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発行手続きが不透明な国産クロマグロ「商標」は産地偽装の温床になる~築地魚市場(株)はお粗末な「冷凍メバチ」原産国表示間違いに学べるか?

メバチ2万3千本の産地がウソだった


 関東農政局から築地魚市場(株)に対するメバチマグロ産地誤表示問題についての立ち入り検査報告書等の写しが手元に届きました。

 同社が扱った輸入冷凍メバチマグロについて、間違った原産地を表示したものが2018年4月23日から2021年10月12日までの間に少なくとも23,530本(1,376,201.4kg)あり、一般用生鮮食品として133社の仲卸業者等に対し販売したというお粗末な事件を解明した記録です。

 企業側の不利益になる恐れがあるとの判断で、黒く塗りつぶされた不開示情報が大半なのです。しかしそれでもいくつかの重要な事実を知ることができました。

 開示されたのは「食品表示110番受付カード」(全69枚)と「立ち入り検査報告書」(全110枚)の2つの文書です。食品表示に関する疑義情報の通報を受け取った記録である110番受付カードは10件もありました。一般的には複数の情報提供者がいたと考えられますが、同じ情報提供者が立て続けに通報と資料提供をした可能性も排除できません。

110ページの立ち入り検査報告

 通報の内容は明らかにされていませんが、10件のうち8件は記録は1枚の用紙におさまっていましたが、残る2件は51枚、10枚と大量の情報が寄せられていました。検査の端緒となる証拠類は食品表示110番に送られてきたとみてよいでしょう。

 農林水産省が運営する食品表示110番は受け付けた内容をその後、どのように調べているか通報者には説明しません。しかし、された情報はすべて記録に残され、検査の参考になっていることがわかります。

 その立ち入り検査はいったいいつ行われたのか、これも開示文書では日付が消されていますが、検査を受けた側の築地魚市場は2022年1月7日にホームページ上に掲載した「お詫びとお知らせ」で2021年12月中旬、監督官庁の調査の際に同年4月10日販売の冷凍メバチマグロの一部について中国産と表示すべきところを台湾産と表示した問題が判明し、監督官庁に報告したと説明しています。

 従って、遅くとも2021年12月中旬時点で検査は始まっていたのは確実ですが、私は最初に行われた検査はもっと早く10月頃ではないかと推測しています。

メバチ産地偽装を疑う情報提供

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