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病院で進行した脳梗塞

到着してすでに2時間。救急室で痛がる主人。

痛み止めと点滴投与で3時間に差し掛かった。

その間に主人の肌はみるみる紫色の斑点が増えていく。

「先生まだですか?」

そう聞いても誰も答えない。

その間に義母がやってきた。

ようやく脳神経外科の先生がやってきてMRIに入る。

7階の病室で長い長い時間を過ごす。

遠くに富士山が綺麗に見えたのを鮮明に覚えている。

ようやく戻ってきた主人は点滴を打たれて

少し落ち着いているように見えた。

相変わらず、目線が合わない。そしてしゃべらない。

先生は軽い脳梗塞だと言った。

血液サラサラの薬を点滴しているという。

2週間もあれば退院できるでしょうと話す。

安心と不安の中帰宅。

翌日。仕事の手配を主人と相談する。

断れるものは断り、代用でお願いできるものを整理した。

この日は少し話せていたけど、どこかぼーっとして

まだしんどそうな顔。

トイレへ行くと言うので様子をみていたが

立ち上がれず、トイレがどこにあるのかわからない。

車椅子を使ってトイレへ入るものの、うまく用を足せない様子。

「何だか昨日より様子が変じゃない?」

そう義母と話して帰宅。

翌日、どう考えても様子がおかしい。

痛がり方が尋常じゃないし、うわ言を言う。

「先生、昨日より悪化しているような感じがするんですが」

先生「いや、食事もされてるし大丈夫ですよ。週明けにまたMRIしてみましょうね。」

絶対に変だ。

脳梗塞って時間との勝負と書いてあった。

これはもしかして。。。

主人は日が経つにつれて様子がおかしくなった。

もういい!もういい!と叫び、錯乱状態になり、別人の様だった。

翌日、7階のエレベーターを降りたら

大きな叫び声が聞こえた。

ナースステーションにベットが運ばれ、そこに寝てはいるものの

服はほぼ脱げ、縛りつけられている主人がいる。

私がおはようと声をかけても、「もういいよ!もう離してくれ!」

と取り乱す主人が目の前にいる。

恐ろしさと不安で潰されてしまいそうな時間だった。

ひとり静かに涙した。


MRI検査の結果。

自宅にいると電話が鳴り、検査結果が出たので早急に病院へ

来て欲しいと言われ、すぐに駆けつける。

「光秀さん。脳梗塞が進行しています。入院した時よりも明らかに

血栓が増えています。このままICUに入ります。」

目の前が真っ白になり、フラフラと倒れそうになった。

「だから言ったんです。病院にいるのに悪化することなんてあるんですか?

あの斑点はなんなんですか?」

先生「これから検査します。光秀さんは直前で海外へ言ったことはありますか?何か珍しい虫に刺されたとか聞いてますか?」

「ありません。」

先生「そうですか。光秀さんの脳梗塞の原因がわかりません。一般的な脳梗塞の症状とも違いますし、斑点が出ています。脳以外で悪いところがありません。体は至って健康です。MRIの映像も無数に小さな血栓があり、小さすぎて映っていないものもあります。しかし数がとても多いです。こんな画像は見た事がない。これから4階のICUに移ります。」


どうしてこんな事が起きているのか全く理解ができない。

退出してすぐに、若い女医が私に近づいてきてこんな事を聞いてきた。

先生「光秀さん、これまで覚醒剤を使用したことはありますか?」

「。。。ありません」


この時、私ははっきりと否定することができなかった。

倒れる前の主人の外での事は何もわからないし、

冷め切った夫婦ではそんな事まで知る由もない。


だけど、そんなことは今まで一度もないのだから

流石にそんな物に手を出すはずがない。

そんな思いから「ありません」と答えた。

結果、尿検査で薬物陰性の結果が出た。

刺青が入っているから疑われたのかもしれない。

それにしても、尿検査の結果が出てからも

再び聞かれたのだ。自分たちが原因を突き止められず、そういった可能性を

探っている。

心にモヤモヤしたものが膨らんだ。

今でもこの病院へ入ると嫌な気分になる。


主人の斑点は黒味を帯び。全身、さらには顔中に広がった。



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