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岡山県開示文書から読むピースワンコの諸問題⑩義務の履行・行政指導への対応はのらりくらり(終)


 鳴き声うるさくキャンプ場利用客帰る


 2019年4月17日、岡山県高梁市役所の備中地域局から岡山県動物愛護センターに一本の電話が入りました。

 「住民やキャンプ場利用者から鳴き声がやかましいという苦情があり指導のため同行願いたい」

 ピースワンコ西山犬舎のある備中地域局は、県動物愛護センターと共同で立ち入り検査したいと考えていたのです。対象は市営キャンプ場の敷地に隣接する通称「ロッジ犬舎」です。

 市備中地域局の説明によると、キャンプ場利用者が「犬の鳴き声がうるさい」といって帰ってしまったそうです。

 市職員が地元住民に聞くと、餌やりの時間や、夜中、野生生物が徘徊するようなときに犬が鳴くようです。それをピースワンコの責任者に申し入れたら、よく鳴く犬を同じ西山地区でも2キロ離れた「堆肥場跡地犬舎」に移してくれたとも言います。

共同で犬舎の改善を指導したい

「住民からの苦情、市議会からの質問に対して、センターと市と2者で指導を行っていることを住民、議会で説明したい」

 もっともな相談ですが、 県動物愛護センターは2日前の4月15日に立ち入り検査を終えたばかりでした。ふだんから連絡を取り合っていれば、県の立ち入り検査の2日後に相談するという残念な結果にはならなかったことでしょう。

 県動物愛護センターは高梁市備中地域局の申し入れを断ります。愛護センターとしては、「鑑札、注射済票を首輪に装着すること」「犬が逃走しないよう扉の閉め忘れがないよう管理を徹底すること」など検査のたびに指導している事柄を説明し、市の責任で住民や議会に説明するように言いました。

有力者を「風よけ」に利用

 もっともな対応だろうと思います。問題のロッジ犬舎の土地を貸しているのは高梁市で、10年契約でした。「これがもし迷惑施設になっているのであれば今後の契約についても考える必要があるのではないか」と県動物愛護センターは市の責任も指摘しました。

 市の地域局はどうして単独で調査し、指導できないのでしょう?それはピースワンコが地元の有力者を後ろ盾としていて、厳しいことを言いにくいからかもしれません。

 ロッジ犬舎は市有地に建ち、利用するのはPWJのピースワンコ事業なのに、土地は地元西山地区の観光振興組合が借りてPWJに又貸しするような形態になっています。PWJと共同事業を展開するという名目です。

 組合のトップは合併前の元町長さんです。有力者が関わっている事業であれば、市職員も簡単には契約解除を言い出せません。有力者を間にたてるのは、もめごとがあってもPWJにとっては風よけ、用心棒として利用できるというメリットがあるのでしょう。

説明拒み、のらりくらり、幼稚な指導者

 私も実は昨年秋、西山犬舎の実情を調べようと、この観光振興組合長さんに連絡をとったのですが、「関係のないものに私が説明する義務はない」とけんもほろろの対応でした。PWJは、広島県神石高原町でも、愛媛県上島町でも、「風よけ」となる人物を探して利用しているようです。そして自分たちは説明を拒み、じっと風が通り過ぎるまで沈黙を続けるのです。

 法令違反などがあっても、のらりくらりとしか対応しなかったり、もう犬を増やさないで欲しいと岡山県から要請を受けても収容施設の拡張を続けたりするのは、そうした地元の有力者の後ろ盾があれば、少量の無理でも押し通すことができるという気持ちがあるのかもしれません。

 そうした態度をPWJ代表理事・大西健丞氏の「思い上がり」といえばいいのか、それとも「甘え」というべきなのか、よくわかりませんが、指導者としてはとても幼稚な部類に入ると私は思います。

県・市は共同立ち入り検査を実施

 そして、そんな態度も、もう長くは通用しないでしょう。

 ピースワンコ西山犬舎の犬たちへの鑑札や注射済票の装着が遅々として進んでいないことに業を煮やして、狂犬病予防法事務を受け持つ高梁市役所がこの夏以降、PWJへの指導を強化しています。市の担当部長や課長が西山犬舎を定期的に訪れ、鑑札の装着状況などについて確認することにしたのです。

 10月16日には高梁市と岡山県動物愛護センターが共同で西山犬舎(ロッジ犬舎)に立ち入り検査をしました。市は主に狂犬病予防法の義務の履行状況、県は動物愛護管理法に基づく犬の飼養環境を中心にチェックしたのです。市からの警告もあって、犬への鑑札の装着率は75%前後に高まっていたようです。


 鑑札や注射済票の装着は、狂犬病予防法に基づく登録や予防接種と合わせてもう3年も前から岡山県動物愛護センターから徹底するように指導を受けていました。お金も時間もピースワンコは十分持っていたのに、対応していなかったのです。

 この問題を地元の岡山県警高梁署も注意深く観察を続けています。PWJは時間を浪費してきました。もう言い訳は誰にも通用しないのです。(終)

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