200カイリ規制に翻弄された日本漁業~関係者30人の証言集

「二〇〇海里漁業戦争をいかに戦ったか~30人の証言。その時に」

 かつて日本の水産業は有力な外貨獲得産業でした。世界中の海に漁船を送り出し、とれた魚を食べ、そして売り、稼ぎまくったのです。

 しかし、自由な環境は1977年に転機を迎えます。米国とソ連、当時の2つの超大国が200カイリまでの水産資源は沿岸国のものとする漁業専管水域の設定を宣言したからです。

 3月26日に刊行された「二〇〇海里漁業戦争をいかに戦ったか~30人の証言。その時に」(末永芳美編著、農林統計出版、3500円+税)は、200カイリ時代の到来に様々な立場で関わった水産関係者30人の証言を集めた本です。

 その中から1968-72年に在米日本大使館一等書記官を務めていた佐野宏哉・元水産庁長官の証言(聞き取り)の一部をご紹介します。在米大使館が受けたという米国務省の説明です。

「米国としては二〇〇海里内の資源を沿岸国がその主権的権利に基づき、経済的利益を享受しようとすることは、今や世界の大勢であって、逆らいがたいものだと認識している」

「ただし、その権利が領海となることは絶対に困る何よりも海軍の行動に掣肘が加えられる。一番極端な例は国際海峡が封鎖されてしまうことである」

「よって米国としては領海でない二〇〇海里ということで、国際海洋秩序を作り上げたいと考えている」

「ソ連とも協議しているが、ソ連もまったく同様な問題意識を有しており、米国の行動に同調するはずである」

 新たに書き下ろしたり、聞き取ったりしたものもあれば、過去に専門紙などに掲載されたものもありますが、テーマに沿って要領よくまとめられています。

 水産ジャーナリスト・新水産新聞社社長の倉片備(そなう)さんが、米澤邦男さん(日本トロール底魚協会会長)、島一雄さん(海外まき網漁業協会長)、末永芳美さん(東京海洋大学教授)さんらの協力を得て、2014年から準備を進めました(肩書はいずれも当時)。

 別の機会に詳しく内容をご紹介したいと思います。参考までに証言を寄せた30人のお名前を掲げておきます。

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