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渡航記⑥ 北欧スウェーデンから日本の「ワークライフバランス」と「男女平等」について考える

こんにちは。トビタテ留学JAPAN 10期でスウェーデンに留学中の #お天気お兄さん ことかしゃいです。

今回は私のスウェーデン留学の1セメスターが終わったこともあり、表題のようなトピックを投稿してみようと思います。下記の内容は私の一個人の意見でありトピックに対して画期的な対策の提案などを目的としたものではないことをご承知おきください。

〜目次〜
1ーまえがき
2ー日本とスウェーデンの違い
3ー日本への適応が可能か否か
4ーおわりに

1ーまえがき

まず、渡航前のそもそもの北欧に対するイメージは
- 福祉、教育が充実している
- LGBTQ についての理解が進んでいる
- 男女の雇用機会が均等である
- そもそもの国民の幸福指数が高い
などが私自身の中で挙げられるました。

このイメージ通りのこともあれば意外と異なることもありました。それらは以前のnoteで一部に触れているので興味のある方は参照して見てください。

最近の話題を挙げると、隣国のフィンランドで2019年12月 Sanna Marinが首相に就任し最も若いかつ女性首相ということで注目を浴びました。

その渦中に最新の世界経済会議(ダボス会議)で発表された「Global Gender Gap Report」(WEF, 2019) では
1 アイスランド(Iceland)
2 ノルウェー(Norway)
3 フィンランド(Finland)
4 スウェーデン(Sweden)
5 ニカラグア(Nicaragua)

以上のように上位に北欧諸国が軒並みランクインしています。

このように指標でも先進国であることが示されていますが、一方の日本を含めた東アジアはどうでしょうか。

106 中国(China)
108 韓国(Korea, Rep.)
121 日本(Japan)

まず、男女平等に関してはは日本固有の問題が根深いと言われがちですが、日本だけでの問題でなく東アジア全体の問題であると言えるのではないでしょうか。

2ー日本とスウェーデンの違い

ここで、北欧と日本を含めた東アジアの違いは何なのかと考えて見ます。私が今住んでいるスウェーデンでいうと”Lagom(ラゴム)” (just the right amount=ほど良さ)という考え方が国民の中に浸透しています。

"Lagom(ラゴム)" とこの男女平等には何の関連があるのかというと、

この「ほどよさ」の概念がワークライフバランスを充実させ、男女問わず働きやすい環境を作り出していると考えます。

一例を挙げるとすれば、私が通っている大学の留学生を扱うオフィスの空いている時間は

月、火、木 :10-14時
水、金、土日祝:閉館

というように週3日かつ各4時間しか空いていません。生徒からすると不便な面もあるのですが、きちんとこの時間に行くと担当の方は親身になって相談を聞いてくださいます。スタッフの方々も家庭と仕事を両立していて、幸福指数の高さをひしひしと感じます。

ほどよい仕事量とほどよい家庭環境

これがスウェーデンを特徴付ける一つの要素ではないかと考えます。

したがって、私のこの5ヶ月の短期間の滞在を踏まえた考察ではありますが、北欧の「男女平等」と「ワークライフバランス」が進んだ背景には
性差をなくす運動から改革が進んだ
と言う構図と言うよりは、
"Lagom(ラゴム)"の概念が必然とワークライフバランスの充実を生み出し、結果的に性別問わずどんな人でも働きやすい環境を構築している

この後者の考えがより今のスウェーデン社会の形成に繋がったのではと私は考えています。

3ー日本への適応が可能か否か

ワークライフバランスの充実は昨今の日本でも叫ばれていますが大部分の問題の解決にはかなりの時間を要すると思います。さらに、この”Lagom(ラゴム)”の文化はスウェーデン特有の考えであり、先代の日本で積み上げてきた「技術力」は“程よい”ものではなく”より良さ”を突き詰めた産物であると私自身は考えています。

したがって、北欧をこのトピックに関するユートピアと捉えてその要素を日本に直接取り入れることは特に文化的な背景などを考えると難しいと感じました。

とは言っても、日本では毎年数えきれない人数の社会人が仕事に行き詰まり自ら命を絶ち、皮肉なことに
Karoshi(過労死) = overwork death
過労死が英語でも使われるというように世界のスタンダードから考えるとあり得ないような働き方をしている実態があります。

私は日本の突き詰めてきた技術力は否定する気は一切ありませんし、技術立国を支えている理由であると考えます。しかし、これからの人口減少時代に突入し、高度経済成長期のような国を挙げた異常なまでの労働が求められない現代は、「男女問わず個人個人がそれぞれの個性を発揮するためのワークライフバランスの充実」が求められていることは事実ではないでしょうか。

4ーおわりに

前章までは、スウェーデン特有のLagom=ほどよさの文化が「ワークライフバランス」を充実させ、「男女問わず活躍できる社会」の形成に繋がっているのではという内容に触れてきました。

最後に、一つ北欧のスタンダードである事柄に問題提起をしてこの記事を締めくくろうと思います。

北欧諸国では、男女の雇用の比率を1:1にすることを制度として決めている業界があると耳にしたことがあります。男女比を1:1にすることで「能力」よりも「性別」を優先することになることは、裏を返すと能力があってもこの制約によって自分の性別が不利に働くことにならないでしょうか。

「結果の均等」は果たして「本当の均等」と言えるのか。

この命題については私は均等でないと思いますし、社会でも議論になる(もしくは既になっている)命題でしょう。

P.S.

このNoteを見ていただいている特に若い世代が自らのワークライフバランスに意識を向けることで、どのような人であっても働きやすい社会の構築の第一歩になることと期待し、追記とします。


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