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無人島「高級ゲストハウス」管理を代表理事夫人の会社に発注~NPO法人ピースウィンズ・ジャパンの認定審査資料を読む②

行政文書422枚

 認定NPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ、広島県神石高原町、大西健丞代表理事)の認定更新審査の関係書類として、広島県が情報公開請求に応じて開示した行政文書は422ページあります。

 黒く塗りつぶされた部分も多く、断片的な情報を積み重ねて推理しながら読み解いていく必要がありますが、中には思わぬ情報に遭遇したりします。

 その一つは、PWJ代表理事大西健丞氏の配偶者である大西純子氏や純子氏が経営する会社との取引に関する情報です。行政文書から抜粋して紹介します。

代表夫人に仕事を発注

・大西純子(代表理事の配偶者)捜索救助活動及び訓練参加業務等外注費 2016年2月~(継続中) 933,234円

・(株)アシュティー・アンド・カンパニーズ(代表理事の配偶者が代表) 豊島ゲストハウスの施設設備の維持管理(2016年7月~2017年4月)5,000,000円

 認定更新申請にあたって、NPOは役員、社員、職員、寄付者やその配偶者、三親等以内の親族らとの資産譲渡などの取引を書面で報告することになっています。2019年9月に提出されたとみられる書類に、大西健丞代表理事夫人の純子氏やその会社との取引は「役務の提供」という形で記載されています。

ペット用品販売から宿泊施設管理まで?

 大西純子氏はPWJのピースワンコ事業の初代プロジェクトリーダーです。現在は別の人物がリーダーを務めていて、純子氏は退任しています。

 しかし、少なくとも2018年11月に狂犬病予防法違反で広島県警に大西健丞代表理事らPWJ幹部が書類送検された当時まではPWJの職員としてピースワンコ事業の責任者でもあったとみられます。

 捜索救助活動及び訓練参加業務はPWJの基本的な業務でもあるはずで、わざわざ職員に「外注」することの意味がよく分かりません。

 SNSやメディアの報道では、大西純子氏は最近も災害救助犬とともに被災地を訪れて活動していることが分かっていますが、ピースワンコのプロジェクトリーダー退任理由や現在の団体との関わりについてしっかり説明してほしいところです。

 純子氏が代表を務めるアシュティー社はクリッカーやリード、ポーチなどペット用品を販売している会社です。「代表理事の配偶者が代表」とだけ書かれていますが、大西代表本人はその会社の経営に関わっていないのでしょうか?

 2014認定審査のため提出された資料では、大西健丞代表理事が兼務している役職等の一覧にアシュティー社取締役というものも混じっていました。2019年の審査資料では代表理事経歴の一部が黒塗りされていて、その点が確認できません。

大西ファミリーのビジネス

 代表理事の身内企業が「施設設備の維持管理」を引き受けた「豊島ゲストハウス」はPWJにとってどんな施設なのでしょう?

 「豊島ゲストハウス」は愛媛県上島町の無人島・豊島(とよしま)にあります。別名「ヴィラ風の音」といって、もとは2007年に大西健丞氏と彼の実妹が設立を主導した株式会社「風の音舎」が開発したリゾート型宿泊施設でした。

 ここは大事な点ですが、大西健丞氏はここで「お金儲け」を狙っていたち、自分の著書の中でハッキリと書いています。

 定員4名の棟が1つ、定員2名の棟が3つあり、開業当初は1泊2食・送迎付き(広島県福山市・鞆の浦~愛媛県上島町・豊島間)で5万8900円(2007年9月末まで)だったそうです。

 しかし、経営不振を理由に化粧品販売に携わる出資者、スポンサーが事業の中止と施設売却を求めたため、「ヴィラ風の音」は2013年3月、人手に渡り、大西氏は不本意ながら経営から退きました。現在、風の音舎は名称も本社も役員構成も大きく変えて化粧品セールス専門の会社になっています。

持ち主でもないのに管理費支払い

 大西氏が不本意ながら手放した「ヴィラ風の音」を取り戻したのは2年後の2015年10月のことです。PWJの姉妹団体としてNPO法人瀬戸内アートプラットフォーム(大西健丞理事長)を作り、買収資金として6千万円をPWJが貸し付け、「ヴィラ風の音」の土地・建物を買い戻したのです。

 つまり、大西氏が代表理事を務めるPWJが、大西氏が理事長を務める瀬戸内アートプラットフォームにおカネを貸し、そのおカネで大西氏らが開発したゲストハウス「ヴィラ風の音」を買い取ったわけです。

 瀬戸内アートプラットフォームの2018年3月期決算資料の財産目録をみると、豊島ゲストハウスは建物の値段は「4508万円」とあります。

 そのゲストハウスの施設設備を「10カ月間500万円」で維持管理する仕事を大西代表理事夫人の大西純子氏のアシュティー社が引き受けたわけですから、ほとんど大西健丞氏のまわりでおカネと仕事を回しているような印象を受けます。

 建物はNPO法人瀬戸内アートプラットフォーム所有なのに、どうしてその維持管理費をPWJが支払うのでしょう?不思議です(続)

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