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クロマグロ漁獲報告義務の履行について、スシローが「未確認」という驚き

 回転ずし「スシロー」の親会社、FOOD&LIFE COMPANIES(以下F&L)が15日、「食材に関するお知らせ」を同社のホームページ上で発表しました。同社が扱った大間産のクロマグロに関して国の漁獲枠に沿ったものかどうか、つまり合法な漁獲によるものか、ヤミ漁獲によるものかの確認を進めている、という内容です。


 結果が出るのを待たず、調査を始めたというだけで公表するなんて、外食産業のプレスリリースとしては極めて異例です。それだけ機微な問題をはらんでいるということでしょう。


 「お知らせ」によると、F&Lが扱った大間産のクロマグロについて、3月11日に社外から「水産庁が指定する漁獲枠外ではないか」とする指摘を受けたということです。


 同社は取引先との契約の中で「法令を遵守した食材であること」を前提とする取り決めをしており、食材の素性について取引先からの報告や証明書で確認をしているといい、今回指摘を受けたマグロも「大間産」であることの確認はしている、ということです。


 しかし、認められた漁獲枠内で獲られたマグロかどうかは複数の業者を経由しているため、確認に時間がかかって、お知らせ公表前の3月14日時点では確認が取れていない、としています。

 大間産のクロマグロを扱った店は、子会社株式会社あきんどスシローが運営する「スシロー」634店、株式会社FOOD&LIFE INNOVATIONSが運営する鮨酒肴杉玉51店です。

 このお知らせでいう3月11日の外部からの指摘というのは、ジャーナリストである私が同社に対して送った問い合わせのことです。

その内容は、以下の通りです。

① スシローが実施した「大間まぐろ」フェア(2月28日~)について、漁獲成績を法令通りに報告していないヤミ漁獲が大量に混入しているとの情報提供がありました。スシローはフェアに使った「大間まぐろ」全頭数について、地域団体商標が貼付されていることを確認しましたか?


② スシローはこのフェアに利用した「大間まぐろ」は昨年9月、静岡市の卸売市場で大阪市の仲卸会社が仕入れたものだとの情報提供がありました。間違いありませんか?

③ 静岡市の卸売市場で昨年9月に扱われたクロマグロの多くは「大間まぐろ」の産地商標ラベルを貼付していませんでした。昨年秋、水産庁から漁獲未報告の指摘を受けた大間漁協は「大間まぐろ」のラベル貼付がないマグロの取り扱いには注意するよう呼び掛けていましたが、ご存じですか?

④ スシローが今回のフェアに限らず、過去1年間に仕入れて販売した「大間まぐろ」はどのくらいの数量でしょうか?「大間まぐろ」であることはどのような方法で確認をされていますか?

 私は昨年12月、ダイヤモンドオンラインで、大間産クロマグロの漁獲未報告問題について記事を書きました。これを読んだ方々から様々な情報提供がもたらされ、その都度、その情報の真偽について確認する作業を進めています。スシローの食材についての疑念もその一つに過ぎません。

 回答を渋る方も少なくない中、スシローが確認作業を進めると言ってくれたことは非常に喜ばしいことでしたが、昨年9月に静岡の卸売市場で売買されてたものを大阪の卸会社などを通じてスシローが買い取ったことが事実とすれば、漁獲、出荷からもう半年経過しています。

 実は、この静岡市場での取引が地方市場としてはあまりに数量が多く、水産庁が疑念を抱いて、漁獲未報告の疑いで青森県に対し、大間漁協に聞き取りをするよう要請したという経緯もあります。法律で義務付けられた漁獲報告を済ませたかどうか、いまの時点においても買い手側が出荷者に確認を求めていなかったとすれば、それ自体、大きな驚きです。

 調査結果も出ないうちから公表したことにはいったいどんな意味が込められているのか、少し理解に苦しみます。調査が進み次第、その内容も公表するということですから、私もその内容をみながら記事を書いていくこととします。

(お読みいただきありがとうございます。サポートしていただいた場合、その資金は情報公開請求と開示文書の受け取りに使わせていただくことにしています)

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