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教えて大西さん、ピースワンコのこと⑱県との「致死処分拡大協議」の黒塗り・非公開部分を自主公開しませんか?

■致死処分が2.4倍に

 広島県が作成した2019年(令和元年)度の県全体の犬の動物愛護センター収容数等の集計結果(表参照)を入手しました。

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 これまでの「安楽死処分頭数」との表記を「引取り後の死亡その他」というわかりにくい表現に変更していますが、犬の殺処分頭数(引取り後の死亡を含む)は県全体で239頭となり、2018年(平成30年)度の99頭を大きく上回りました。およそ2.4倍です。

 県、広島市、呉市、福山市の愛護センター別の動向は表の通りです。広島県動物愛護センターの殺処分頭数は216頭で、前の年度の80頭に対し2.7倍となりました。福山市も12頭から17頭へと4割増えています。

■安楽死条件見直しをピースワンコと協議

 安楽死処分が大幅に増えた原因は、広島県食品生活衛生課が動物愛護センター収容犬の安楽死条件を2020年1月に見直して、「重度のケガや病気で治癒の見込みのない犬」から「譲渡することが適切でない犬(環境省分類1)」に変更したことにあります。

 環境省分類1に該当するのは、咬みつき癖など攻撃性のある犬など幅広く、これまでNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)の保護犬部門ピースワンコに引き渡してきた犬も多く含まれます。

 ピースワンコ自体も、ごく一部の関係者にしか打ち明けていないようですが、2019年1月から「殺処分対象を全頭引き取る」という方針を変更し、毎月、動物愛護センターから引き取る犬の頭数に上限を設け、適正飼養が可能な範囲に限定すると決めています。

■「収容増」に悩んだ末の選択か

 情報公開制度に基づいて開示された関係文書を読むと、ピースワンコのシェルターや県動物愛護センターの一時収容施設への「犬の収容増」への対応として、広島県が「安楽死条件の見直し」を検討し、2019年11月末には同県の犬の「殺処分ゼロ」を継続させていると宣伝しているPWJとこの問題について協議した事実が確認できます。

 広島県食品生活衛生課は対外的には「安楽死処分が増えたのは環境省の方針を先取りして、県が方針を変更したからだ」と説明しているようです。

 しかし、現実は違います。PWJ/ピースワンコのほうが一足先に収容制限をスタートさせていました。広島県動物愛護センターがピースワンコの方針変更によって引き取り手のない犬がセンター内に滞留することに焦りを感じ、安楽死対象の拡大に動いたのです。この文書の表題や県関係者への取材から明らかだと私は思います。 

■今年2,3月に大量に致死処分

 別紙(写真)の下段の表「R2年における犬の収容数等」(県愛護センター分)をみると、殺処分頭数(引取り後の死亡)は2月、3月が極端に多かったことがわかります。

 県がPWJ/ピースワンコと協議した「安楽死条件の見直し」が、行き場を失って動物愛護センターに滞留した犬たちを処分する理由付けとして利用されたのではないでしょうか。広島県が、わざわざ年度の途中である1月末に方針を見直して、2月から実質的に殺処分を増やしていく理由が他に見当たらないのです。

 まるで、ひと昔前のポルノ写真の検閲を思わせるような行政文書の黒塗り。大西さん、民間団体は自由です。広島県が全面公開をためらっているPWJとの協議内容をPWJの側からすべて明らかにしてみませんか?

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