台風と耐風と

傘は基本的に風に弱い道具です。
携帯性を高めるために基本的に強度を犠牲にしているからという事もあるのですが、やろうと思えばある程度の強度を出すことは可能ではあります。もちろんとても高価になるのですが、出来ないわけではありません。

もっとも、強度を出すという事にも色々ありまして、硬くする方法もありますし、柔軟にする、受け流すなどという方法もあります。柔軟にする方法は結局のところ雨に濡れやすくなりますが、傘の破壊は防ぐことが出来る場合が多いという方法です。これに対し、硬くするという方法はそもそも風でびくともしないというやり方です。

一般的に市販されている風に強い傘のほとんどは柔軟で風を受け流す作りです。暴風でも壊れませんと言うのが売りであるわけですが、正直なところナンセンスだなと思います。体が濡れても傘が壊れないというのは意味がないことは自明ですから。もっとも、突風という瞬間的に吹く風に対してという意味も若干はありますので、そちらを主張されている商品は良いと思います。

とにかく、普通に傘に耐風能力を付与しようとすると受け流すという事になります。こちらの方か費用面で現実的だからです。もし、本当に風に対して真っ向から受け止める傘を創ろうとするならば、そして持ち運びが可能な重さで作ろうとするならば、チタン合金などのとても高価な金属で骨を形成する必要があります。恐らく傘一本の材料費がウン十万円というような金額になるものと思われます。というのもチタン合金というのは切削性が非常に悪く、親骨一本削り出すのにも大変な作業になり、しかも機械化が難しいからです。

ただ、誰も本気でそのような傘を創ろうとしないのにはもっと別の問題があります。その問題とは風に傘が耐えきっても人間が耐えきれないという問題です。先ほどの話のように暴風雨の中で傘をさして受け流すことが出来ても体はびしょ濡れになるわけですが、受け止められるという事は人間がその風を受けきるという話です。台風の中で帆を張って飛ばされずにいてくださいと言う話ですから、無理な事であるのは想像の範囲内だと思われます。

ですから、以前から話していますが、台風の時には傘をささずに、出来れば外出をしないというのがおすすめという事になります。今年は急に台風が連続し始めましたが、可能であれば在宅で過ごせるように準備していきたいものですね。


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