁判所の判決に従います。ただ一応心構えはしておいた方が、いざという時すぐに動けます。

まとめ

事情や境遇は人それぞれだと思いますので、自分に合った方法で策を練ってみてください。場合によっては組み合わせたり、途中で変えたりしてもいいと思います。
見落とした情報があったら申し訳ないので、気付き次第修正を加えていきますね。


次回は、
今日の選択肢の一つである、『仮払い(地位保全等仮処分命令申立)』について詳しくみていきたいと思います。


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