国会議員が向かった外国の首都〜トップは中国・北京、2位はタイ・バンコク
外務省の「2019年度便宜供与集計」を眺めながらいろいろなことを考えました。大使館や総領事館など在外公館の便宜供与実績をまとめた資料です。
便宜供与とは、つまり、日本からの来訪者を出迎えたり、案内したり、ときには会食でもてなしたりすることです。外務省はずいぶん以前から毎年、この資料を作成して省内で共有しています。つまり公文書の1つで、誰でも請求すれば閲覧できます。
訪問国の首都にある日本大使館を訪問した国会議員の数を抜き出してみると、最も多かったのは中国で117人(延べ349人)でした。次いでタイの106人(延べ200人)、米国の73人(延べ289人)と続きます。中国がトップというのは想像できましたが、タイが米国を抑えて2位とは意外でした。
もっと驚いたのは、大使館ではなく非政府間実務交流の窓口しかない台湾の台北が第5位の70人(延べ211人)だったことです。韓国の63人(延べ154人)より多く、香港の24人(延べ71人)のおよそ3倍です。
日本の国会議員が大勢台湾を訪れていることを中国は大いに警戒したことでしょう。2019年、自民党の二階俊博幹事長は4月に経団連、JA全農のトップらを連れて訪中した際、習近平国家主席が会談に応じています。
二階氏は同年11月にも自民党・公明党と中国共産党との定期対話(日中与党交流協議会)のため訪中を計画していました。国会開会中という日本側の事情で中止されましたが、その舞台裏では、超党派の日華議員懇談会メンバー19人が10月に台湾を訪問していたため、中国側が「台湾の倍以上の議員の訪問」を要求していたとする報道もありました。
筆者がこの便宜供与集計を目にしたのは、30年ぶりくらいです。当時の資料はいま手元にありませんが、それを見たときは、日本からの訪問先としてパリと香港が突出して多いという印象を抱きました。美食と観光のまちです。バブルの余韻が残っていたのかも知れません。次回はもう少し、地域別に詳しくご紹介しましょう。
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