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【読書】映画を早送りで観る人たち

 最近の社会現象としての一つとして、「映像作品を倍速で観る」ことは挙げられると思う。充実した動画配信サービスとスマートフォンにより、観る場所だけでなく、観る時間も選択(調整)することを可能にした。
 本書はこうした社会現象を分析し、要因が何かを追い求めている。ネットが発達し、沢山の情報が溢れる中、話題の情報を短時間で収集するため、または、情報社会の中で考えることに疲れ、何も考えずにただ楽しみたいという欲求を満たすため等沢山の要因が挙げられている。
 この社会現象が起こる要因は観る側にだけあるのではなく、供給側、つまりビジネス戦略としての要因もある。そもそも、こうしたツールを提供しているのは供給側だ。ただし、需要側のニーズがあるから提供するのだが。
 倍速再生に批判的な意見は多いと思う。しかし作中にもあるのだが、供給したものを視聴者がどう観るかは視聴者の勝手という意見も理解できない訳ではない。劇場だけだったものが、映画になり、TV化・DVD化されたりと、映像作品は時代とともに変化してきた。良し悪しだけでなく、どうしてこうした事象が起こるのかを考えること、それが私達に大切なことだと感じる作品であった。

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