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【海のナンジャラホイ-2】仮根(かこん)

仮根(かこん)

陸上の世界には土があります。土壌(どじょう)です。そこには栄養分が溜め込まれています。陸上植物は、土の中に根を張って体を固定します。そして水と栄養分を吸い上げます。うまい具合です。一石二鳥というわけです。

海の中はどうでしょう?
実は、海の中には「土壌」がありません。
砂や泥の海底は、表層に栄養分を含みますが、ちょっと深くなると酸欠の状態になって生き物が利用し難い環境になってしまいます。しかも、砂や泥は柔らかいので、根を張って大きな体を固定するのは難しいのです。
陸上の土とはだいぶ違います。

海の中で繁茂しているのは海藻類です。海藻類にも体の大きさが2~3メートルになるものは普通にあるし、いちばん大きいのは50メートルに達するジャイアントケルプです。はて、このような大きな海藻たちの根っこのところはどうなっているのでしょうか? 

仮根で海底に付着している褐藻(かっそう)類のカジメ

海藻はほとんどが岩の上に生えています。そのため、根っこは岩の上に張り付いています。硬い岩の中まで根を延ばすことはできません。海藻の根っこは、見た目は陸上植物の根っこに似ているけれど、栄養などを吸収することはなく、ただ岩などに張り付くためのものです。
だから〈真の根〉とは言えず、〈仮の根っこ〉ということで、「仮根(かこん)」とよばれているのです。

海水の中にはいろんな栄養が溶け込んでいます。海藻たちは、海水中の栄養を葉の表面から直接取り込むので、体全体が陸上植物の根っこのようです。海水自体が陸上の土壌の役割を果たしていると考えることもできそうです。面白いですね。

○o。○o。 このブログを書いている人
青木優和(あおきまさかず)
東北大学農学部 海洋生物科学コース


*絵本『わかめ』の中に、ワカメの仮根が出てきます。どこに出てくるか、探してみてくださいね!

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