傘骨の組成

SDGs的な話を考える時にどうしても出てくるのが傘骨の組成です。
そもそも傘は複数の異素材で構成された製品であることがほとんどであるため、リサイクルには向かない製品であるのは間違いないのですが、それでも少しでもリサイクルに貢献しようと考えると、骨そのものを単一素材で作ろうという発想に行きつくこととなります。

ところが骨を単一素材で作るにあたって障害となるものが駆動部分の素材をどうするかという事です。傘はその展開性を担保するために骨と骨の可動部にハトメと呼ばれる部品が使われています。そして骨部分を鉄鋼で作る場合やアルミで作る場合にはこのハトメ部分はステンレスを用います。このため、全部鉄鋼や全部アルミといった単一素材での骨作成が難しい訳です。また、強度上、すべてチタンという事は可能ではあるのですが、加工性が低い(しかも高価な)チタンは傘骨にするには不向きであるという事もあります。

また、骨を強化プラスチックで作るという事も考えられます。この場合、可動部分も強化プラスチックで作ることによって単一素材での骨づくりが可能です。ただし、この場合はそもそも強化プラスチック自体が環境に良いものではないという問題があります。
確かに元素AlやFeで構成されている金属より有機化合物の方が自然に分解されたり、再構成されたりという点で難しい点は大きいです。リサイクル時にも溶かすだけでほぼ元の素材に戻すことが出来る金属に比べ、強化プラスチックはリサイクル時のエネルギーロスや再生の難しさから、実はリサイクルをすること自体がエコではないという事も事実だったりします。

結局のところ、どれも一長一短であり、強いて言えば重さを多少我慢して鉄で傘骨を作るというのが、最良策となりそうではあります。それに鉄は古代から存在し、しかも安定した元素であり、自然に形成される物質として地球に豊富に存在するものですから。他のものに比べればという話ではありますが、持続可能性は高い方なのではないでしょうか。


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