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本当にそうなった?

日経ヘルスケア◎2022年11月号より

マイナ保険証の利用促進で受付が3人から1人に

大塚眼科クリニック(川崎市川崎区)

2022/11/10

遠藤 浩介=日経ヘルスケア

医療提供体制

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 「クリニックでのオンライン資格確認の効果はとても大きい」──。こう話すのは、大塚眼科クリニック(川崎市川崎区)院長の大塚宏之氏だ。同院では、2021年5月にオンライン資格確認システムを導入した。
 
 川崎市のマイナンバーカードの交付率は2022年9月時点で52.7%。マイナ保険証の割合はさらに少ないとみられる。これに対して月600人いる同院の患者のうち、マイナ保険証を使っている患者は300人を超える。その背景には、同院がマイナ保険証の活用を患者に積極的に働き掛けてきたことがある。大塚氏は、「オンライン資格確認の経営的なメリットを生かすには、患者に活用するよう医療機関側が呼び掛ける必要がある」と語る。

700万~800万円の人件費節約

 具体的には、マイナンバーカードの持参を自院のウェブサイトで周知したり、来院患者に直接声を掛けたほか、院内のポスターやステッカーなどで全面的に告知した。また、オンラインでの受診予約の際にマイナ保険証の保持者は簡単に予約できる一方、非保持者は健康保険証の画像の送信が必要になることを周知した。その結果、マイナ保険証で受付する患者は導入当初1%ほどだったが、現在は60%まで増えている(図1)。マイナ保険証を持っていない患者も健康保険証でオンライン資格確認をしている。

図1 大塚眼科クリニックにおける2022年10月時点のオンライン資格確認の活用状況

 オンライン資格確認の利用者の増加に伴い、受付業務の負担は大幅に減った。これまでは手入力と目視でいくら慎重にやっても、患者数が増えるにつれてミスが生じていた。レセプト返戻になれば患者に確認した上で再請求しなければならず、件数が少なくても負担は大きかった。現在、こうした負担は一切ない。そのため、3人でこなしていた窓口業務を1人で完結できるようになった。大塚氏は、「2人削減できれば年間700万~800万円の人件費が節約される」と話す。
 
 さらに同院では、 マイナ保険証を診察券の代わりに活用しているため年間数万円の診察券の発行コストも削減。受付番号システムと連動させ、名前ではなく受付番号で患者を呼ぶようにしたため、患者が誤って診察室に入ることなども減ったという。

閲覧情報で査定対策も可能

大塚眼科クリニック院長の大塚宏之氏は、「オンライン資格確認は導入の価値がある」と話す

 薬剤や診療歴の情報の活用も重要だ。「過去の診療歴によって本来すべき検査や治療内容も大きく変わる」と大塚氏は話す。例えば、糖尿病の合併症の1つである糖尿病網膜症。早期発見が治療の鍵となるが、眼科では患者が糖尿病の治療中であることを把握しにくい面がある。この点、オンライン資格確認では患者から同意を得れば診療歴を知ることができ、早期に適切な治療につなげられる。
 
 薬剤情報の閲覧により、他院での処方状況を確認することで重複投薬を防ぐことができるとともに、適応症、投与日数、投与量などをより意識しながら診療ができるため、突合点検の査定リスクを減らすことも可能だという。大塚眼科では薬剤情報の閲覧により、月に10件あった突合点検の査定はほぼゼロ件となった。今年9月から閲覧できる診療歴も確認すれば、縦覧点検による査定リスクを減らすこともできるという。

引用 https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/report/t262/202211/577193.html?ref=RL2

2000年富山国体少年男子メディカルトレーナー 2001年富山県立氷見高等学校男子ハンドボールメディカルトレーナー 2021年ハンドボール日本代表チームにメディカルトレーナーとして合宿に参加 2023年富山ドリームススタッフ