研究室選びの豆知識

この記事は物工/計数 Advent Calendar 2021 1日目の記事です.去年は肉体労働のすすめ!を書いたのですが,今年はまた趣向を変えて学部生向けに研究室選びの豆知識みたいなものを書こうかと思っています.

この記事で書かないこと

以下の項目はよく言われることなので改めて説明する必要もないかと思います.そのため本記事でもこれらの項目は扱いません.調べれば無限に出てくると思うのでそれを参考にしてください.

・扱っている研究テーマを調べる
・教員との相性を確かめる
・研究室の義務(コアタイムとか(応物だとあまりなさそう))を調べる

この記事で書くこと

私はこの春修士課程に入ってそろそろ8ヶ月ほどが経ちますが,私が学部時代に研究室を選ぶにあたって知っておけばよかったなと思うことを書いていきます.

・研究室の構成比
・教育環境
・研究環境

※念のため誤解のないように先に申し上げておきますが,私はいまの研究室に満足しており,もう一度選びなおせたとしてもやはりこの研究室を志望すると思います.

研究室の構成比

意外と見落としがちなポイントですが必ず確認しておいた方が良いです.一般的な研究室であれば研究室のホームページに「メンバー」のようなページがあり,そこに研究室の構成員(院生,ポスドク,教員)が書いてあると思います.ここで確認しておくべきことはざっくりと以下の二点です.

・学生の絶対数
・単位教育者(教員,たまにポスドク)あたりの学生数

まず,前者については極端に学生が多い/少ない場合,いずれの場合も特有の課題があると思いますのである程度覚悟しておきましょう.次に,後者については当然ですが少なければ少ないほど良いです.理想的には高々4人ぐらいが望ましいと思います.教員当たりの学生数が多いと当然一人あたりに割ける時間は減るのでそこは注意しましょう.

教育環境

先の章でお話しした通り,教員当たりの学生数というのは一つの重要な指標になります.一方で,この数が少ないからと言って必ずしも手厚い指導が受けられるかというとそうとも限りません.例えば,多忙な教員の場合,研究室に顔出すのが週に1回あるかないかということも珍しくありません.教員が研究室に常駐しているかどうか,また進捗報告などのミーティングはどれくらいの頻度で,そしてどの程度の密度(一人当たり何分ぐらいか)で行われているかは事前に確認しておいた方が良いでしょう.残念ながらこういった情報はホームページには掲載されていないので,一番良いのは直接その研究室に所属している院生に聞くのが確かだと思います.

研究環境

これまで教育環境について色々とお話ししましたが,ある意味でこの章が一番重要かもしれません.というのもどの程度自由に研究が出来るかというのは研究室の力がかなり直接的に効いてきます.研究環境といってもそこには非常に多くの要素がかかわってくるのですが,今日はその中でも敢えて「研究費」の一点に注目したいと思います.

ここまで読んで「私は理論志望だから関係ない」などと思われた方もいらっしゃるかもしれませんが,一度落ち着いて考えてみてください.大学院生は研究をして論文を書いたり学会で発表したりすることになります.その論文投稿費用はあるいは学会参加費はどこから出ているのでしょうか?基本的には教員が獲得してきた研究費から支払われるはずです.例えば論文の投稿費,もちろん雑誌によって値段は変わりますがだいたい数百ドルから数千ドルといったところです.また,現在はコ某ナの影響でほとんどがオンラインで開催されていますが,オンサイトの学会となると出張費用がかかると思います.これも場所によっていろいろですが,渡航費,宿泊費合わせるとそれなりの金額になるでしょう.これらはあくまで成果報告に必要なお金で,実験系であればこれに実験関連の費用が追加されます.すなわち,不自由なく研究を行うにはどのような分野であれ最低限の研究費は必要です.

それではその研究費の獲得状況はどのようにして調べるかという事ですが,科研費などの公的研究費の場合は簡単に調べることが出来ます.例えば,科研費の場合はKAKENにて公開されています.こちらのページで気になっている研究室の教員の名前を入れて検索してみてください.おそらく獲得状況が出てくると思います(出てこない場合は....色々と考えたほうが良いかもしれません....)

あまり研究費に注目しすぎるのもどうかとは思いますが,現実問題として最低限の研究費がないと研究遂行に支障がでます.大学院での研究生活の保険という意味でも一度は調べておくとよいかもしれません.

終わりに

そういうわけで今回は学部生向けの研究室選び豆知識を書きました.

......いかがでしたか?

そんなことより最近は凄く寒くなってきていよいよ冬という感じですね.もう一年が終わるのかと思うと震えが止まらないわけですが,成長してくれていることを信じて祈るしかないですね.何はともあれ今年も残すところあと一ヶ月!やり残したことを一つずつ回収していこうと思います.それでは今回はこのあたりで失礼します ノシ