ピースワンコ「借入金で運営資金を確保」はホント?寄付募集説明文の真偽を神石高原町に聞いてみた

 保護犬事業(ピースワンコ)などNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)の活動について、気になる点をいくつか地元の神石高原町に問い合わせたところ、25日夕、入江嘉則神石高原町長名による書面回答が届きました。

誤りあれば訂正

 私からの質問と町からの回答は文末に全文掲載しますが、回答のためにPWJに対して聞き取りもしていただいたようです。

 また「借入金で何とか運営資金を確保しているのが実情」とする説明が誤ったものであると判明したら訂正するとまで言っていただきました。

 PWJは私からの問い合わせには答えるつもりがないようなので、町役場の対応をありがたく思っています。

 残念なのは、ふるさと納税を利用して寄付を募るPWJ/ピースワンコの活動の実態を町役場自身が詳しく把握していないのではないかと思えることです。

 ピースワンコ部門の収支は毎年度巨額の黒字を計上しています。

 しかし、大西健丞代表理事はピースワンコのため借入金を増やし、自分自身も連帯保証という大きなリスクを背負った等々と支援者に訴え、寄付金を募っています。

 本当にピースワンコの資金繰りは厳しく、借入金に依存しているのでしょうか?余剰金は預金に回っていませんか?

 ふるさと納税の実施主体は町役場なのですから、寄付募集の文面には町役場も責任を持つべきではないかと私は思います。ふるさと納税サイト「ふるさとチョイス」の運営会社も内容については町役場に問い合わせてほしいということでした。

 以下は私が2月18日に送った質問(問)と神石高原町役場から25日に届いた回答(答)です。※は回答を読んでの私のコメントです。

 2月14日からピースワンコで新しい寄付(殺処分から救われたワンコたちに必要な医療支援を!目標6千万円)が始まっています。ふるさとチョイスのサイトでの概要説明によると、「収支のバランスは厳しく、借入金で何とか運営資金を確保しているのが実情」と説明があります。しかし、PWJの収支報告(事業部門別収支)をみると、ピースワンコは毎年度黒字で2016年度以降だけでも6億円以上の黒字となっていて、むしろ余剰資金を積み立てているのが実情であると推定できます。また、神石高原町ホームページのふるさと納税サイトでのPWJの収支報告をみても借入金の記載は一切ありません。間違った情報を伝えて寄付を募る行為は訂正すべきではないかと思いますが、いかがですか?

 誤った情報か否かを、PWJに問い合わせを行い、誤った情報であることが判明した場合には、速やかに訂正を行います。

※年々増える「現金・預金」の多くはピースワンコの黒字分がもとになっていると思うのですが、預金を取り崩せない事情でもあるのでしょうか?PWJの収支報告、神石高原町ホームページのピースワンコ収支報告いずれも開示される内容、項目が毎年のように変わって、比較が難しいのですが、いずれにも借り入れた資金を投入したことをうかがわせるデータがありません。

 同じくふるさとチョイスに掲載している「活動を維持するために必要な経費」についての円グラフは、2019年4月からの5億円を目標とした寄付募集時とおなじもの(犬の頭数のみ2800頭が2900頭に変更)が使われていますが、いつの時点のものか明記されていません。また多い時に年間2億円もあって資金繰りを圧迫したと思われる広告宣伝費がどこに分類されているのかも分かりません。この円グラフで示されたデータの出典について町役場も確認のうえ追加で記載すべきと思いますが、いかがですか?

 PWJに確認したところ、過去の実績をもとに見込み額としたとのことです。

※写真(上段は2020年2月からの募集文面にあるグラフ、下段は同1月まで募集文面にあるグラフ)のようにグラフ自体は同じですが、犬の頭数や円グラフ右側の金額が微妙に変更されています。「過去の実績をもとにした見込み」ということですが、どの期間の実績や見込みなのか示して欲しいですね。こんなあやふやな説明グラフは大学生の卒論でもボツになることでしょう。今年2月14日からの新しい寄付募集では、犬の数だけ修正して、見込み額が全項目同じグラフを掲載しています。不思議ですね。

 大災害等に危機的な状況に見舞われた際に数千頭の収容犬をどのように避難させるか、危機管理マニュアルは最終的に出来上がったのでしょうか?周辺市町も含めて住民に知らせるべき内容も多いかと思いますので、内容を教えてください。

 町が行う危機管理マニュアルについては、現在策定中です。

※災害や経営危機に見舞われた場合、3000頭近い収容犬をだれがどう隔離し、守るのでしょうか?商品である産業動物の場合はそれなりのメカニズムが働きますが、保護犬には牛豚のような金銭的なインセンティブはありませんから、救出するには事前に入念な計画や分担を考える必要があり、それは町役場とPWJだけでは決められないはずです。周辺市町の住民や動物愛護団体、獣医師会の協力は欠かせないはずです。

 2020年をメドに、ピースワラベのグローバル学校を神石高原町、愛媛県上島町などに開くという計画もありましたが、町当局はどのような報告を受けていますか?

 ピースワラベのグローバル学校のことは承知していませんが、本年(2020年)8月に「ピースウィンズ・ジュニアグローバルシチズン・サマーキャンプ」と題して、難民や被災地の子供たちを集め、サマーキャンプを行う計画の報告を受けています。

※ふるさと納税のメニューとして扱う場合、進捗状況や資金計画を精査して寄付金が無駄にならないよう町もチェックして欲しいですね。

 昨年(2019年)7月にPWJと町役場が締結した包括連携協定に基づいて現時点までに実施された事業、進行中の協力事業を教えて下さい。

 令和元年(2019年)7月10日にPWJと協定を結びました。以前からPWJとは様々な場面で連携をしてきたところです。具体的には、町内病院やクリニックへの医師派遣、生き物フェスタへの協賛、学校への出前授業などできるところから連携をしております。


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