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【映画】『ジェントルメン』を見て

「かっこよかったー」
 映画館で席を立ち、暗い階段を降り終わった所で、夫と感想を言い合うの
いつもの流れ。
「ほんと、かっこよかったわぁ」2回言った。

夫は
「へー どこがらへんが?」

夫とは趣味が違うので、そんな返事が返ってきても驚きはしない。
むしろ私だけがこの映画の良さを独り占めしたようで嬉しいくらい。

それにどこが好きかと問われても、言葉にすることで魅力がこぼれ落ちそうなので、
「うーん なんか好き」とだけ答えた。とだけ答えた。

好きなものには2通りある。他人にも理解されると分かるものと、たぶん他の人は興味ないだろうなってもの。でも、人には分からないだろうなと思いながらも、好きなものが、根底にある一番好きなものかもしれない。

とにかくこの映画には私の好きなものが詰まっていた。

音楽、言葉のリズム。
かっこいい男性の髭と皺。
上質なファッション。
行いが正しくなく(!)、でも上品なところ。
自立した女性の描き方。ビジネスをしていて、トロフィーワイフ的じゃない。

なんといっても、主役のマシューマコノヒーがかっこよかった。
かつてラブコメの主役だった人が、方向転換してシリアスな役柄の経験を重ねた。その彼の人生が顔や声ににじみ出ていて、かこいい。

時間の経過っていいよなぁと思う。
今の時代は、ツルツルの時代だ。
家具も、スマホも、車も、肌も髪も、そこらじゅうが、凹凸がなくて、光っていて、ツルツルしている。真新しさが良いこととされてるみたいに感じる。

先日、髭の脱毛をしたいって男性が私の周りにまで現れた。
「髭があった方がいいと思う」って、個人的な趣味を申し上げたけど・・・
まぁ、それはツルツル反対派の私の好みとして。

子どもや、新しいものがツルツルしているのは魅力的だけど、せっかく時を経たものが、新品みたいなるのは、もったいない。

時間の経過や歴史って、大金を積んだって買えないんだから。

そして、この映画が好きな要因には、私自身の経験も含まれていると思う。古い家具に触れた経験とか、映画『ゴッドファーザー』が好きだった青春時代とか、洋楽を聞いた経験とか、人生経験がこの映画を好きにさせてるのだと思う。

マシューマコノヒー演じるミッキーが、若造には負けんぞってスタンスもこの映画の好きなところ。
若い人に道を譲るってのが正しいことなんだろうけど。奪えるんだったら、奪ってみろよってスタンスがかっこいい。

そんな映画だから、どの映画が好き?って言われたら 『ジェントルメン』とは答えられないよね・・・

友達には勧めにくい、自分のコアな部分がいっぱいつまった映画でした。

読んでいただきありがとうございます!一緒に様々なことを考えていきましょう!