譲渡適性で犬を選別処分②~情報公開より「ピースワンコ」寄付集めへの影響を考慮?データを隠し、説明を渋る広島県

 攻撃的な犬などを譲渡適性がないとみなして団体などへの譲渡対象からも外して安楽死させる方針を広島県が決めたのは今年1月末です。いまもその方針を公表していないのですが、ピースワンコには昨年秋にすでに通告していたことは前々回の記事でご紹介しました。ピースワンコの寄付金集めへの影響も考慮しているのでしょう。

 広島県による「情報隠し」は一貫しています。

 2018年6月、狂犬病予防法違反で広島県警が大西健丞代表理事らピースワンコ運営団体のNPO法人ピースウィンズ・ジャパン(PWJ)の本部や関係者宅などを家宅捜索した際、広島県動物愛護センターは一時的にピースワンコへの犬の引き渡しを見合わせていました。

 県は想定問答を作成しましたが、その際、この引き渡し停止問題については、問われれば答えるが、進んで公表する話題から外しました。「全頭引き取り」がとまるかもしれないという情報は、ピースワンコの存在そのものを脅かす恐れもあるからでしょう。

 再開してもらうにあたって、ピースワンコの最高責任者として大西健丞PWJ代表理事は広島県知事宛に謝罪し、再発防止策を約束しています。
   
  知事への提出文書をご覧ください。2ページありますが、これも肝心のところは不開示扱いです。

 

登録や予防接種が行き届かなかったのは「一部」だと強調していますが、神石高原町の犬の登録や予防接種状況からすると、むしろ大半の犬に対して法令で義務付けられた登録や接種が遅れていたのではないかと思います。

 弁明、釈明の部分はかろうじて内容が理解できます。しかし、肝心の再発防止策の項目は真っ黒、非開示となっています。

 狂犬病感染者が国内でも見つかっていて、日本では流行しないと油断することはできません。公衆衛生上の危機管理問題でもあるのです。神石高原町のピースワンコのシェルターでは犬の逸走もあり、捜索・捕獲もとん挫した状態です。

 狂犬病予防法違反の再発防止策としてどんなことを約束させたのかを明かさない広島県の姿勢は業者保護に偏り、住民の健康や不安を軽んじているといえるでしょう。

 2017年度に登録や予防接種が出来なかった犬の頭数の公表を含めて、県とピースワンコは法令違反が発生した原因の分析と再発防止策を公表すべきだったのではないでしょうか。


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