インスタントコーヒーが淹れられない

気づいたら朝が来て、気づいたら夜になってる。
毎日の日課、と言えるほどの習慣はないが、最低でも一回はコーヒーを飲んでいる。

目や意識を覚ましたいなら無糖のブラック。
疲れた脳みそを癒したいならたっぷりの砂糖を。

何も考えず、ただ体内に流し込む。
一口、二口――ただひたすらに。

熱ければ熱いほどよい。
猫舌ではない私は、熱いものも平気で口に入れる。
そして熱いまま食道を通り胃袋に到達する。
体内に熱が通る感覚が、どこか心地よい。

最近、苦いも甘いもよくわからなくなっていた。
いや、味覚障害というわけではなく、飲むのにどちらかを選択することがなくなったのだ。

最近はいつもブラック。
いつ、どんな時も「あ、珈琲を飲もう」と思った時に砂糖を手に取ることはなくなった。

無意識にインスタントの粉を淹れて、無意識にお湯を注ぐ。

そして、無意識のまま体内に流し込む。

「……あぁ、クソまずい」

どうやら粉の量を間違えたらしい。
それでも私は、流し込んだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?