教えて大西さん、ピースワンコのこと⑭支援者に打ち明けた「借入金連帯保証」が、実は財務諸表から消えていた理由

1、支援者に送った手紙

 忘れないうちに大西さん、もう一度、尋ねておきたいことがあります。NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)の借入金に対するあなたの連帯保証についてです。

 2019年末、私の手元に友人から別紙のような内容(写真、筆者が書き写し)を記した手紙が転送されてきました。あなたがPWJの保護犬事業、ピースワンコの支援者にあてた手紙ということでした。間違いありませんか?

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 その手紙にはこうありました。

 「昨年来、私たちは不本意な批判や報道にさらされ、それを信じて私たちの活動から遠ざかる方もいらっしゃいました。事業資金が減り、私は個人として返済の保証をしながら、常識では非営利団体が行わないような借り入れもして、必死に頑張ってきました」

 ここでいう昨年とは2018年、つまり狂犬病予防法違反容疑でPWJ本部や大西さんの自宅が家宅捜索を受け、書類送検された時期ですね。動物愛護管理法違反容疑でも告発されました。

 あなたにとっては「不本意な批判や報道」かもしれませんが、のちにあなた自身も広島県知事に詫び状を書いて、再発防止を約束しましたよね。

2、ピースワンコは資金不足?

 問題はその文章の後半です。「事業資金が減り、私は個人として返済の保証をしながら、常識では非営利団体が行わないような借り入れもして」とあります。

 2018年、確かに「ふるさと納税」は苦戦しました。2018年1月19日から2019年3月10日までの期間に6億円集める目標を掲げていたのに、実績は4億966万円(達成率68.2%)でした。
 
 でもピースワンコの熱烈な支援者である「ワンだふるサポーター」などの会費収入や犬事業指定の寄付などは増えていて、総収入は11億2482万円(2017年度比1.9%減)を確保できています。2018年度のピースワンコ事業の収支は黒字で、収支差(黒字)分に相当する1億4465万円をPWJの一般管理費として吸い上げることもできていますよね。

 神石高原町に提出したこの収支報告に借り入れ金の記載はありません。あなたが書いた手紙を素直に読むと、2018年にピースワンコの事業資金が足りなくなったので、借り入れをしたかのように受け取れるのですが、この年、犬保護事業のために借り入れを行ったのは事実なのでしょうか?

3、2018年度から消えた「連帯保証」

 もっと不思議なのは「連帯保証」です。大西さん、あなたはPWJが借り入れるお金、全額について返済を連帯保証してきました。その事実は、財務諸表で確認できます。但し、2017年度までです。

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 2017年度(2018年1月期)の財務諸表の「役員及びその近親者との取引」を記載する欄には、代表理事大西健丞の名前で「借入金連帯保証7億6380万円」(上の写真)とあります。ちなみに、代表理事夫人の大西純子さんも「アシュティ・アンド・カンパニーズ代表取締役」として、PWJの外注費2億6736万円の中から135万円の発注を受けていることもわかります。

 ところが2018年度以降は、大西健丞代表理事による借入金連帯保証の記載は消えています。

 大西さん、教えてください。あなたの手紙を読むと、2018年に借り入れをして、その返済保証をしたようにふつうは受け取ってしまうのですが、本当ですか?

 PWJの借入金はさらに増えて、2019年度(2020年1月期)は15億円以上になっています。あなたはまだ、連帯保証をしているのですか?財務諸表から代表理事の借入金連帯保証の記載が消えたのが、情報開示上のルール変更、方針変更ならそのように説明して下さい。

4、Civic Forceの財産も借用

 逆にもし、財務諸表から消えた通りに2018年度にあなたの銀行や村上世彰氏の企業などからの借入金の連帯保証が消えたのなら、どのような手段を講じて連帯保証責任を免れたのか教えてください。

 私はむしろ、こちらの方に興味があります。なぜなら、ふつう、連帯保証を解消するのは非常に難しいからです。

 よりによって2018年度にPWJは、あなたが代表理事を務めている公益社団法人Civic Force(シビックフォース、東京都渋谷区)から3億円を借り入れてもいます。

 この公益法人が管理する資産は公益目的の事業に使うことになっていますが、Civic Forceの事業報告書、決算書類にはこの事実すら書かれておらず、PWJへの融資がその目的に合致するのかどうか不明です。

 もし、目的に合致していたとしても、Civic ForceとPWJとの間で貸し倒れ回避のための担保設定や返済連帯保証の取り決めはなされているのでしょうか?何度問い合わせてもあなたが「常勤役員」として代表理事を務めているCivic Forceは回答してくれません。

 あなたが代表者を兼務するこのCivic Forceからの借り入れをPWJの財務諸表に「役員及びその近親者との取引」として記載しなくてよいのかという疑問もわいてきます。

 もし、あなたが連帯保証をしたPWJの借入金が一部でもピースワンコの事業のために使われているとしたら、それはいつのことで、どんな事業に使ったのでしょう?そこまで説明していただけると、手紙の内容への疑いも解消します。教えて下さい、大西さん。

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