長傘の横持ちはやめた方が良い理由

少々前の話になりますが、テレビやSNSにて長傘の横持が危険という話がそこそこの頻度で出ていました。長傘の横持ちといのは、畳んだ傘のネームバンド付近を握りこんで、下ろした手に対して直角になるように、地面に対して水平になるように持つ傘の持ち方です。

普通の人は周囲の危険性を考慮して長傘を地面に対して垂直に、下ろした手に対して平行というか一直線になるように持つわけですが、なぜか一定数この横持ちをする人がいるようです。

なぜ、横持ちをする人が一定数存在するのかと考えますと、理由はおそらく筋力不足からくる「手の負担軽減」だと考えられます。人間の手と腕の構造から考えますと、人は物を地面と水平に持つ方が、体に負担がかからなくて楽が出来ます。体力のある人には理解しにくいかも知れませんが、体力のない人になると特にこのわずかな負担を避けるために、無意識に横持ちを選択している人もいるのかも知れません。

だからと言って横持ちで腕を振って歩きますと自分の全後、かなり広範囲にわたり長傘が届いてしまうため極めて危険です。とくに後ろに目がない人の場合は、言うまでもないですね。ですから長傘を持つ人は、危険であるという観点から、横持ちはやめていただきたいです。

で、ここからが本題なのですが、傘を取り扱う者として、別の視点から傘の横持ちはやめていただきたいというか、しない方が良いですよという話があります。

非常に残念な話なのですが、良く手を洗う人であっても人間の手には皮脂が付いており、乾いた手の人でも少なくとも手垢に相当する汚れのようなものが付いています。そして、傘を横持ちするという事は、その手で水をはじくべき傘生地の表面を握りこむという事になってしまいます。当然ですが、そこそこの年月をかけて皮脂や汚れは握りこんだ部分に付着していきます。

そうなりますと、傘生地の表面にある撥水加工の上にそれらが付着し、せっかくの撥水加工を阻害してしまうのです。もちろん通常の使用でも雨粒に含まれる汚れから撥水加工は徐々に弱くなっていくわけですから一緒では?と思う方もいるかも知れません。ですが自然な汚れに比べて、直接傘表面を手で触り続けるというのは撥水機能低下を著しく進行させるので、ぜひ傘の横持ちは避けていただきたいと、こういう事です。

傘をさしていない時は、手元部分を保持して人に石突などが向かないように心がけていただけると、傘の劣化も少なくなって自分にも周囲にも良いので、手で生地を握ると良くないよという話を参考にしていただけたらなと思います。

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