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3.至極色の夜の記憶と備忘録

「悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~」に纏わるいくつかの事柄。#3

悪魔のささやき~ツアー中、宮本さんはライブのMCで直接的な発言を全くしなかった。ツアー終了から数ヶ月後、ワインディングロード発売時、MUSICAのインタビューで震災関連の番組に出演した時のことを鹿野さんに問われ

「別にそれをことさらに今だけ歌う、僕はそれができない男みたいでだからみんな僕をもどかしく思っているんだけど、でも体質的に無理なんだよね。(中略)でもこんなことはテレビでは一切言いたくなかった。」

あの番組から半年以上経っていたと思うけれど
そもそも、放送局のその主旨の特別番組出演を承諾し、その曲を選んだのはプロデューサーの面子を潰せないスタンスがあったからなのだと後に思い至る。それすら直接的には言及されていないから勝手な憶測。それでもコメント的な何かを発することはできないと体が反応した
世の中の誰もが普通なら性格的に無理って言うところ、宮本さんはMUSICAで体質的に無理と答えたことをよく覚えている。

仙台のライブはこのツアーの他の各地のライブと変わらない。特別な何かをあえて見出だそうとするこちら側の気持ちを見透かすように、
選んだ曲に言及したことを宮本さんは自ら余計なことを言ったと否定した。
仙台で選ばれた曲が仙台のための曲だったように、他の各地で選ばれた曲はその会場のために選ばれたもの。ことさらに今だけと言ったMUSICAの宮本さんの言葉と符合した。

アルバムにいわゆるヒット曲はほぼない。ライブで最も多く披露されるのが「彼女は買い物の帰り道」ほぼ一択と言っても過言ではない。ツアーではホール公演と東京のみで演奏され(+九月の雨、歩く男も同様)ライブハウスではセットリストから外された。宮本さんのイメージがライブハウスというシチュエーションが無かったのかもしれない。と思うもアルバム発売直後のZeppツアーでは演奏されて、この時の感触による悪魔のささやきツアーのセットリストになったのかはわからない。

アルバム発売直後、2010年11月Zeppツアーで演奏された曲は本編4曲
「脱コミュニケーション」
「彼女は買い物の帰り道」
「幸せよ、この指にとまれ」
「明日への記憶」
アンコール「夜の道」と合わせて計5曲。
この時点で未来にアルバムタイトルを冠したツアーが敢行されるとは知る由もなかったから、物足りなさを感じたのも事実。
「夜の道」はZepp大阪、福岡、名古屋、仙台、札幌のみで、東京では演奏されずそのポジションは「寒き夜」だった。

結局、アルバム全曲をライブで聴いたのは2011年、年明けの新春武道館公演で、プロデューサー蔦谷さんがサポートメンバー参加、アルバム発売直後に最大規模の公演となったので、その後、全国を細かく回るツアーをやるという逆転現象のようなスタートになった。

仙台が当初予定の会館だったら、セットリストも会館仕様のものになっていたはずで、全く違うライブになっていたかもしれない。配信されたかどうかさえもわからない。様々な条件と偶然でこの日の仙台Rensa公演は成立していた。

6年後の30周年2017年発売BEST ALBUM
初回限定盤【DVD】“THE FIGHTING MAN’s LIVE HISTORY” 全17曲収録のうちアルバム
「悪魔のささやき~そして、心に火を灯す旅~」から2011年仙台Rensa「明日への記憶」が
選ばれていた。
理由はもちろんわからない、周年という節目の年のHISTORYに、唯一、この曲を選んだのだなとボンヤリ思ったことを覚えている。





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