「消えた800頭」の行方を説明を!ピースワンコに期待する誠実な情報公開

 広島県健康福祉局の中村満食品衛生担当監に会ってお願いしたのはNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)の適切な情報開示ですが、その中で特に念を押したのが、いわゆる「行方不明の800頭」の問題です。

〇ハッキリ知りたいところ、その2「行方不明の800頭」

 その問題はnoteでも一度紹介していますので、詳しく知りたい人は2019年10月に書いたこの記事をお読みください。

 要約すれば、PWJがこれまでに広島県動物愛護センターなどから引き取った保護犬の累計数から新しい飼い主に譲渡した数とシェルターで収容している頭数を差し引くと、約800頭が残る、その犬はいったいどこにいるのだろう、という問題です。

 収容中に病気やケガなどで死んでしまう犬もいるわけですが、神石高原町が開示した狂犬病予防法関係の各種届出情報を勘案しても800頭もの違いは大きすぎるのです。

 筆者もPWJに問い合わせをしたことがありますが、回答はありません。

 PWJのシェルターへの立ち入り調査などを担当する県動物愛護センターに尋ねてみても、県のセンターは広島市、呉市、福山市の動物愛護センターからPWJがどのくらいの頭数の犬を引き取っているか把握していません。

 県はPWJからシェルターごとの収容頭数について定期的に報告を受け,施設の飼養管理状況についても「計画的な立入検査により確認し,虐待等が発生することがないよう対応している」というばかりで、行方不明の有無についてPWJに説明を求めたりしたことはなさそうです。

 誤差として無視するには800頭という数字は多すぎます。私は県の手でこの行方不明問題について徹底的に調査するか、PWJに説明責任を果たすよう指導して欲しいということを中村担当監にはお願いしました。

〇ハッキリ知りたいところ、その3「ピースワンコ事業の収支」

 ふるさと納税サイトの「ふるさとチョイス」のピースワンコ事業説明の最後の方にピースワンコ事業収支の概況を示す円グラフが掲載され、以下のような説明も掲げられています。

 「収支のバランスは厳しく、借入金でなんとか運営資金を確保しているのが実情です」

 しかし、PWJの会計報告の部門別収支をみると、殺処分ゼロを実現したという2016年度から3年間で約6億7千万円もの黒字を計上しています。

 神石高原町のホームページのふるさと納税紹介欄にあるピースワンコ収支報告にも借入金は見あたりません。

 町役場のサイトにあるピースワンコ収支報によると、2018年度は寄付金などで合計11億2482万円の収入があり、その中から2億5610万円の人件費、1億4684万円の犬舎・譲渡センター等の増設費用などをまかなっています。

 もちろん、医療、食料など犬の養育のために欠かせない費用もここから捻出できているのです。

 収支のバランスが厳しいというのは本当なのでしょうか?数字を示して説明して欲しいですね。

 借入金で運営資金を確保しているという説明は本当なのでしょうか?ピースワンコのどの事業にどこからの借り入れを利用したか具体的に聞いてみたいですね。

 そもそもピースワンコの収支は3年間で6億7千万円も黒字なのに、どこへ行ったのでしょう?私はその余剰金は会計上の「現金・預金」として年々積み上がっていると推定しています。

 繰り返しますが、ピースワンコ事業は借り入れなしでもやっていけるくらい十分に稼いでいるはずなのです。本当に資金繰りが厳しいのでしょうか?

 広島県はいまPWJの認定NPO資格の更新審査中です。認定NPOは寄付に税制上の優遇が認められるかどうか、とても重要なステータスで、5年間有効です。

 この団体が不特定多数から寄付金を集める団体として、情報開示を適切に行なっているかどうか、厳しくチェックして欲しいと思います。(続)

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