ここが知りたい!ピースウィンズ・ジャパン「内輪の人々」とのおカネの流れ③グループ内で赤字補填金融?

その3、特定資産から資金を貸し付け?

 NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)が公益社団法人Civic Force(東京都渋谷区、大西健丞代表理事)から前期末(2018 年1月末)時点で3億円もの大金を借りていることは前に紹介した通りです。

 その事実は、2018 年度事業報告に関連して広島県に提出した文書「特定非営利活動促進法第54条第2項第3号に定める事項を記載した書類」のうち借入金明細の欄に記載されていたことで判明したわけです。

 Civic Forceは、災害復興支援や奨学金事業など使い道が決められている資産中心に3億円強の財産しかない法人です。どんな目的でPWJに大金を貸したのでしょう?

 Civic Force に問い合わせを送ったら12月9日付で以下のような電子メールが返信されてきています。

 「お問合せいただいた内容は、事務局が確かに受領させていただきました。事務局担当者より、できる限り早くお返事できるよう努めますが、被災地支援活動に伴い、お返事をさせていただくまで若干お時間をいただくことがあるかもしれません」

 返事が来ないPWJに比べれば、返信があるだけマシですが、回答が来ないのは同じです。

 返信を受け取った後に、未公表だった2019年度(2019年8月末)決算資料がホームページ上で公開されました。

 情報公開は一歩前進です。しかし、そこで公開された貸借対照表には貸付金の項目自体がありません。3億円もの融資は依然、謎です。

 3億円以上の残高がある項目といえば、2018 年8月期は「奨学金引当資産」3億1291万円、2019年8月期はその資産を移し替えた「災害支援引当資産」3億5288万円くらいしかありません。

 事業報告書によると、東日本大震災の復興支援として2012年にスタートした奨学金事業は「対象奨学生が2019年3月末ですべて卒業して終了した」ということで、今年度からは新しく集団移転後のコミュニティ支援、福島原発被災者支援、震災の記憶を後世に伝える活動に資金を振り替えたそうです。

 いずれにせよ3億円もの現金・預金は「公益」目的のために管理している「特定資産」のはずなのですが、PWJに3億円を貸すとすれば、私の理解できる範囲では、この資金を一時的に用立てたものとしか考えられないのです。

 それは公益社団法人による「特定資産」の管理の仕方として適切なのでしょうか?

決算期の違いを利用し、隠す?

 PWJ決算期は1月、Civic Forceは8月と異なります。8月末までにPWJが返済すればCivic Forceの貸借対照表にはPWJ向け融資が記録として残りません。公益社団法人であるCivic Forceの書類からは隠しておこうという意図を感じるのは私だけでしょうか?

 決算期末の資金繰りを乗り切るためなのでしょうか?

 決算期が違う公益社団法人Civic Forceからの瞬間タッチのような借り入れです。資金繰りをアドバイスする専門家がいるように思えます。

 前の年度にわずか3938円だった受取利息が460万4877円もあるので、おそらくこれが3億円をPWJに貸していた痕跡ではないでしょうか。

 しかし、以上はあくまで推測です。質問を送っているCivic ForceやPWJからの説明があるまで断定は控えておこうと思います。

 それにしてもなぜ、PWJはお金をCivic Force から借りなければならなかったのでしょう。

 そこが謎です。

 Civic Forceは事業に協賛する団体をパートナーとして迎え入れています。自治体としては愛知県、三重県、気仙沼市(宮城県)、袋井市(静岡県)が名を連ねています。

 東日本震災で大きな被害が出た三陸の気仙沼市など、Civic Forceの復興支援事業の組み替えやPWJに対する3億円貸し付けの実情について説明を受けているのでしょうか。大いに疑問です。

 PWJはお金を借りる一方で、これまた大西健丞氏が代表理事を務めるNPO法人アジアパシフィックアライアンス・ジャパン(A-PADジャパン、佐賀市)に2千万円を貸し付けていました。

 広島県県民活動課に提出した報告文書によると、2018 年5月31日に利息年2.388%という条件です。

 代表者が同じ法人同士、こんなにお金を貸し借りしては、リスク管理が甘くなるはずです。監査法人は適正な金融取引とみなしているのでしょうか?

 PWJは、大西健丞氏が理事長を務めているNPO法人瀬戸内アートプラットフォーム(SAPF、広島県神石高原町)にも2015年9月に6千万円を貸し付けて、愛媛県上島町の離島で実妹や自らも創業に関わって経営に失敗して投資家に売却されていた高級ヴィラを買わせていました。

 そしてそれを上島町ふるさと納税からの交付金で経営させていました。多額のふるさと納税を行った人だけを招待するビジネスを始めたのです。

 しかし、それも目論見通りには行かず、客はあまり来なかったようです。2度目の失敗です。

 豊島のゲストハウスは、大西健丞氏が知り合いの自民党代議士を招いたり、大西氏の事業に資金を援助する村上世彰氏のファンド関係者らが訪れるプライベートな別荘だと囁く声もインターネット上で聞こえてきました。

 結局、SAPFは、儲からないそのヴィラ(豊島ゲストハウス)は2018 年度に手放したようで、貸借対照表から消えています。

 PWJからの借入金も1千万円に減らしていますが、稼ぐすべのないSAPFの2019年3月期末の正味財産はマイナス4510万円です。

 A-PADジャパンは、SAPFと同じようなPWJグループの別働隊です。

 佐賀県の協力でふるさと納税による寄付金の交付を受け、航空機も自前で購入して災害発生地などに「空飛ぶ医師団」派遣しています

 そこにPWJはお金を2000万円貸し付けたわけですが、2019年1月期の決算は、残念ながら3648万円の赤字でした。

 前の期から繰り越されていた正味財産を食いつぶし、次期繰り越し正味財産はマイナス2336万円。つまりここも債務超過状態です。

 ふるさと納税の寄付を集めるNPO法人を次々に設立し、事業を展開するものの、失敗続きです。そしていまのところ、赤字を抜け出すために有効な対策が講じられているようには見えません。(続)
                

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