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"借り"初めのガイラ装備「△0-0 クリスタルパレスvsブレントフォード」

試合が始まる前に昨季とは違う「ワクワク」する自分がいる。それだけでクリスタルパレスが好きって言っても良いでしょう?そんなことを思い出す午後22時。
スターティングメンバーにコナーギャラガーが選ばれた。

並びは守備体型から察すると4-1-4-1。対するブレントフォードは5-3-2。ブレントフォードの5バック、CB3枚+GKによるビルドアップに対策を講じた形だ。

・ヴィエラの解答
・組織的、故に晒される個
・俺の知ってるクリスタルパレス
・ガイラ装備を君に

1.ヴィエラの解答

スタメン発表後はチェルシー戦後半で試した5-3-2を予想していたが、0-3で敗れた初戦から守備を後ろ重心で解決することなく、こちらの考えから先を一歩行く、自らの哲学をヴィエラは示した。

こちらがプレスの形。

図1:


図2:



相変わらず「IHは頑張ってね」、ハマる時はハマるし、ハマらない時はハマらない()ではあるものの、前節アーセナルを相手にビルドアップ+ロングボールで2-0粉砕したブレントフォードにこれといった決定機を与えずに0で抑えたのは評価されて良いのではないだろうか。

2.組織的、故に晒される個

ロングボールを左SBのミッチェル側に蹴られ、抜けられたこと。前半、ブレントフォードに持たれた時間帯はほぼその形でやられていた。
はっきりとした対策ではないが、クヤテを早めのサポートに行かせたり、4-1-4の形だったブロックを4-5にしてライン間の距離を縮めてサポート体制を取ったりと失点をしない戦い方はできた。結果的に0なのだから今のところはそれで良しである。

良しではあるのだが、これが試合のプランに及ぼした影響は大きかったのではないか。得点0の部分に繋がって来る。

もう一つ、ブレントフォードのGKラヤの存在。図1の形で前からハメに行っても、GKラヤへのリターンからミドルパスを前に出たCHの裏、ハメたい逆のスペースを突かれてしまうのだからお手上げだった。これもハメ切ってチャンスにしたのはたったの1回。

冒頭で図解したように、狙いはビルドアップ阻害から、早めにエラーを起こさせてから前目で奪ってショートカウンターなはず…いや、わからん。そうであるならばもっとボールを捨てる手段があっても良かった(ブレントフォードにボールを持たせる意図で)はず…。いや、ただ言うても、ビルドアップ始めたて段階だからそもそも目の前の一勝のために、試す場である試合で成長を妨げるようなことをするだろうか。もしくは思った以上にロングボールからの対応を軽くみていたか。もっと拾えて、組み立て直せると思っていたか。いや、わからん。

3.俺の知ってるクリスタルパレス

時間経過と共に代名詞である「ザハとベンテケのカウンターショー」になったのは良かったのか悪かったのか。持っているもので解決できることがあるならそれはそれで良いのだけど。狙いとズレていたのならば振り切ることはできないよねって。ただ上手く行くんだよなぁ。得点にはならないけど。セルハーストパークも大盛り上がりだった。

とするとだ。これファンやこれに慣れたスタッフやフロントからしたら、構築されたビルドアップってのは遅く見えるのかもしれないよね。いや、実際この試合で行われていたビルドアップ自体は構築されたものの中でも遅いビルドアップだったのだけれど。

CBで相手の1stプレスをズラして、SBに付けても、結局のところ中盤の3人が良い位置、良いタイミングで前を向けない限り、特にクヤテが捕まる前に展開できる横サポートの形を作らなければしんどくなっちゃう。形はできてるのに、進まない。こうなったら何回もやり直して、相手が崩れるまで我慢すればいいんだけど、あのスピード感を知っているとなんかやっぱり急いでしまうと思うのよ。

「縦に速い攻撃」などとよく言われるが、あれはずっと縦にパスを出し続けるわけではなく、それだとただのカウンターであって、ビルドアップとの兼ね合いで言う縦に速いわけではない。回収、組み立て、ここが成り立って初めて構築されるものであるというのも考えねばならないのではないか。いわゆるトランジション面に目が向けられなければいけないのではないか。

この試合の前半、コナーギャラガーが作り出した2つの大歓声と惜しさへのため息はそれをヴィエラが描いたものではなかったか。

こう言ってしまえば元も子もないのだけど。理想を突き詰めるためには「選手の質」が問われる。少なくとも第一段階として「足元の技術の担保」は不可欠で、これが出来ていれば形が変わろうともタスクが変わろうとも本質がサッカーであることは変わらない。
昨季、チェルシーがトゥヘル就任からたった三日で見せた変わり身の早さはこの点を担保されていたことが大きいどみている。

4.皇金装備を君に

そのトゥヘルの薫陶を受けてはいないものの。チェルシーからローンでの移籍をしてきたコナーギャラガーはそれに足る存在感を見せてくれた。ザハの弟分という立場ではなく、むしろ堂々と、気質はFWであるザハを使う側だと見せつけるスルーパスは圧巻だった。

ザハが楽に、そして簡単にチャンスに絡んだ。この事実はでかい。昨季エゼが弟分としてザハが困った時のサポート役として一躍を買ったが、エゼとはまた別タスクでザハを助けられる存在が現れた。

象徴が輝く時、チームのまとまり、強さが測れる。どうしてもオンザボールでの活躍にスポットが当たるザハが象徴である場合、彼がいかにボールを持つか、または持たせるかが重要になって来る。

サッカーがサッカーである以上は技術は必要であり、ヴィエラが示すサッカーのためには今のスカッドではそれが足りていないことを露呈しつつある。

果たしてザハを輝かせるのは、クリスタルパレスを勝たせるための戦術とはどこへ向かうべきなのだろうか。
ピッチに立つ選手の選択、はたまた補強がまだ必要なのか。足りない上でヴィエラのやりたいことを貫くのか、はたまた知っているサッカーに戻すのか。

ヴィエラで勝つ、ザハで勝つ、クリスタルパレスが勝つためのガイラ装備の厳選作業はまだ始まったばかりだ。


※ これを書いてる間にEFLカップでワトフォードに0-1で敗退を喫した。3試合4失点(それもあのチェルシー戦を含めて)、ここまで得点0。ボールを持つ意識をすることで失点が少なくなっている。得点をするための改善に期待したい。

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