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犬猫数値規制、なぜ環境省は上限の「目安」さえ示してこなかったのか?岡山県は1人あたり犬30頭が上限

 ある業界・業態に規制を導入する際、前提としてその実情を数字で把握し、ある程度影響を予測することはとても大事です。
 ペット業界の推計によると、13万頭が行き場を失う恐れがあるということです。(極論すれば)「殺処分されかねない」と週刊新潮が小泉環境相らを揶揄しています。朝日新聞記者によるこの推計によると、(いくらかはわからないけど)そんな数は過大だ、そもそも義務となっている報告を出さない輩もペット業界には1割以上いる、ということです。
 だから、私は環境省が今すぐ、地方自治体と業界からそれぞれデータをかき集めて、ブリーダーからペット店、譲渡団体に至るまで動物取扱業者による犬猫の飼養実態を統計的に整理して、パブリックコメント参考用に公表して欲しいと思います。口頭指導しただけの内容も含めて、動物愛護センターなどがこれは問題だいと思った業者数もその悪質度合いに応じて色分けできるはずです。
 どうして環境省はそうしたデータをまとめて、審議会などに提供しないのでしょう?解せません。私のような経済記者にとって、こうした可視化のできない議論は非常に不可解です。
このSIPPO記事は、こう言っています。
「数値規制の導入が本格的に議論されるようになったのは、11年12月に中央環境審議会動物愛護部会に提出された「動物愛護管理のあり方検討報告書」がきっかけだ。それから9年近くが経過している。時間は十分にあったはずだ」


 いつも悪いのはペット業界です。偏っていませんかね? 
 同じようなことは監督側にも言えます。岡山県のように従業員1人当たりの犬猫飼養頭数の上限を設定して動物取扱業者を指導する自治体はありましたが、環境省や他の都道府県、政令市などはどう考えていたのでしょう?
 そもそもこの記事を書いた太田匡彦記者は、数値規制の原案を作った超党派動物愛護議連のアドバイザーの1人です。規制案作りに関わっているわけですから批判や異論を封じ込めたいのでしょう。太田記者や動物愛護議連、環境省はじめ行政機関はどうして目指すべき状況の目安として数字を示してこなかったのでしょうか?

 拘束力のない自主的な規制であっても過去3ー5年やっていれば、より現実的な議論ができたことでしょう。
 やろうと思えば、岡山県のように簡単に試行できるのです。テスト走行もしないで、試作車を一般道走行させるようなお粗末な手法が不思議でなりません。
 行政機関は、処罰だけではなく、政策目的を達成するために指導や助言など様々な選択肢を持っています。いままでどうしてそうした数値を一切、掲げることを避けてきたのでしょうか?怠慢は行政の方にもあったのではないでしょうか?
 私の知る事例は岡山県くらいですが、その実験的な取り組みをしていた岡山県動物愛護センターの場合も、法的根拠がいままでなかったから「目安」にとどまるのはやむを得ないとしても、その数値は「従業員1人あたり小型犬30頭」というものでした。

角(つの)を矯(た)めて牛(うし)を殺(ころ)す

そんな結果をもたらさないよう祈ります。

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