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謎解き「大間まぐろ」③2021年12月下旬、第56新栄丸は「大船渡」に停泊 ※

 2021年12月26日昼のことです。筆者は東京都中央卸売市場の卸会社の一つ、築地魚市場に行き、役員らと面談しました。同社が売場に並べた「大間まぐろ」のうち第56新栄丸が大間漁協から出荷したクロマグロの水揚げ地を確認したほうがよいのではないかと思ったからです。

 その日、私のところには「大間で水揚げしたものではないマグロが売り場に並んでいる」という噂が豊洲市場関係者から寄せられました。

 また、豊洲に十数本のクロマグロを出荷した第56新栄丸が岩手県大船渡港に停泊しているという噂も聞き、大船渡付近に在住している漁業者に確認してもらったところ、確かに56新栄丸が北海道函館市・戸井漁協所属の船と並んで停泊していました。

 対応したのは法務、コンプライアンス担当役員と総務部長でした。2人は私の話に耳を傾けましたが、水揚げ地の確認の必要性については明言しませんでした。

 築地魚市場は「大間まぐろの商標がある限りそれが産地の証明であり、それ以上の確認は求める理由がない」という立場です。

 豊洲市場は大量の魚を扱うので、私も一尾ずつ産地を再確認することの難しさは理解します。

 しかし、漁船が大間から遠い場所にいるのに「大間産」として出荷しているのは普通は理解できません。船は大間から数百キロ離れた大船渡にいるのに、いったいマグロをいつ、どこで獲って、揚げたのでしょう?他の産地より高いマグロを買うお寿司屋さんや消費者のことを考えれば、確認をした方がよいと私は思います。

 豊洲市場を監督する東京都担当課も築地魚市場と同様に産地確認には消極的な姿勢でした。しかし、その年の最終営業日になって「産地確認を徹底するように」という連絡を東京都水産卸売業者協会を通じて水産卸各社に連絡しました。

※見出しが2022年となっていたので19日午後8時31分2021年と訂正しています。本文は変更ありません。

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